建築工事費は年間約29.4兆円!国交省の最新調査から見る建設市場の実態とは?

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国土交通省は2026年9月30日、2025年(令和7年)分の「建築工事費調査」の結果を公表しました。

今回の調査によると、2025年に完成した建築物の工事実施額は、木造が10兆6,511億円、非木造が18兆7,331億円となり、合計で約29.4兆円に達しました。

建築市場の規模の大きさがうかがえる一方で、注目したいのは工事費の金額だけではありません。

実は、2025年の工事実施床面積は前年より減少しています。つまり、工事金額が増加している一方で、施工された床面積は減少しているという状況が見えてきます。

こうした変化は、建設会社の経営だけでなく、施工管理者が担当する原価管理や工程管理にも関わる重要なテーマです。

本記事では、国土交通省の最新調査をもとに、建築工事費の実態や前年との比較、建設市場の変化、施工管理者が押さえておきたいポイントを解説します。

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国交省が2025年の建築工事費調査を公表!総額は約29.4兆円

木造・非木造を合わせた工事実施額は29兆3,842億円

国土交通省が公表した「建築工事費調査(令和7年分)」では、2025年に完成した建築物の工事実施額について、次の結果が示されました。

建築物の構造2025年の工事実施額
木造10兆6,511億円
非木造18兆7,331億円
合計29兆3,842億円

合計すると29兆3,842億円となり、約29.4兆円という規模になります。

このうち、非木造建築物の工事実施額は全体の約64%を占めています。

非木造には鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの建築物が含まれており、住宅だけでなく、オフィスビルや商業施設などさまざまな建築需要が関係しています。

一方、木造建築物の工事実施額も10兆円を超えており、建築市場において大きな割合を占めていることがわかります。

建築工事費調査とは?

建築工事費調査は、国土交通省が実施する基幹統計「建築着工統計調査」を構成する調査の一つです。

全国の建築物について、完成時の工事床面積や実際の工事費などを調査し、年間の建築工事費を把握することを目的としています。

今回の調査では、2025年に完成予定の建築物9,033棟を調査対象とし、6,921棟分の回答が得られました。

国土交通省は、これらの調査結果をもとに、全国の工事実施額などを推計しています。

そのため、今回の約29.4兆円は、単に回答があった建築物の工事費を合計したものではなく、標本調査に基づく全国の推計値です。

2024年と比較すると建築工事費はどう変化した?

工事実施額は前年比約2.0%増加

2025年の建築工事費を前年と比較すると、次のようになります。

項目2024年2025年前年比
木造10兆551億円10兆6,511億円約5.9%増
非木造18兆7,452億円18兆7,331億円約0.1%減
合計28兆8,003億円29兆3,842億円約2.0%増

2025年の工事実施額は、前年より5,839億円増加しました。

構造別に見ると、木造建築物の工事実施額が増加している一方、非木造建築物の工事実施額はほぼ横ばいとなっています。

この結果から、建築市場全体の金額は増加しているものの、木造と非木造では異なる動きが見られることがわかります。

ただし、工事費の増加が建築需要そのものの拡大を意味するとは限りません。

その理由を考えるうえで重要なのが、次に紹介する工事実施床面積の変化です。

工事費は増加しているのに、工事床面積は減少している?

2025年の工事実施床面積は約9,572万㎡

今回の調査では、工事実施額だけでなく、工事実施床面積も公表されています。

2025年の工事実施床面積は以下のとおりです。

建築物の構造2025年の工事実施床面積
木造4,115万9,751㎡
非木造5,456万3,141㎡
合計9,572万2,892㎡

前年の2024年は、木造と非木造を合わせて約1億282万㎡でした。

したがって、2025年の工事実施床面積は前年より約6.9%減少しています。

工事実施額は約2.0%増加した一方で、工事実施床面積は約6.9%減少したことになります。

これは、今回の調査結果で特に注目すべきポイントです。

1㎡あたりの工事実施額は上昇

工事実施額の合計を工事実施床面積の合計で単純に割ると、次のようになります。

  • 2024年:約28.0万円/㎡
  • 2025年:約30.7万円/㎡

この単純計算では、1㎡あたりの工事実施額が前年より約9.6%上昇しています。

ただし、この数値は木造・非木造を含む全国の工事実施額を、総床面積で割ったものです。

建築物の用途や規模、構造の構成が年によって異なるため、そのまま建築単価の上昇率や工事費の物価上昇率として扱うことはできません。

それでも、工事費の総額と施工された床面積が異なる方向に動いているという点は、建設市場の状況を考えるうえで重要な材料です。

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建築工事費が増加する背景には何がある?

1. 建設資材価格の変動

建築工事では、鉄鋼、コンクリート、木材、断熱材、設備機器など、さまざまな資材が使用されます。

こうした資材の価格が変動すると、建築工事全体の費用にも影響が及びます。

施工管理者にとっても、資材価格の変化は実行予算や発注時期、原価管理に直結する問題です。

特に工期の長い工事では、見積時点と資材の購入時点で価格が異なる可能性があるため、調達計画を適切に立てることが重要になります。

2. 労務費や施工体制の変化

建築工事費には、資材費だけでなく、現場で作業する技能労働者の労務費なども関係しています。

建設業界では担い手の確保や技能継承が重要な課題となっており、必要な人員を確保できるかどうかは、施工計画にも大きく影響します。

また、労働時間の管理や休日の確保など、働き方改革に対応した施工体制の構築も求められています。

適正な工期を確保しながら工事を進めるためには、人員配置や協力会社との調整を含めた計画が重要です。

3. 建築物の用途・規模・仕様の違い

工事費の金額は、建築物の構造や用途、規模、採用する設備などによっても大きく変わります。

例えば、同じ床面積でも、高度な設備を備えた建築物と一般的な住宅では、必要な工事費が異なります。

建築物の構成が変化すれば、工事実施床面積が減少していても、工事費の総額が増加することは十分に考えられます。

したがって、今回の約29.4兆円という数字を見る際には、資材価格や労務費だけでなく、建築物の種類や仕様の変化にも目を向ける必要があります。

約29.4兆円は日本の建設市場全体の規模なのか?

