標準労務費の計算方法は?労務単価と歩掛の基準値はどこから?

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タイトル:標準労務費ってどうやって決まるんだ?

「標準労務費ってどう計算するの?」「うちの会社の単価と何が違うの?」

12月に施行される改正建設業法では、標準労務費が話題になっています。
しかし資料を読んでも、分かりづらい専門用語がズラッと並んでいて、計算方法すらまだ分からない人もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では標準労務費の計算方法について解説。
労務単価と歩掛の基準値の扱われ方や、現場条件で補正が必要なケースについても考え方が分かります。

「標準労務費の制度がなぜ導入されるのか」「自分の現場や積算にどう影響するのか」を理解したい人はぜひ最後までお読みください。

標準労務費ってそもそも何か分からない……。そんな人には、以下の記事がおすすめです。

標準労務費の計算方法

労務費の計算方法

国土交通省の資料では、標準労務費の計算方法について以下のように述べています。


労務単価(円/人日(8時間))×歩掛(人日/単位あたり施工量)の計算式によって単位施工量あたりの労務費として示す

労務費の基準の作成について|国土交通省<https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001892772.pdf

つまり標準労務費の計算方法は、主に「労務単価」と「歩掛」2つの要素に基づきます。

例えばA職人(型枠大工)は、1日に30,000円で働き、10㎡の作業ができます。
つまり1㎡あたりの単価は、3,000円。

この具体例をもとに、労務単価と歩掛の意味を解説します。

労務単価とは?

人の単価です。職人1人あたりが、1日に受け取る単価を指します。
例の型枠大工A職人の場合、30,000円が労務単価です。

歩掛とは?

歩掛(ぶがかり)とは、職人1人が1日あたりに施工できる作業量です。
例の型枠大工A職人の場合、10㎡が歩掛

標準労務費は?

労務単価が1日あたり30,000円で歩掛が10㎡の場合を例に挙げます。
単位施工量(1㎡)あたりの標準労務費は、30,000円を10㎡で割った3,000円。

もし100㎡の作業を行う場合、標準労務費は3,000円 × 100㎡ = 30万円です。
この金額を下回らないようにしなければなりません。

標準労務費の計算に使用する基準値は?

計算に使用する基準値は何を使用するのか?

先ほどの例では、1日に30,000円で働き、10㎡の作業ができるA職人を挙げました。
しかしこの労務単価と歩掛(作業量)については、基準値が必要です。

標準労務費の計算において使用される労務単価と歩掛の基準値は、会社のデータではありません。
公的なデータを用います。

労務単価の基準

労務単価については、国土交通省が毎年公表している「公共工事設計労務単価」を適用します。

公共工事設計労務単価とは?
役所が公共工事の積算をするときの職員の単価。
近年引き上げが続いている。

この単価は、公共工事の積算のために調査されており、都府県別に細分化。
会社が支払っている単価が基準より低くても、標準労務費の計算には、高い方の公共工事設計単価を使用しなければなりません。

歩掛の基準

歩掛についても、民間の会社の独自基準は使用しません。
これは、「国土交通省直轄工事で用いられる歩掛」を活用します。
例えば国が歩掛を10㎡と定めていて、自社規定は8㎡であった場合、国土交通省の基準値を使用。

これらの基準値は公共工事の調査に基づいているため、民間工事の実態とは異なる場合もあるでしょう。
しかし労務費の水準を確保するために、高い基準を採用しているのが公共工事。
今後は自社の独自基準だけで労務費を決められません。

なお、この基準を下回った場合に即座に違法となる「最低賃金」のような仕組みではありません。
それぞれの会社の基準もあるため、標準労務費はあくまでも「目安」とされます。

公共工事の実績がない工事・細かい条件の標準労務費計算方法

公共工事の実績がない工事や細かい条件に対する対応

標準労務費の基準は公共工事のデータを用います。
そのため、公共工事の実績がない小規模工事や、現場ごとの細かい施工条件への対応が重要です。

公共工事の実績がない工事(小規模住宅等)への対応

国土交通省の直轄工事では、戸建住宅工事は実績がありません。


公的な歩掛が把握されていない戸建住宅については、住宅関係の団体等と意見交換を行い、歩掛調査を行う

労務費の基準の作成について|国土交通省<https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001892772.pdf

施行日2025年12月までに、すべての工事の基準が出るわけではありません。
決まったものから順次進められるため、歩掛のない分野については、対応に時間がかかるでしょう。

施工条件の差異に対する「補正」

現場の施工条件(作業場所、足場の状況など)によって、適正な歩掛は変動します。
この変動に対応するため、国が標準労務費の基準を公表する際には、以下の条件が明確にされます。

  • 基準の前提となっている歩掛
  • 作業内容
  • 適用条件

つまり歩掛は公表時には、「この歩掛は○○という条件です」と示されます。

さらに実際の施工条件や作業内容が基準と異なる場合は、契約当事者(発注者と請負業者)間で協議。
適正な歩掛となるよう「補正」を行います。

例えば基準が平場での型枠作業を前提としている場合、足場が悪い・崖っぷちでの作業は補正が必要です。
特殊な条件として、発注者と請負業者が話し合い、基準に対して割増しを行うなどして労務費を補正します。

標準労務費の作成単位

労務費の作成単位

この標準労務費は条件によって細分化すると複雑になるため、最小限にとどめるとされています。


細分化は最小限にとどめるという基本方針を踏まえ、基本的に、規格・仕様(※)ごとに労務費の基準を作成することはしないものとする。
※例えば、建築の型枠工事においては、「ラーメン構造階高3.5~4.0m程度」、「ラーメン構造階高2.8m程度」等の規格・仕様ごとに分かれるが、そういった違いは契約当事者間で補正を行う。
その上で、建築と土木を区別するか、工種をどの程度区別するか等については、職種別の意見交換において、具体的な細分化の程度を検討し決定する。

労務費の基準の作成について|国土交通省<https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001892772.pdf

これは、工種や条件に応じて細かすぎる基準を設定して、運用が煩雑になるのを避けるためです。
基本的な原則として、1つの工種について、1つの標準的な規格・仕様についてのみ労務費の基準を作成します。
この基準からどのように加算・補正するかは、契約する会社間で決められます。

さらに建築と土木を区別するかどうかや、工種をどの程度細かく区分するかといった具体的な細分化については、現時点では未決定。
今後、職種別の意見交換を通じて検討され、決定される予定です。

まとめ:標準労務費は国の基準で算出される!

2025年12月施行の標準労務費制度は、建設業界の労務費水準を公的な基準に統一し、底上げを図るものです。
標準労務費の計算方法は、「公共工事設計労務単価(労務単価)」と「国土交通省直轄工事で用いられる歩掛」を基準として算出されます。
自社の単価や歩掛が低くても、公的な高い基準を用い、水準を上げる目的です。

公共工事の実績がない工事については順次調査が進められます。
また現場ごとの細かい施工条件の差異については、契約当事者間での「補正」によって、適正な労務費を確保する柔軟な仕組みが設けられています。

この標準化された基準は、建設業界全体の賃金と労働環境の適正化を後押しする土台となるでしょう。
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