建設業の2024年残業規制で起きる3つのことは?労働時間に影響あり!
建設業では2024年4月から新しく残業規制が始まりました。
厚生労働省の「建設業・ドライバー・医師の時間外労働の上限規制特設サイト」では、建設業の残業規制について「原則、月45時間以内、年360時間以内」と記載されています。
この規制が設けられたことにより、今まで当たり前だった以下の3つの事項が懸念されます。
- 乗り合い出勤問題
- 公共工事の工期延長
- 新たなチェック項目
この記事では、何故残業規制が上記事項に影響が起きるのかを解説します。
残業規制による影響を理解し、建設業界の変化を知りましょう。
建設業2024残業規制の影響①:乗り合い出勤問題
残業規制の影響として、1つ目に乗り合い出勤問題が挙げられます。
職人さんたちが会社や集合場所からワンボックスカーやバンに乗り合って現場に行くこと
厚生労働省の「事務所と現場の移動時間」の資料では、会社の指揮命令下に置かれている時間を労働時間と指しています。
そのため、乗り合い出勤は会社の指揮命令下にあたり、労働時間になる可能性があるからです。
例えば下記のような乗り合い出勤は、会社の指揮命令下になるとされます。
- 職人同士車に乗り合って現場まで行くよう指示する
- 車の中で作業の打ち合わせを行う・図面を確認させる
- 乗り合いの車に必要な工具を積み込むよう指示する
現場への移動時間が労働時間になると、残業時間が増えてしまいます。
片道1時間の現場と仮定すると、往復で2時間、20日間勤務すると移動で40時間です。
月45時間の残業時間のうち40時間を移動で使ってしまい、定時であがることが必須になります。
残業規制の影響として、乗り合い出勤は工期や工程に影響を及ぼすでしょう。
建設業2024残業規制の影響②:公共工事の工期が長くなる?
残業規制の2つ目の影響として、公共工事の工期が長くなることが挙げられます。
国土交通省の工事の積算についての資料では、下記項目を就業時間に含むべきと考えています。
- 朝礼
- 準備体操
- 資材搬入や後片付け
記載はありませんが、今まではこれらの項目は労働時間に含まれていなかったというニュアンスです。
労働時間に含むことで、実作業の時間は短くなり工期が長期化する影響があります。
「ラジオ体操をしましょう」という命令
朝礼やラジオ体操、資材搬入に毎日1時間かかったと仮定します。
今までは、8時間/日×10日間=80時間で終わる工期も、7時間/日の実作業では10日間の工期では終わりません。
つまり、残業規制の影響として公共工事の工期は長くなると言えるのです。
いずれは県・市町村にこの積算方法が降りてくるでしょう。
建設業2024残業規制の影響③:予想される新たなチェック項目
新たなチェック項目が残業規制の3つ目の影響として挙げられます。
建設Gメンが工期や請負単価などをチェックしに来る際に、労基署の職員にも同行してもらい「朝礼や準備運動が労働時間にカウントされているか」を確認することが予想されます。
現場の監査に来る国土交通省の職員
国土交通省が資料まで出して「朝礼や準備運動は労働時間に入るもの」と言っているので、建設Gメンにもチェックされることでしょう。
元請けや発注者側だとしても、下請け業者が適切に労働時間としてカウントしているかを確認する必要があります。
まとめ:建設業2024残業規制で起きる3つのこと
2024年4月から始まった建設業の残業規制で起きる3つのことを紹介しました。
ただ単に「月45時間以内、年360時間以内」の残業時間を守るだけではありません。
- 乗り合い出勤問題
- 公共工事の工期延長
- 新たなチェック項目
「以前は労働時間でなくて良かったから」ではなく、新しい変化を知り対応していきましょう。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。