施工管理はリモートワーク可能なの?現状・できる仕事・将来性まで徹底解説
近年、施工管理の働き方に大きな変化が起きています。「現場監督も在宅勤務できるの?」「リモートで管理って本当に可能なの?」と疑問に思う方も多いですが、結論として施工管理は一部の業務に限ってリモートワークが可能です。
この記事では、どの業務が在宅で対応できるのか、導入企業の事例から将来性までわかりやすく解説します。
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施工管理はリモートワークできる?結論は“部分的には可能”

完全リモートは難しいが、業務の40〜60%は在宅化が可能
施工管理は「現場に常駐する仕事」というイメージがありますが、実は業務全体の約40〜60%はデスクワークや管理業務です。書類作成、工程調整、発注管理、進捗の確認などは、クラウドツールやカメラの活用によって在宅でも対応できます。
とはいえ、現場確認やトラブル対応など“現場にいないとできない業務”は依然として残るため、フルリモートではなく“ハイブリッド型”(現場+在宅)の働き方が主流になると考えられます。
現場常駐が必要な仕事/在宅で対応できる仕事の違い
【現場でしかできない業務】
- 安全管理・品質確認
- 実測・試験立ち会い
- 職人とのコミュニケーション
- トラブル・緊急時の判断
【在宅で対応できる業務】
- 安全書類・工程表の作成
- 写真管理・進捗確認
- 発注・見積もり依頼
- オンライン会議(施主・設計・業者)
このように、現場とデスク業務の切り分けが進むことで、在宅時間の確保が現実的になっています。
企業によって大きく異なる“リモート許容度”
リモートワークの導入状況は企業によって大きく異なります。
| 企業規模 | リモート導入率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 大手ゼネコン | 高(50%以上) | 遠隔施工管理の実証実験、DX推進、人材確保目的 |
| 中堅建設会社 | 中(約30%) | 一部でクラウド管理、週1〜2日の在宅勤務導入 |
| 中小企業 | 低(10%以下) | 導入コストや人材不足により対応が遅れがち |
「施工管理=毎日現場」は過去の常識。現在は“ITを使いこなす施工管理者”の方が求められる時代になっています。
在宅勤務が可能な施工管理の仕事内容とは?

施工管理の仕事は、すべてが「現場作業」というわけではありません。実は、業務の半分以上はデスクワークやデータ管理・調整業務であり、リモート対応が可能です。ここでは、実際に多くの企業でリモート化が進む代表的な業務を紹介します。
書類作成(安全書類・工程表・発注・検査書類)
安全書類・KYシート・発注書・検査報告書・労務管理表など、施工管理に必要な書類は膨大です。これらはクラウド型の建設管理ソフト(ANDPAD、ダンドリワーク、蔵衛門など)やExcelを使えば、事務所に行かずとも在宅で作成・編集・提出が可能です。
紙からデジタル管理へ移行した企業では、書類作成の約8割がリモートで完了しています。
クラウドでの進捗管理・写真データ管理
現場で撮影した施工写真や黒板付き写真をスマホでアップロードすれば、本社や自宅からリアルタイムで確認できます。Box・Google Drive・OneDriveなどのクラウドストレージを使えば、写真の保管だけでなく、日付・工種・工区ごとに整理し、検索性も大幅に向上。
ANDPADやフォトラクなどの施工管理アプリでは“現場にいなくても、見える化された進捗確認”が可能です。
業者・施主とのオンライン打合せ(Zoom/Teams)
施工管理は打ち合わせが非常に多い職種ですが、その多くはオンライン化されつつあります。週次定例会議・図面確認・仕様変更・工程調整などは、Zoom・Teams・Google Meetを使えば自宅からでも対応可能。
画面共有しながら図面や写真を見せることで、むしろ対面より情報共有がスムーズになるケースも増えています。
出来形確認、検査資料のデジタル管理
ドローン・スマートグラス・ウェアラブルカメラを使えば、遠隔から現場を確認できる時代に。国土交通省も「遠隔臨場」を推進しており、材料確認・段階確認・立会いまで、リモートで実施可能です。
特にSafie、LogWalkなどのサービスでは、動画・音声・図面・指示を一つの画面で共有できる“リアルな臨場体験”が実現しています。
リモートで集計・原価管理・工程調整ができる理由
原価管理・予算調整・工程シミュレーションは、専用の原価管理ソフト(建設BALANCe、アクティオ)やExcel、Teamsチャットで十分対応可能です。
実際、複数現場の工程調整や業者手配を“在宅で同時にこなす施工管理者”も増えています。
ポイントは、「情報をクラウドに集約し、現場と本社で共有する仕組みがあるかどうか」です。
現場にいないとできない業務(リモート不可の領域)

