建設業の倒産が増えている4つの理由!現場で今何が起きている?

景気が悪くないのに、建設業の倒産が増えています。
調査会社の帝国データバンクによると、2024年は倒産件数が増加しました。
「人手が足りないのに倒産が増えるの?」
「倒産が増えている理由が分からない」
このような疑問を持つ人もいるでしょう。
本記事では、髙木健次さんの建設ビジネスより、建設業の倒産が増えている理由を説明します。
材料費や物流コストの高騰、人手不足など、建設業を取り巻く環境は厳しい面があります。
さらに専任技術者や元請と下請の関係など、建設業だから陥る特別な理由がありました。
建設業の今を知りたい人は、ぜひ最後までお読みください。
景気が悪くなくても建設業の倒産が増えている4つの理由
髙木さんは著書の中で、倒産が増えている理由を4つ挙げています。
- 材料の値段や物流コストが上がっているから
- コロナで猶予されていた融資の返済が始まるから
- 税金や社会保険料の滞納と督促があるから
- 人手が不足しているから
この中でもとくに増えている理由が、人手不足です。
社員の転職や退職により、人手不足倒産が増えています。
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年間15万~20万人が縁故・ハローワークなどを通じて業界内で転職
10年で社員の4割弱が入れ替わる計算になる
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倒産が増えている理由として、1番大きな要因が人手不足です。
転職や退職によって社員が減少しているからです。
人手不足で倒産が増える建設業特有の理由は専任技術者
建設業でない業種でも、人手不足による倒産を耳にします。
しかし建設業界では、特有の事情があるのをご存知ですか。
髙木さんは著書の中で、専任技術者の配置を指摘しています。
小さな会社では専任技術者の数も少ない
専任技術者が1人だけの小さな会社では、この人が転職または退職してしまうと倒産に追い込まれます。
建設業許可を受けるとき、工事を受注し施工するとき、有資格の役職者の配置が必要です。
いなくなってしまうと、建設業許可は下りず、会社を続けられません。
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人手不足倒産の8割は社員数10人未満の零細企業
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大きい会社であれば、専任技術者の資格保有者も多くいるでしょう。
小さい会社では資格保有者も少なく、その人が転職・退職してしまうと、倒産か廃業せざるを得ません。
専任技術者に関する国の措置は?
専任技術者に求められる要件を多少緩和する動きもありました。
例えば、技術者の専任配置を要する下限額は2024年12月に改正されています。
また監理技術者の働き方もマニュアル改正されています。
ただし小さな会社にとっては大きな緩和になっておらず、資格取得の大変さは変わりません。
専任技術者がいないと会社が存続できないのに、資格取得の要件は厳しい現状です。
材料費高騰による倒産は元請が多い建設業特有の理由
建設会社は下請でなく元請が先に倒産する、と髙木さんは指摘します。
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意外かもしれませんが建設業界で今倒産件数が多いのは元請け
建設会社は元請けから倒産するのです
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資材や物流コストが高くなった影響を受けるのは、材料を仕入れる元請だからです。
工事のコストは、機・労・材に分けられます。
- 機:機械に関わる経費
- 労:労務費や人件費
- 材:材料費
元請はこの3つのコストすべてを負担します。
材料費の負担がある元請は、資材・物流コスト上昇に大打撃を受けますよね。
そのため元請が先に倒産する、と髙木さんは著書の中で述べています。
まとめ:建設業の倒産は人手不足と材料・物流コストの高騰が理由だった
建設業に倒産が増えている理由は4つ挙げられますが、人手不足は大きな要因になっています。
建設業許可取得や受注する工事の規模によって、専任技術者の配置が必要です。
資格保有者が少ない零細企業では、有資格者の転職や退職で倒産・廃業に追い込まれています。
また資材・物流コストの高騰は、材料を仕入れる元請に大打撃を与えています。
意外にも、下請ではなく元請が先に倒産している事実がありました。
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