残業100時間超え!? 施工管理のブラック現場の実態と改善の兆し

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施工管理という仕事は「やりがいは大きいが、とにかく残業が多い」というイメージがつきまといます。実際、月に100時間を超える残業に追われる現場も存在し、健康や家庭生活を犠牲にして働いている人も少なくありません。しかし、2024年からは建設業にも残業時間の上限規制が適用され、ICTやDXによる効率化が進みつつあります。

本記事では、施工管理の残業が多い理由やブラック現場の実態、改善に向けた動き、そして残業を減らすための具体的な方法について解説します。これから施工管理を目指す人も、今働いていて将来に不安を感じている人も、ぜひ参考にしてください。

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施工管理はなぜ「残業が多い」と言われるのか

施工管理が「残業が多い」とされる最大の理由は、業務範囲の広さと人員不足にあります。以下では、具体的な要因を整理して解説します。

業務範囲の広さ

施工管理は現場監督として、工程・安全・品質・原価の「4大管理」を担います。進捗確認、安全確保、品質維持、コスト調整に加えて、資材発注や協力会社との調整、施主への報告なども行うため、仕事の幅が非常に広いのが特徴です。日中は現場で打ち合わせや確認に追われ、書類作成は夕方以降に集中し、残業につながります。

慢性的な人手不足

建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに減少を続け、2022年には479万人と約30%も減少しました。一方で建設投資額は増加に転じており、担い手が減る中で案件は増えています。そのため一人あたりの業務負担は年々大きくなり、特に中小企業では「1人現場」を任されるケースも珍しくありません。

アナログ業務の多さ

施工管理の仕事にはいまだにアナログ作業が多く残っています。写真を撮影してから事務所に戻って整理する、紙の図面や報告書の作成、電話中心のやりとりなどがその典型です。これらは時間を圧迫し、残業の直接的な要因となっています。

外部要因に左右されやすい工事

工期厳守が基本の建設業界では、計画が狂っても期限は延長されないことが多くあります。悪天候や資材遅延、設計変更などの不測の事態が発生すれば、その遅れを残業や休日出勤で取り戻すしかなく、現場監督である施工管理に負担が集中します。

データで見る残業時間の長さ

厚生労働省の統計による全業種の平均残業時間は月13.7時間ですが、施工管理はそれを大きく上回ります。調査によっては月50時間前後、場合によっては100時間超という結果も示されており、特に建築施工管理は施工管理の中でも残業時間が長い傾向にあります。

ブラック現場の実態|残業100時間を超えるケースも

典型的な長時間労働の現場例

施工管理のなかでも、大型案件を抱える現場はとりわけ長時間労働に陥りやすい傾向があります。工期は契約で厳格に定められており、多少のトラブルがあっても納期が延長されることはほとんどありません。計画が遅れれば、そのしわ寄せはすべて現場管理者に集中します。

特に公共工事や大規模な商業施設の建設では、短期間に数多くの工程を消化する必要があり、連日のように深夜残業が発生します。週末も休めず、現場と事務所を往復するだけで一日が終わり、移動中すら休息時間を確保できないケースも珍しくありません。こうした生活が続けば、月の残業時間が100時間を超えることもあり、実際に厚労省や労働組合の調査でも「過労死ライン」とされる80時間を超える施工管理者は2割前後にのぼると報告されています。

過労が招く健康リスク

過度な残業は、単に「疲れる」というレベルでは済みません。長時間労働による睡眠不足や疲労の蓄積は、脳卒中や心筋梗塞といった致命的な疾患のリスクを高めることが医学的にも指摘されています。また、注意力や判断力の低下による労災事故も増えやすく、現場の安全を守るべき施工管理者自身が危険にさらされる皮肉な状況も起こります。精神的なストレスも大きく、うつ病などメンタル面の不調が離職につながる例も少なくありません。

家庭生活への影響

健康リスクと並んで深刻なのが家庭への影響です。毎朝早くに出勤し、日付が変わる頃に帰宅する生活を続けていれば、子どもと関わる時間はほとんどなくなります。夫婦間の会話も減り、家事や育児の負担が片方に偏ることで不満が蓄積し、家庭不和や離婚に発展するケースもあります。

若手社員にとっても、こうした先輩の姿は「自分には将来続けられない」という不安を強める要因となります。その結果、入社後数年で離職する若手が後を絶たず、人手不足がさらに深刻化するという悪循環が業界全体に広がっています。

なぜ残業が減らないのか?構造的な要因

「働き方改革」が進んでいるにもかかわらず、施工管理の残業はなかなか減っていません。その背景には、業界特有の構造的な課題があります。

慢性的な人材不足

建設業界の就業者数は1997年の685万人をピークに減少を続け、2022年には479万人まで落ち込みました。約30%もの人員が減少している一方で、建設投資額は再び増加傾向にあり、現場を担う人手は明らかに不足しています。特に若手の入職者が少なく、シニア層に業務が集中しているため、一人当たりの作業量は増大し、残業が常態化しているのです。

