残業規制で困る建設業界|管理職退職、受注減、経営不振の負の流れ
「建設業の残業規制、良い方向に進んでいる?」
「残業規制に何か問題は起きている?」
2024年4月に始まった残業規制。
この残業規制で困った問題が起きていることはご存知ですか。
本記事では小規模の建設会社でよく聞く事例として、残業規制で会社が経営不振に陥っている流れを説明します。
建設業にお勤めで今後の経営状況が気になる方は、ぜひ一読ください。
何が原因で残業規制が問題を起こしているか、詳しく理解できますよ。
建設業界が残業規制で困る理由①:捌けない仕事は管理職が残業
残業規制が始まっても仕事量は変わりません。
そのため労働時間内で捌けなかった仕事は、管理職や役員が残業して終わらせるしかありません。
管理職や役員は残業規制の対象ではないからです。
「人が足りないのであれば雇えばいいのでは?」と考えるのですが、建設業界は人手不足。
人手不足なので人員を補充することはできません。
建設業の人手不足については下記記事でも解説しています。
残業規制で1人当たりの働ける時間は減ります。
しかし仕事量は変わりません。
残ってしまった必要な業務は管理職や役員が行う、という流れは中小企業で顕著になっています。
建設業界が残業規制で困る理由②:管理職は労働時間が増え退職
終わらない業務を振られた管理職や役員は、給料が増えないのに労働時間が増えてしまいます。
管理職は残業代がつかないからです。
これでは割に合わないので、退職してしまいます。
「いつ辞めようかな」
「引き際はいつがいいだろう」
そのように考える年齢です。
人手が足りないから残ってほしい、と会社に言われて残っていた人も多くいます。
人手不足で残ったのに、給料は増えず残業が増えれば不満が積もり退職してしまいますよね。
- 子育てが落ち着いたから
- 体力的に厳しいから
- 年金が貰えるから(お金の問題はない)
上記のような理由も相まって、管理職は退職してしまいます。
建設業界が残業規制で困る理由③:有資格者の管理職が減り受注できない
ほとんどの管理職や役員は、有資格者であることが多いです。
有資格者がいないと工事が受注できない場合があり、会社は困ってしまいます。
求められる資格の例として以下のものが挙げられます。
- 施工管理技士
- 建築士
- 技術士
工事の規模によって条件は変わりますが、建設業において有資格者が重宝されるのは明らかです。
仕事があったとしても、有資格者がいなければ工事の受注ができません。
受注できなければ売り上げは減り、経営不振に陥ってしまいます。
最悪の場合は経営が成り立たず、会社を廃業することになってしまうのです。
中小企業はとくに人手が足らず、経営不振という状況に陥りやすいです。
今後もこういった事例は増えると考えられます。
問題を解決するレベルのDXの実現は厳しい
建設業では人手不足もあり、働き手の確保を望んでいます。
異業種や未経験からの転職もどんどん受け入れています。
働き手を簡単に増やせれば苦労しないのですが、そんなにうまくいかないのが現状です。
AIも発達してきましたし、DX化が効果的と考える人もいるでしょう。
DX:デジタルトランスフォーメーション
デジタル技術を活用。
企業や組織の業務プロセスやサービス・ビジネスモデルを変革して価値を創出することを言います。
この問題を解決できるレベルのDXの実現は厳しいです。
劇的な効果がないからです。
- そろばん→電卓→PC
- アナログカメラ→デジタルカメラ
- 手書きの仕訳伝票作業→会計ソフト
このくらいの大きな変革であれば、残業規制による経営不振の問題解決に効果はあります。
しかし現状では劇的な効果が得られるDX化はないのです。
まとめ:中小企業は残業規制で経営不振に困っている
働き方改革のために始まった残業規制。
困ったことに、規制が逆効果になって会社の経営不振が引き起こされています。
- 残業規制で捌けない業務が管理職へ
- 高齢の管理職が退職してしまう
- 退職者が有資格者で仕事が受注できない
この流れで、とくに中小企業では経営不振が顕著になっています。
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施工管理チャンネル by 株式会社ライズ
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