民間発注者の約3割が発注見送り|資材高騰の変更契約協議にどこまで応じている?

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タイトル:職人が来ないから今日はお店を休みます

人手不足と資材高騰により、建設会社や工事会社は厳しい状況に置かれています。
しかし、苦しいのは工事を受ける側だけではありません。
ビルやマンションを建てるデベロッパー・不動産会社といった民間発注者も、思うように工事を発注できない状況に直面しています。

民間発注者は、工事の見送りや値上げの協議にどう向き合っているのでしょうか?
そこで本記事では、国土交通省の調査をもとに、次の3テーマを解説します。

  • 発注見送りになった工事と民間発注者の対応策
  • 変更契約協議に民間発注者は応じているか
  • 民間発注者の一番の問題は「知らないこと」

民間発注者の約7割は値上げの協議に応じているものの、請求どおりに契約を変更したのは約2割にとどまります。
資材高騰の価格交渉に悩む工事会社の人や、民間工事の発注の動きが気になる人は、ぜひ参考にしてください。

民間発注者が発注見送りにした工事と対応策

発注見送りになった工事と対応策

民間発注者は、どのような工事を見送っているのでしょうか?
国土交通省の調査では、「発注できなかった・見送った工事がある」と答えた民間発注者は約3割。
そのうち一番多い工事は、ビルやマンションなどの建築工事でした。

出典:「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)」の結果|国土交通省

電気や空調などの設備工事でも、職人の手が回らない状況が起きています。
例えばエアコンが故障した店舗では、修理に来られる職人が見つからず、店を臨時休業するケースもあるのです。

指定業者しか呼べない?
大きなビルに入っているテナントでは、空調が壊れても自分で業者を選べず、管理会社が指定した業者に依頼するのが一般的です。
指定業者が手いっぱいになれば、ほかの業者が空いていても修理は進みません。

しかし、民間発注者もただ見送っているわけではありません。
工事を進めるために取られている対応策には、次のようなものがあります。

  • 早めに建設会社を確保する
  • 協力会社を増やす(10社ほど増やした例も)
  • 建設コストの見積単価を、以前より1〜3割増しで認める

ゼネコンの所長クラスでは、3年先まで予定が埋まっているなんて声も聞かれます。
工事会社だけでなく、民間発注者にとっても施工体制の確保が課題になっているのです。

民間発注者は工事会社の変更契約協議に応じている?

資材高騰を受けて工事会社が「単価を見直してほしい」と申し出たとき、民間発注者は応じているのでしょうか?

同じ調査では、物価の影響を受けた工事で、受注者と変更契約協議を行った民間発注者は約7割でした。
4件に3件ほどは協議の場が設けられている計算となり、ここは前向きに受け止めてよいでしょう。
一方で、最新の調査では「受注者から申し出があったが協議を行わなかった」の回答も新たに見られました。

問題は、協議したあとの結果です。
請求どおりに「全て契約変更を行った」のは22.6%、約2割にとどまりました。
最も多かったのは「一部契約変更を行った」の64.5%で、「契約変更は行わなかった」のは6.5%。

一部契約変更の「一部」の中身もさまざまでしょう。
例えば1,000万円の増額を求めても、認められたのは50万円ということもありえます。

民間発注者の一番の問題は「知らないこと」

協議が約7割で行われていても、根本の課題は別のところにあります。
それは、制度そのものが民間発注者に知られていない点です。

改正建設業法で導入された標準労務費(労務費に関する基準)は、職人の賃金を適正に確保するための目安です。
しかし、アンケートでは知っているように答えていても、実際にはほとんど知られていないのが実態でしょう。
とくに民間工事で規模が小さくなるほど、発注する側も受ける側も制度を知らないまま取引が進んでいます。

ちなみに標準労務費の計算方法や基準値については、以下の記事をご確認ください。

標準労務費の計算方法は?労務単価と歩掛の基準値はどこから?

2025.11.19

公共工事であれば、役所が新しいルールを示して現場を引っ張れます。
しかし建設工事の多くを占めるのは民間工事で、特に建築はその割合が大きい分野です。
公共側で制度が浸透しても、残りの大部分を占める民間に広がらなければ、業界全体の状況は変わりません。

まとめ:民間発注者は協議に応じても、満額の契約変更は約2割

民間発注者の約3割は、工事の発注を見送った経験がありました。
さらに工事を進めるために、早めに建設会社を押さえたり、単価を1〜3割増しで認めたりする動きも出ています。
一方で変更契約協議は約7割で行われているものの、請求どおりに契約を変更したのは約2割でした。

ただし、一番の課題は、標準労務費などの制度が民間の発注者・受注者の双方に知られていない点です。
調査は毎年行われているため、来年度に認知がどこまで広がるかが注目されます。
制度が民間に届くまでは、工事会社が自ら根拠を示して交渉する段階にあるのかもしれません。

この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。

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