工期・納期の厳しさ

建設業界では、施主や元請けが定めた工期は「絶対」とされます。多少のトラブルがあっても納期を延長できるケースは少なく、天候不良や資材の遅延、設計変更があれば、その遅れを取り戻すために残業や休日出勤で対応せざるを得ません。スケジュール管理が難しく、工期厳守を優先する文化が長時間労働を生み出しています。

アナログ業務の多さ

施工管理の仕事には、いまだにアナログな業務が多く残っています。現場写真を撮影してから事務所に戻って整理する、図面や報告書を紙で出力する、電話での調整が中心になるといった作業は、効率を大きく下げます。2023年の調査では、施工管理者の57%が「写真整理に時間を取られる」と回答しており、こうした作業が残業時間の増加に直結していることがわかります。

業界文化としての長時間労働

建設業界には「長時間働いてこそ一人前」という価値観が根強く残っています。上司や先輩が遅くまで残っていれば、部下も帰りづらい雰囲気が生まれ、残業が半ば強制されることも珍しくありません。実際に「働き方改革」が浸透していない企業も多く、休日出勤や長時間労働を当然視する風土が続いています。

改善の兆し|働き方改革とDX導入

国・業界の取り組み

2024年4月からは建設業にも残業時間の上限規制が適用されました。原則として月45時間、年720時間以内に抑える必要があり、違反には罰則が科されます。これにより、「残業前提」の働き方は法的にも通用しなくなりつつあります。

また、大手ゼネコンやサブコンを中心に「働き方改革宣言」を打ち出し、週休2日モデル工事の導入や人員体制の強化を進めています。

ICT・DXの活用

現場の効率化を支えるのがICTやDXの技術です。施工管理アプリやクラウドサービスを導入することで、現場写真の共有や承認フローをオンラインで完結できるようになり、事務作業の負担を大幅に減らせます。

さらに、ドローン測量やBIM/CIMを活用すれば、測量・設計・進捗管理が効率化され、資料作成や報告業務も短縮できます。こうしたツールを積極的に導入する企業では、残業削減の効果が現れ始めています。

企業ごとの取り組み事例

実際に残業削減プロジェクトを立ち上げ、現場の業務分担を見直したり、若手社員の定着を目的としたメンタルケア制度を導入したりする企業も増えてきました。単なる制度だけでなく、相談しやすい社風やチーム制での分業を整えることで、働きやすい環境を整備しようとする動きが広がっています。

施工管理で残業を減らすためにできること

制度改革やDXの導入が進む中で、残業を減らすためには企業や業界全体の取り組みに加えて、個人の意識や選択 も大きなカギを握ります。ここでは、施工管理職が実践できる具体的な工夫を紹介します。

タスク管理と段取りの工夫

まず重要なのは、日々の業務に優先順位をつけることです。書類作成や連絡業務を後回しにするのではなく、現場の合間に処理できることはその場で対応するなど、段取りを工夫することで効率は大きく変わります。朝の段階で1日の流れを整理し、「今日必ずやること」と「後日に回せること」を明確にするだけでも、残業時間を抑えられる可能性があります。

働きやすい企業を見極める

残業の多さは、個人の努力だけでは限界があります。そのため、転職や就職の際に「働きやすい環境かどうか」を見極めることが欠かせません。求人票に記載された年間休日や平均残業時間をチェックするだけでなく、面接で「現場の担当人数」「ICTやクラウドの導入状況」などを確認すると、実際の働き方を具体的にイメージできます。また、口コミや社員の声を調べることで、数字だけでは見えないリアルな現場の実態が分かります。

転職や派遣という選択肢

どうしても残業が多い環境で消耗している場合は、思い切って働き方を変えるのも選択肢のひとつです。特に派遣社員として働く場合は、労働時間が契約で厳格に管理されるため、サービス残業や過度な時間外労働を強いられるリスクが少なくなります。さらに、派遣会社を通じて研修や資格取得の支援を受けられる場合もあり、キャリアアップとワークライフバランスを両立しやすい点も魅力です。

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まとめ|施工管理の働き方は改善に向かっている

施工管理は依然として残業の多い職種ですが、2024年の残業規制やDXの浸透によって、少しずつ改善の兆しが見え始めています。会社によっては完全週休2日制を導入したり、ICT施工を標準化したりする事例も増えており、かつての「ブラック現場」とは異なる環境が整いつつあります。

重要なのは、自分自身がどのように働きたいのかを明確にし、企業選びや働き方の工夫でその環境をつかみにいくことです。残業が当たり前だった時代から、施工管理の働き方は確実に変わり始めています。

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