建設業法等改正とは?最新のポイントをわかりやすく解説【2025年版】

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建設業界では、2024〜2025年にかけて大きな法改正が続いています。とくに2025年2月の改正では、監理技術者等の専任基準や特定建設業許可の下請金額の引き上げなど、現場管理に直結する内容が盛り込まれました。
本記事では、改正の背景から最新ポイント、施工管理者が現場で取るべき対策まで、専門用語をかみ砕いてわかりやすく解説します。

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建設業法等改正の目的と背景

今回の建設業法等の改正は、人手不足・高齢化・労働環境の悪化という構造的な課題を解決するために行われました。建設業は55歳以上の従事者が3割を超え、若手が定着しづらい状況が続いています。
その理由には、休みにくさ、安全リスク、賃金の伸び悩みなどがあげられ、労働市場では“敬遠される産業”となりつつありました。2024年問題による時間外労働の上限規制も重なり、従来の働き方では立ち行かない現場が増えています。

こうした状況を踏まえ、今回の改正は「魅力ある建設業の再構築」を目指した内容になっています。処遇改善、生産性向上、健全な競争の促進をセットで進めることで、将来の担い手を増やしていくのが大きな狙いです。

最近の建設業法改正の主なポイント

今回の建設業法の改正では、従来の「慣習」や「業界ルール」を大きく変える内容が多く、現場運営に直結する項目が多数含まれています。ここからは、実務に特に影響するポイントを見出しごとに整理して解説します。

時間外労働の上限規制(残業頼りの現場が通用しない時代へ)

2024年4月より、建設業にも罰則付きの残業規制がついに適用されました。
原則は 月45時間・年360時間以内。特別条項付きでも 年720時間の上限が絶対となり、「休みなく働けば間に合う」という従来のやり方は完全に封じられました。

この規制により、

  • 工程の詰め込み
  • 年度末の駆け込み
  • 休日返上の作業

といった“根性論”の工程管理は、法的にも成立しなくなります。
施工管理者は計画段階での無理・ムダをなくし、現実的な工程設計=品質確保が求められるようになりました。

労務費の透明化と“著しく低い見積り”の禁止(適正な賃金確保へ)

今回の改正で最も大きな変化の一つが賃金と労務費の透明化 です。

中央建設業審議会が策定する「標準労務費」を著しく下回る見積りは違法となり、発注者が不当に値下げを求める行為も禁止されました。

これにより、

  • 赤字覚悟の受注
  • 下請いじめ的な値下げ要求
  • 法定労働条件を満たさない低賃金

といった慣習は明確に“違法行為”となります。

今後は労務費を正当に支払う企業が評価され、処遇改善が業界全体で標準化されていく流れです。

工期ダンピングの禁止強化(発注者も受注者もNGに)

これまで禁止されていたのは「発注者による工期ダンピング」でした。
しかし今回の改正で、受注者側が無理な短工期を提示して受注することも禁止になりました。

つまり、

  • 会社が“無理な短工期”で仕事を取る
  • 下請が“早くできます”と無茶な納期を提示する

こうした行為はすべてアウトです。

これにより、現場の長時間労働や休日不足を引き起こす構造が解消され、現実的で安全な工期設定が法的に求められるようになりました。

見積書の明確化・書面の透明性向上(“曖昧な見積り”が消える)

材料費・労務費・経費などの内訳を明記した正確な見積書作成が義務化されました。

これにより、

  • 内訳不明の一式見積り
  • ざっくり金額だけの見積書
  • 後から値下げや条件変更される契約

といった慣習が通用しなくなります。

企業としては見積り工数が増える反面、
適正価格での受注・トラブル防止・契約の透明化というメリットが大きくなります。

CCUS(建設キャリアアップシステム)の活用促進(技能“見える化”が標準へ)

国が強力に推進しているのが建設キャリアアップシステム(CCUS)です。

改正後は、技能者の

  • 経験年数
  • 資格
  • 現場での実績

を可視化し、適切な評価と賃金につなげる仕組みが強化されました。

CCUSを導入している企業は、

  • 技能者の能力把握が容易
  • 育成計画の効率化
  • 公共工事での加点要素
  • 報酬の適正化による離職防止

といったメリットが得られます。

今後、「CCUS対応していない企業=選ばれにくい企業」という流れが確実に進むと予測されます。

関連法改正も合わせて押さえたいポイント

建設業法だけでなく、周辺法令も同じ方向で改正されています。

例えば、労働基準法や働き方改革推進法では残業削減・健康管理・休日確保が強調されています。
公共工事品質確保法では予定価格や工期設定の見直しが進み、無理のない契約が求められるようになりました。

