公共工事の設計変更は第三者チェックで厳しく協議!工期遅延や負担増が課題となる制度

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タイトル:公共工事の設計変更は第三者チェック後になります

公共工事の設計変更に、第三者チェックが導入されたニュースをご存知でしょうか。

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令和7年度より、契約変更の手続きの透明性を確保するため、国土交通省直轄工事において契約変更前に必要に応じて受発注者以外の第三者が適正性をチェックし、その意見を反映、公表する仕組みを導入します。

引用:直轄工事で契約変更前の第三者による適正性チェックを導入|国土交通省

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今までは発注者である国土交通省と受注者である施工業者の2者で、設計変更について協議していました。
外部からのチェックはありませんでした。

本記事では、第三者チェックについての以下の内容を説明しています。

  • 第三者チェックの対象工事
  • 第三者チェックの具体的な内容
  • 第三者チェックが必要となった理由
  • 第三者チェックの課題

2025年度より試行的に始まった、新制度です。
工期遅延や施工業者の負担についても触れているので、最後までお読みください。

第三者チェックの対象になる公共工事は?

第三者チェックの対象になる工事

すべての公共工事が、第三者チェック対象ではありません。
国土交通省管轄で工事規模が大きい工事のうち、以下に当てはまるものが対象です。

第三者チェックの対象工事

  • 変更金額が大きい
  • 工事区分が追加される
  • 工事場所に別エリアが追加される

変更金額が大きい場合

設計変更によって、当初の請負代金が2倍以上となるような大幅な増額が見込まれるケースです。
例えば、当初1億円の予算だった工事が設計変更により2億円以上に膨らむ場合、第三者チェックが必要になります。

大幅な金額変更のため、妥当性を客観的に検証しなくてはいけません。

ちなみに公共工事の設計変更には30%ルールもあります。
予算管理と公平性の観点から、設計変更による増額分を30%までに収めるルールです。
以下の記事で説明しているので、あわせてお読みください。

公共工事の費用増額を左右する30%ルールの目的と例外ケース|知らないと困る?

2025.06.12

工事区分が追加される場合

当初の契約には含まれていなかった、異なる種類の工事が追加されるケースも対象です。
例として、トンネル工事受注後に、橋台工事も行う場合が挙げられます。

トンネル工事と橋台工事は、違う種類の公共工事です。
設計変更として対応するのが妥当であるのか、第三者チェックが必要とされます。

工事場所に隣接地・別エリアなどが追加される場合

工事場所に隣接地や別のエリアが追加されるケースも、第三者チェックの対象です。
Aエリアで施工していたのに、まったく違うBエリアでも工事が必要となったイメージです。

この場合も、設計変更として対応するのが適切であるか、第三者がチェックする必要があります。

第三者とチェックそれぞれの詳細

「第三者」と「チェック」についての詳細

公共工事の設計変更における第三者チェックは、誰がどのように行うのでしょうか。

第三者:学識者や有識者

国土交通省はこの第三者を「学識者や有識者」と定義しています。
具体的には、以下のような立場の人々が想定されます。

  • 大学の教授:土木工学や建築学などの専門分野で高い知見を持つ研究者
  • 弁護士:契約内容や変更の法的な妥当性を判断できる人物
  • 建設業協会の会長:業界の動向や技術的な課題を理解している人物
  • 各工事の専門家:特定の工事分野で深い知識と経験を持つ人物

これらの第三者は、国土交通省が選定します。
中立的な立場で公共工事に対して、客観的な判断を下せる人物が選ばれるでしょう。

チェック方法:委員会形式や個別ヒアリング

第三者によるチェックは、必ず複数人で行われます。
チェックの方法は、委員会形式や個別ヒアリングです。
チェックを通じて、公共工事における設計変更の必要性や内容の妥当性をチェックします。

意見聴取の結果として、変更の経緯や判断理由、内容などがWeb上で公表予定です。
公共工事は税金を使うので、国民に公表する必要があるでしょう。

公共工事に第三者チェックが必要となった背景

第三者チェック導入の背景

なぜ国土交通省は、第三者チェック制度を導入するのでしょうか。
発端となったのは、2024年の国会審議です。

国会審議で話題になった内容は?
公共事業の全体事業費と、個別工事の大幅な増額変更です。
公共工事について「なぜ増えているのか」、と疑問の声が上がりました。

国会審議の内容を受けて、衆参両院の国土交通委員会で第三者チェック制度導入が決まりました。
公共事業費が増えると、「工事の増額は本当に必要か?」「予算は抑えられないか?」などの疑問が生じるのは当然です。

第三者チェックを導入したのは、公共事業費や個別工事予算の増額変更が背景にあります。
適正な増額であるか、チェックする必要が生じたためです。

公共工事の第三者チェックについて考えられる課題

第三者チェックの課題

第三者チェックには、課題もあります。
工事遅延のリスクと、施工業者への負担です。

工事の遅延リスク

第三者チェックは、設計変更が決定される前に行われます。

第三者チェックのプロセスは?

  1. 変更案を作成
  2. 第三者チェック
  3. 正式に決定

「進行中の工事遅延は避ける必要がある」と国土交通省は述べています。

工事の遅延は避けられるでしょうか。
現実的にはチェックに時間を要し、結果として工期に影響が出る可能性は否定できません。

施工業者への負担

国土交通省は、公共工事を施工する業者に負担がかかるのは想定していない、と述べています。
しかし第三者チェックの過程で、資料や説明は要求されると考えられます。
その資料は、施工業者が提出するのではないでしょうか。

施工業者は通常業務に加えて、第三者チェックの対応に追われ、結果として負担が増加する懸念があります。

現場経験のある人の感覚では?
第三者チェックがなくても、公共工事の変更には時間がかかるケースが多々ありました。
決裁がとおるまでのチェックが長いためです。
第三者チェックが入れば、さらに時間がかかるのでは?と懸念する人は多くいるでしょう。

国土交通省は影響がないと言っていますが、施工業者の負担は増えるのではないでしょうか。

まとめ:公共工事の設計変更が適正であるか第三者チェックが入ります!

国土交通省が2025年度から導入する設計変更の第三者チェック制度。
公共工事の設計変更が適正であるかを、学識者や有識者がチェックします。

対象となる工事は、国土交通省直轄の大規模工事です。
変更金額が当初の2倍以上になる場合や、新たな工事区分・工事場所が追加される場合などとされています。

国土交通省によると施工業者の負担に影響はないそうですが、工事遅延や資料準備は課題といえるでしょう。
この新しい第三者チェック制度は、今後の動向を注視していく必要があります。

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