BIMの普及率は低いの?導入した7割以上の企業が効果を感じていない理由3選
BIMとはBuilding Information Modelingの略称で、建設業に勤めている人であれば一度は耳にしたことがあるでしょう。
「建設業のDX化にBIM/CIMって必要なのかな?」
「転職を考えているけどBIM使えないとだめ?」
BIMのことが分かっていないと将来の技術革新についていけないのでは?と、不安になりますよね。
BIMの普及率や導入効果についてのアンケートを株式会社Arentが集計しました。
参考:BIMデータを効果的に活用している企業は3割に留まる。入力作業の手間が課題。
この結果によると、BIMの普及率は76%。
しかし「期待した効果が得られている」と回答した企業はたった3割だったのです。
本記事では、BIMの普及率と効果を感じている企業の割合を解説しています。
BIMが企業に対してどのくらい普及し効果を与えているかを知ることで、建設業のDX化についての知識をアップデートさせましょう。
普及率:76%の企業がBIMを導入済
株式会社Arentが建築関係の152社を対象に行ったアンケートでは、下記の結果が得られました。
- BIMを導入して活用できている:39%
- BIMを導入したものの活用できていない:37%
- BIMの導入を検討中:7%
- BIMの情報収集中:12%
- 特に導入検討はしていない:4%
活用できている企業とできていない企業を合わせて、BIMを導入しているのは76%の企業です。
さらに検討中や情報収集中の企業も19%おり、関心が高いことも分かります。
BIMの導入率や関心の高さから、建設業のDX化としてBIMが注目されているのです。
BIMの導入効果を感じていない企業が約7割
BIMの導入率は76%ですが、効果を得られたと感じる企業は少ないのが現状です。
BIMを導入したことによる効果についてのアンケート結果が以下です。
- 期待した効果が得られている:32%
- それほどの効果を感じない:40%
- あまり効果を感じない:14%
- 効果を測定できない:14%
期待した効果が得られていると答えたのは、約3割と非常に少ない結果となりました。
つまり、効果を感じていないという会社は約7割です。
この結果から、BIMの導入はあまりうまくいっていないと言えるでしょう。
さらに、効果を測定できない、という会社は下記の状況であると推測されます。
「周りがBIM/CIMと言っているから導入しただけ」
「とりあえず入れただけ」
効果を感じない企業も、測定できないと答えた企業も、世の中の流れで導入しただけの可能性があります。
BIMが普及しない理由①:CADよりも難しい操作
BIMが普及しない・導入がうまくいかない理由として、操作性が挙げられます。
BIMには、CADの図面作成を置き換える、というイメージがありますよね。
しかしBIMはCADより操作が難しい、と言われています。
株式会社ライズやCADオペレータにヒアリングしたところ、「BIMはCADよりも難しい」という意見が多くありました。
建設業では図面を描く仕事は切っても切り離せず、そのツールの操作性は重要です。
使いづらいBIMよりもCADの方が仕事が捗るのであれば、BIMが普及するのは難しいですよね。
BIMが普及しない理由②:現状得られているメリットが本質的でない
BIMを導入して得られたメリットにも、普及しない理由が隠されていました。
メリットがBIMの本質とは少し離れているのです。
- 3D可視化によるコミュニケーション
- 理解度の向上
- データの整合性の強化
今まで2次元だった図面を3次元にすると、平面だったものを立体で見られるようになります。
当然、平面のときよりも理解が深まりますし、コミュニケーションや会話の面でもメリットが得られます。
ただしこれは、3DCADでも得られるメリットです。
可視化や理解度はBIMのメリットと述べるには、押しが弱いです。
さらにデータの整合性の強化の点も、本質的な効果と離れています。
2次元の図面では
- 上から見た図面
- 側面
- 正面
のように複数の図面ができあがり、これらが合っているかは、チェックするしかありません。
3Dであれば、2次元図面を重ね合わせて考えるため、チェックがし易いのです。
しかしこちらも「図面が合っているかの確認のしやすさ」というメリットであり、BIMの本質的な効果とは少し離れてしまいます。
現状得られているメリットが本質的でなければ、導入を検討している企業も「思っているものと違うかな?」と後ろ向きになってしまいますよね。
BIMが普及しない理由③:2重作業や手間が発生している
BIMのメリットが感じられない場面として、下記事項が挙げられます。
- 既存CADとの組み合わせで2重作業が生じる
- 確認申請で紙やPDFが必要になり手間が増加する
- 協力会社にBIMが導入されておらず連携ができない
すべての作業がBIMに100%置き換わっていないから、上記のような2重作業や手間が発生します。
CADであれば導入している企業がほとんどですし、「だったらCADでいいかな?」と思ってしまう企業も多いでしょう。
既存の仕組みとの共存による手間の増加こそが、BIMが普及しない理由なのです。
BIMに期待しているのは業務の効率化
BIMに期待している点として、1番多く挙げられたのが業務の効率化で43%でした。
建設業は人手不足や残業規制から、DX化に取り組んでいます。
業務が効率化できれば、今ある問題も解決に近づくのです。
しかし実情では、難解な操作性や2重作業から、業務効率化は図れておりません。
BIMは期待と実情に乖離があります。
建設業の残業規制についてはこちらの記事で紹介しているので、あわせてご覧ください。
まとめ:BIMを導入済の企業は多いものの普及したとは言えない
BIMはまだまだ普及しているとは言えません。
導入率は76%だとしても、そのうち約7割の企業が効果を感じてないからです。
- CADよりも難しい操作
- 現状得られているメリットが本質的でない
- 2重作業や手間が発生している
100%BIM化すれば、業務の効率化というメリットが得られるでしょう。
導入率や高い関心は得られているので、今後のBIMにも要注目です。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。