さらに建築士法では建築士の業務範囲拡大や担い手確保の強化、外国人材制度では技能実習から「育成就労制度」へ移行し、より長期的に外国人が働ける環境が整備される予定です。

法改正は“点”ではなく“面”で進んでいると言えるでしょう。

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施工管理者が知っておくべき実務への影響

法改正は「知って終わり」ではなく、現場運営に直結します。

まずは工程管理の見直し
無理な工期は契約自体が違反となり得るため、従来の「月内完工」「年度末集中」は見直しが避けられません。施工計画の精度が以前より強く求められます。

次に職人不足への対応
多能工育成やICT導入(遠隔臨場・ドローン測量・クラウド管理)が欠かせません。限られた人数で効率よく現場を回すための技術活用が、今後の競争力となっていきます。

さらに、安全書類の電子化が一気に加速。
施工体制台帳や各種提出資料はクラウド管理が標準化され、紙文化に依存する体制は時代遅れになりつつあります。

加えて長時間労働の抑制
勤怠管理システムの導入や、休憩時間・休日確保の運用ルールづくりが重要です。
パワハラ対策の強化も並行して求められ、現場のコミュニケーションスタイルが大きく変化しています。

法改正が施工管理のキャリアに与える影響

法改正は働き方だけでなく、施工管理者のキャリア形成にも影響します。

若手が増えれば現場教育の比重が高まり、「育てる能力」が施工管理の価値として評価されやすくなります。
また、CCUSが普及することで資格や技能が明確に可視化され、経験とスキルがそのまま収入に直結しやすい環境が整備されます。

女性施工管理の活躍も増加傾向です。長時間労働が抑制されることで、これまで難しかった働き方が実現しやすくなっています。

さらにAI・DXの普及により、求められるスキルも変わりつつあります。
AIによる工程最適化、クラウド管理、3次元データの扱いなど、“ITに強い施工管理者”の市場価値はますます上昇するでしょう。

2025年以降、建設現場はどう変わる?

今回の一連の改正により、2025年以降の現場は大きく変化します。

残業削減が徹底されるため、工程の最適化は必須。
書類は電子化され、遠隔臨場が標準化され、「現場にいなくても進む仕事」が増えていきます。

監理技術者の専任基準金額の引き上げにより、一定規模未満の工事では専任が不要になるケースもあり、現場配置の柔軟性が高まります。

また、外国人材が長期的に働きやすい仕組みが整っていくため、多国籍チームで現場を回すことが一般化するでしょう。
安全品質の確保はこれまで以上に重視され、法令遵守のレベルが業界全体で底上げされていく見込みです。

よくある質問(FAQ)

改正内容のポイントだけ知りたい。

無理な工期の禁止、低い労務費見積りの禁止、書類電子化、専任技術者基準の引き上げ。この4つは必ず押さえてください。

今すぐ施工管理者がやるべきことは?

工程の見直し、勤怠管理のデジタル化、CCUS登録、書類電子化の準備。この4つが優先度高い項目です。

違反した場合どうなる?

著しく低い材料費での見積りや無理な工期契約は、勧告・公表の対象になります。

中小企業はどう対応すれば?

ICT導入や工程見直しなど、できる範囲から段階的に始めるのがポイントです。

どこで最新情報が確認できる?

国土交通省の「担い手確保・法令遵守ガイドライン」が最も網羅的です。

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まとめ|今回の建設業法等改正は“働きやすい建設業”への第一歩

2025年まで続く一連の法改正は、建設業の未来に向けた大きな転換点です。
処遇改善、工期の適正化、電子化やDXの推進など、現場の働き方と質を底上げする内容が中心となっています。

これらは企業や技術者に一定の負担がかかりますが、その先には「働きやすく、魅力ある建設業界」というメリットが待っています。
施工管理者にとっても、キャリアの広がりとスキル価値の向上につながる重要な機会です。

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