集落から外れた一軒家|ポツンばかりになれば自治体財政は危機的に!

山奥で集落から外れて生活する人を紹介する、ポツンと一軒家をご存知でしょうか。
テレビ朝日系列で放送されており、車1台がやっと通れるくらいの狭い道を進みながら、ポツンと一軒家を目指して訪問する番組です。
とても面白い番組ですが、自治体の財政面からは厳しい課題もあります。
本記事ではJBpressの記事を引用して、集落から外れた一軒家にかかる税金の問題を説明します。
1人でも住んでいる限り、インフラ整備が必要です。
ある役人は言った「『ポツンと一軒家』はおもしろいけど、美化しないで」 コンパクト化へ求められる自治体の役割|JBpress
財政が厳しく人口減少の進む日本では、コンパクトシティが効率的です。
行政・民間サービスも、人が集約されるほど効率よく提供できます。
最後までお読みいただけば、インフラを維持するためにもコンパクトシティが重要な理由が分かりますよ。
集落から外れた「ポツンと一軒家」の財政面の問題
山奥の集落から外れた一軒家でも、税金を使わなくてはなりません。
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霞が関の役人の1人は、「『ポツンと一軒家』は番組としてはおもしろいのだけど、ああいう生活をしている人を美化しないでほしい。だって彼らのために生活インフラを整えるコストは半端ない。できれば、山から下りてきて街に住んでほしい。正直、中山間地域のインフラをいつまで維持できるか本当に心許ない」と言います。
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1世帯でもあればインフラ整備が必要です。
- 電気
- 舗装された道
- 橋
一部舗装されていない道を通ることもありますが、すべてがそうではありません。
私道ではなく公共道路である限り、メンテナンスされています。
道路や橋を作るためには、税金が必要です。
集落から外れた一軒家に住む1人のために、インフラ維持コストの問題が挙げられます。
国の方針はコンパクトシティ化
国民が住む場所を集約化する方針を、国では掲げています。
日本はこれから人口が減少し高齢化が進みます。
都市機能誘導地域や居住誘導地域を定めるコンパクトシティ化は、財政面での期待大です。
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持続的な成長を実現できるよう社会インフラが賢く使える都市空間の形成を進めていく必要がある。その具体策の一つとして、集約型の都市構造(コンパクトシティ)の形成が考えられる。コンパクトシティが実現すれば、健康で快適な生活の実現、財政・環境面での都市の持続可能性の向上、地域経済の下支え等の効果が期待される。
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例えば、100人住んでいる地域があったとします。
A:100人全員が集落から外れた一軒家
B:100人が平地のマンションに住んでいる
この2つの条件では、Bのほうがインフラ維持コスト面では効率的です。
住む場所を集約化するコンパクトシティは、道路や橋を維持する本数が減るからです。
「静かなところに住みたい。」、「人混みは嫌だ。」のような要望があったからです。
高度経済成長期あたりから、人が郊外に広がりました。
お金に余裕のある国ではないため、コンパクトシティの実現を進めたい状況です。
短時間に狭い空間で1つのサービスを提供できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
集落から外れた一軒家への課題
JBpressでは記事内で、1つのサービスに対する多大なコストを問題視しています。
- 行政サービス
- 民間サービス
- インフラの老朽化
課題①:行政サービス
集落から外れた一軒家に住むのは、高い割合で高齢者です。
必要となる行政サービスは、介護や福祉が中心です。
例えば訪問ヘルパー。
人手が必要な仕事のため、ポツンと一軒家ばかりだと、サービス提供に多大なコストがかかります。
移動に時間がかかり、1人の介護士・看護師が訪問できる軒数が限られてしまうためです。
集落から外れた一軒家ばかりでは、行政サービスはコスト面でとても不利といえます。
課題②:民間サービス
コスト面で不利なのは、行政サービスだけではありません。
民間レベルでも、一定の範囲・エリアに顧客のいるサービス業は効率的です。
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コンビニの商圏は、「歩いて5分程度で、昼間人口3,000人、夜間人口3,000人、世帯数1,000世帯以上を条件とする。」と言われている
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さらにJBpressでは、半径500m圏内としており、これらがコンビニを出店すべき条件です。
集落から外れている一軒家ばかりでは、コンビニを出す場所もありません。
コンパクトなエリアの中で人が集約されれば、民間サービスも入ってきます。
サービスは充実し、税収も入り、街が活性化される要因になります。
民間サービスも、わざわざポツンと一軒家ばかりの広大な場所は選ばないでしょう。
課題③:インフラの老朽化
人々が生活するために欠かせないインフラ。
電気やガス、水道、通信などの整備も、集落から外れた一軒家ばかりではコストがかかります。
現在整備されている道路や橋でも、老朽化により改修・更新は必要です。
1人でも住んでいるのであれば、集落から外れていてもメンテナンスが必要です。
1人のために予算を振り分けなければなりません。
ポツンと一軒家ばかりだと、自治体の財政はピンチになるでしょう。
インフラ老朽化は、避けられる問題ではありません。
ポツンと一軒家ばかりでは、財政が立ち行かなく恐れもあるでしょう。
まとめ:集落から外れたポツンと一軒家ばかりになると自治体財政が持たない
どのような場所でも、人が住む限りはインフラ整備が必要です。
行政や民間サービスの効率化を考えると、コンパクトシティは人口減少・高齢化した日本社会には効率的です。
もしも集落から外れたポツンと一軒家が増えてしまうと、自治体財政は持たない可能性もあります。
面白い番組ではありますが、財政面や自治体の立場から見たポツンと一軒家の課題を紹介しました。
施工管理チャンネルMAGAZINEでは、テレビで取り上げられる建築業界やインフラに関する問題を紹介しています。
クローズアップ現代で取り上げられた、大工不足が引き起こすトラブル紹介はこちらの記事です。
人口減少の日本で起きている、建設業界の問題をぜひ知ってください。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。