リモート化が進んでも、施工管理の“現場にしかできない仕事”はなくなるわけではありません。
実測・安全確認・職人とのコミュニケーション
現場の安全確認、施工精度チェック、職人同士の調整は、画面越しでは難しい領域です。臨場感や空気感を読み取る役割も現場監督の重要なスキルです。
品質確認(仕上がり・寸法チェック・試験立ち会い)
手触り・質感・仕上がり・実寸法などは、AIやカメラでは判断しきれません。高い品質を求める工事では、現場で直接目視確認する必要があります。
急な判断・トラブル対応(施工不備・安全対応・クレーム)
事故発生や施工不備など、現場での緊急対応は即時判断が必須。経験・判断力が求められるため、リアルでの対応が欠かせません。
現場のモチベーション・空気管理は“リアルでしかできない”
施工管理の仕事は「現場を仕切る」ことでもあります。チームのモチベーションや現場の空気感は、対面コミュニケーションでしか作れない要素です。
なぜ今、施工管理の“リモート化”が進み始めているのか?

施工管理のリモートワークが急速に現実味を帯び始めた背景には、業界の構造変化・技術進化・社会課題の顕在化という3つの大きな要因があります。「現場にずっと張り付く働き方」は限界を迎えつつあり、“人に依存しない施工管理”へのシフトが求められています。
2024年問題による“働き方改革の圧力”
2024年4月から、建設業にも罰則付きの時間外労働規制が適用されました。
これにより、月45時間・年360時間が原則となり、“残業ありきの働き方”が通用しなくなっています。特に問題視されるのが、「無駄な移動時間」。
現場と事務所の往復、書類提出のための移動などは「生産性ゼロの時間」とされ、削減が急務に。
その結果、「書類業務や調整業務は、現場にいなくても良いのでは?」という考え方が定着し、リモートワークの下地が整い始めました。
DX導入で管理業務の半数がクラウド化
以前はFAX・紙図面・現場打ち合わせが主流でしたが、現在は施工管理アプリ・チャット・クラウドストレージの普及により、事務業務の50〜60%が在宅対応可能になっています。
写真提出、検査記録、KY報告書、出面管理、工程表の共有も、紙ではなくANDPAD・ダンドリワーク・Box・OneDriveなどのクラウドで管理されるようになりました。
「書類でなく、データで管理する」という発想が業界に浸透し始めたことで、リモート化が一気に加速しています。
写真・図面・工程がオンラインで共有可能に
従来、写真確認や図面の修正のために現場に行く必要がありましたが、今はスマホで撮影した写真をクラウドにアップロードすれば、本社・自宅・協力会社からリアルタイムで確認可能。
BoxやProcoreでは、写真に直接コメントや修正指示が書き込めるため、現場に行かなくても正確な意思疎通ができます。
さらに、BIM(3D設計)や360度カメラの普及により、“現場に行かず、現場を見る”ことが可能な環境が整ってきました。
大手ゼネコンで進む「遠隔施工管理」の実証実験
鹿島建設・清水建設・大林組など大手ゼネコンは、遠隔臨場・ドローン測量・スマートグラスによる遠隔施工確認を実証実験として開始しています。
現地の作業者がスマートグラスを装着し、本社の技術者が映像を見ながら指示を出す“リモート臨場”は、既に国交省も推奨し始めています。
これにより、“現場にいなくても現場を指示できる施工管理者”という新しい働き方が現実になりつつあるのです。
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実際にリモート施工管理を導入している企業の事例

A社|週2日在宅勤務+遠隔進捗確認システム
進捗確認はクラウドカメラ(Safie GO)を導入。週2日は自宅で書類整理や図面修正を行うハイブリッド勤務を実現。
B社|監督2名体制(現場常駐+リモートマネジメント)
1名が現場常駐、もう1名が本社・在宅で工程調整・発注管理・写真管理を担当。生産性が30%向上。
C社|安全パトロールもドローンとクラウド化で遠隔管理
危険エリアはドローンを活用し、拠点から映像確認。安全管理・材料搬入のチェックも遠隔で対応。
導入企業が口を揃えて言う「成功の条件」とは?
- 人ではなく“業務を仕組み化”すること
- 情報を現場だけに閉じ込めない
- ITツールを“使いこなせる人材”が鍵
将来、施工管理は“現場に行かない仕事”になるのか?