建築工事費と建設投資額は異なる

今回の約29.4兆円という数字について、注意しておきたいことがあります。

それは、約29.4兆円が日本の建設市場全体の金額を示しているわけではないという点です。

今回の建築工事費調査は、建築物の完成時における工事実施額などを把握するための調査です。

一方、建設業界全体の市場規模を考える際には、土木工事や建築補修なども含めた「建設投資額」という指標も用いられます。

国土交通省が2026年8月31日に公表した「2026年度建設投資見通し」では、建設投資額は約81兆4,700億円になると予測されています。

両者の違いは、次のとおりです。

項目建築工事費調査建設投資見通し
主な目的完成建築物の工事実施額などを把握国内の建設投資全体の規模を把握
対象建築物の工事建築・土木・建築補修など
今回の数字約29.4兆円約81.5兆円
対象期間2025年2026年度
数値の性質調査に基づく推計値年度の見通し

調査対象や集計方法、対象期間が異なるため、これらの数値を単純に比較することはできません。

建築工事費調査は、特に建築分野の工事費の実態を把握するうえで重要な統計といえるでしょう。

建築工事費の変化は施工管理者にどう影響する?

1. 実行予算と原価管理の重要性が高まる

施工管理者は、工事を適切な予算内で進めるために、材料費や労務費、外注費などを管理する必要があります。

資材価格や施工条件が変わると、当初の実行予算と実際の工事費に差が生じる場合があります。

そのため、着工前の見積内容だけでなく、工事の進捗に合わせて実際の原価を確認することが重要です。

例えば、次のような管理が考えられます。

  • 工種ごとの予算と実際の支出を比較する
  • 資材価格の変動を定期的に確認する
  • 設計変更による追加費用を把握する
  • 協力会社との発注内容や数量を確認する

工事費の変化を早期に把握できれば、予算超過を防ぐための対応も検討しやすくなります。

2. 適切な工程管理がコスト管理につながる

工事の遅延は、現場管理費や人員配置、機材の使用期間などに影響する可能性があります。

特に、複数の専門工事業者が関わる建築工事では、一つの工程の遅れが後続作業に影響することもあります。

施工管理者は、資材の納期や作業員の配置、施工順序などを事前に調整し、無理のない工程計画を立てる必要があります。

また、工程の進捗状況を継続的に確認し、問題が発生した際には早期に対応することも重要です。

3. 資材調達と協力会社との連携

工事費の変動に対応するためには、資材の調達方法や協力会社との連携も欠かせません。

資材によっては、発注から納品までに一定の期間が必要になる場合があります。

発注のタイミングが遅れると、必要な時期に資材を確保できず、工程に影響する可能性があります。

そのため、施工管理者には次のような対応が求められます。

  • 主要資材の納期を早めに確認する
  • 工事の進捗に合わせて発注時期を調整する
  • 設計変更が生じた際の数量・費用を確認する
  • 協力会社との情報共有を徹底する

施工品質を確保しながら適切なコストで工事を進めるためには、現場全体の調整能力がより重要になるでしょう。

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建設市場の変化に対応するため、今後求められること

今回の調査では、工事実施額が増加する一方、工事実施床面積は減少していることが明らかになりました。

こうした状況では、工事費の総額だけを見て建設市場を判断するのではなく、実際の工事量や建築物の種類、コストの構成などを多角的に確認することが重要です。

施工管理の現場でも、従来以上に効率的な工事の進め方が求められる可能性があります。

例えば、施工管理アプリによる情報共有、電子的な施工記録の管理、BIMなどを活用した施工計画の検討は、業務効率化に向けた選択肢の一つです。

また、適切な原価管理や工程管理を行うためには、建設市場の最新動向を把握しておくことも重要です。

建築工事費に関する統計は、自社の工事費を直接決定するものではありませんが、業界全体の変化を知るための参考情報になります。

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建築工事費の変化や人手不足、働き方改革、建設DXなど、施工管理者が知っておくべき業界の動向は日々変化しています。

「施工管理チャンネルMAGAZINE」では、今回のような国土交通省の最新調査をはじめ、建設業界のニュース、施工管理の実務、資格制度、現場の安全対策などを幅広く解説しています。

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まとめ

国土交通省が公表した2025年分の建築工事費調査では、木造・非木造を合わせた工事実施額が約29.4兆円となりました。

今回の調査で押さえておきたいポイントは、以下のとおりです。

  • 2025年の建築工事実施額は、合計29兆3,842億円
  • 木造は10兆6,511億円、非木造は18兆7,331億円
  • 工事実施額は前年より約2.0%増加
  • 一方、工事実施床面積は前年より約6.9%減少
  • 工事費の増加が、そのまま工事量の増加を意味するわけではない
  • 施工管理者にとっても、原価管理や工程管理、資材調達が重要な課題となる

建設市場の実態を理解するためには、工事費の金額だけでなく、工事実施床面積や建築物の構成なども合わせて確認することが重要です。

施工管理者もこうした統計を参考にしながら、市場環境の変化に対応できる知識と管理能力を身につけていくことが求められるでしょう。

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