スマートグラス・遠隔臨場・ドローン施工管理の進化
スマートグラスでリアルタイム確認、ドローンで測量・進捗確認、AIによる自動判定など、現場とオフィスの境界がなくなりつつあります。
AIができること/できないこと
| AIにできること | AIが苦手なこと |
|---|---|
| 写真撮影・寸法確認 | 人の空気感を読む |
| 工程調整・進捗記録 | 信頼関係の構築 |
| 原価管理・書類整理 | クレーム対応・交渉 |
“現場を見る仕事”から“現場を支援する仕事”へ役割が変化
将来の施工管理は「現場に常駐する人」ではなく、現場・本社・在宅をつなぐ“プロジェクトマネージャー”へと進化していきます。
リモート施工管理が普及するのはいつ頃か?(予測)
- 大手企業:2026〜2030年
- 中堅企業:2030〜2035年
- 中小企業:2035年以降
在宅勤務できる施工管理になるために必要なスキル

施工管理のリモート化が進んでも、「誰でも在宅勤務できる」わけではありません。むしろ、“現場にいなくても成果を出せる施工管理者”には、従来とは異なるスキルセットが求められます。ここでは、今後さらに価値が高まる4つのスキルをわかりやすく解説します。
① ITリテラシー・DXツールの使いこなし(最低限の必須能力)
施工管理DXの流れが加速する中で、以下のようなツール操作は“できて当たり前”のスキルになりつつあります。
代表的なDXツール
- ANDPAD・ダンドリワーク:写真管理・工程共有・書類管理
- Box・Google Drive:図面・写真・検査データのクラウド保存
- Teams・Zoom:オンライン会議・進捗報告・打合せ
- Safie・LogWalk:遠隔臨場・リアルタイム映像確認
特に若手施工管理者の採用基準として「DXツールに抵抗がないか」が重視され始めています。
つまり、図面が読める人より、“図面をクラウドで管理して共有できる人”が価値を持つ時代です。
② 言語化力(現場を“言葉とデータ”で伝える力)
リモート管理では「見ればわかる」が通用しません。現場の状況・施工箇所の課題・安全リスクなどを、言葉・写真・図面・数値で正確に伝える力が求められます。
具体的には──
❌「ここ、ちょっと危ないです」では伝わらない
⭕「外壁3面の足場3段目、転落防止柵の固定が不足。明日午前中に職長と是正確認予定」
このように、誰が見ても判断できる情報提供ができる施工管理者は、リモート環境でも高い信頼を得られます。
③ オンラインでの調整・交渉スキル
Zoom・Teamsでの打ち合わせでは、対面より“言葉選び・段取り・資料の準備”が重要になります。
特に遠隔では、細かな表情や空気感が伝わりにくいため、
- 結論を先に伝える
- 根拠・図面・写真を添えて説明する
- 次のアクション・担当者まで明確にする
という「オンラインならではの交渉スタイル」が必要です。
“話がわかりやすい施工管理者”は、在宅でも信頼を落としません。
④ 職人の信頼を失わないコミュニケーション術
リモート中心の働き方になるほど、現場との関係性が希薄になりがちです。
しかし、施工管理の本質は「人と現場を動かす仕事」。
そのためには以下の3つの姿勢が欠かせません。
- 現場を理解している(技術・工程・安全管理)
- 判断が早い(資料ベースでも即決できる力)
- 誠実である(現場を尊重した伝え方ができる)
現場に毎日いなくても、職人から信頼される施工管理者はいます。
共通点は、“現場を理解した上で、正確にサポートできる人”であることです。
よくある質問(FAQ)
-
施工管理でも在宅勤務OKの求人はある?
-
大手企業を中心に増え始めています。「DX推進」「遠隔管理」「施工管理補助」などのワードで検索すると見つけやすいです。
-
未経験者でもリモート施工管理に挑戦できる?
-
可能ですが、現場経験ゼロでは難しいため“現場+バックオフィス兼務”から始めるのが現実的です。
-
地方の現場でもリモート管理は可能?
-
可能。クラウドカメラやモバイルWi-Fi・衛星通信が普及し、山間部でも映像確認ができるようになっています。
-
DXが進むと施工管理の仕事は減る?増える?
-
現場人数は減りますが、リモート管理やデータ管理を行う施工管理の需要は増加します。
施工管理の最新DX情報・キャリアアップのヒントを知りたい方へ

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まとめ|施工管理は“現場に出る仕事”から“現場を支える仕事”へシフトしていく
施工管理は、もはや「現場に常駐するだけの仕事」ではありません。
クラウド管理・遠隔臨場・スマートグラス・ドローンなどのDX技術により、“現場を支えるリモートマネジメント”の役割へ進化しています。
今後求められるのは、
- 現場を理解しながら、ITも使いこなせる施工管理者
- 現地にいなくても進捗を管理できるマネジメント力
- 人と技術の両方をつなげるコミュニケーション力

