職人は減ったのに監督は増えた|建設業界の人手不足にはエージェントが関係!

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タイトル:なぜ?職人は減って監督が増えた!?

建設業界は現在、人手不足に苦しんでいます。
国土交通省のデータによると、職人はこの数年で着実に減少し、反対に施工管理を担う監督の人数は増加傾向です。
人手不足が深刻化する中で、なぜこのような現象が起きているのでしょうか。

本記事では、統計データをもとに職人と監督の就業者数の推移を解説。
その背景にあったのは、エージェントと法律の壁でした。
最後までお読みいただくと、監督は増えたのに職人が減った原因がよく分かりますよ。

職人は減って監督は増えた

職人・監督の就業者数の推移

国土交通省の建設業における職業別就業者数の推移によると、職人は減り監督は増えています。
グラフでは、技能者(黄色)が職人を、技術者(オレンジ)が監督を指しています。

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建設業における職業別就業者数の推移
引用:建設行政に関する最近の話題|国土交通省

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職人の数は、2020年は321万人いたのに対し、2023年には304万人まで減っています。
つまり3年間で17万人の減少です。

一方、監督の数は2020年には37万人いたのに対し、2023年には38万人。
減った職人に対して、監督は1万人増えています。

年次に分けてさらに詳しく見ていきましょう。

職人(万人) 監督(施工管理)(万人)
2019年 327 36
2020年 321 37
2021年 312 35
2022年 305 37
2023年 304 38

職人は年々減っています。
監督は2021年にコロナの影響が考えられる減少はあったものの、職人と違い減少傾向ではありません

監督が増えた理由はエージェント

監督が増える理由とは?

建設業では人手不足が叫ばれているのに、監督はなぜ増えているのでしょうか。
転職が増え、エージェントにより他業種からの流入が増えたことが原因と考えられます。

厚生労働省が発表した、令和5年度職業紹介事業報告書の集計結果によると新規求職申込件数は増加傾向です。

項目 件数 対前年度比
有料職業紹介事業(紹介会社・エージェント) 38,608,712件 34.7%増
無料職業紹介事業(ハローワーク) 212,141件 11.7%減

紹介会社、つまり就職・転職エージェントへ「仕事を探してほしい」と来た人は年々増えています。
令和5年度は、前年より1,000万件も増加し、2年前の約2倍となっています。
※件数のため重複しているケースを含む

日本の15~65歳未満の生産年齢人口は、7,000万人台。
それに対して申込件数が3,800万件は驚くべきです。

「監督を経験するとスキルが身につく」といったうたい文句で、転職者へ訴求するケースも多くあります。
監督を経験すると、以下のスキルが身につくためです。

  • CADやパソコンのデジタルスキル
  • コミュニケーションスキル
  • マネジメントスキル

どのスキルも、その後他業種に転職しても使えるでしょう。
つまり監督が増える原因の1つとして、エージェント経由で他業種から人が集まっている点が考えられます。

職人が減ったのはエージェント禁止の法律

職人が増えない理由とは?

監督が増えるのに職人が減ったのは、何故でしょうか。
監督が増えた理由であるエージェントの視点から解説すると、法律が絡んでいます。
職人の人材紹介や派遣は法律上禁止です。

職人の人材紹介・人材派遣は禁止!人手不足が加速する要因と流動性抑制の理由

2025.05.12

施工管理を行う監督はエージェントの紹介が認められています。
一方で職人は、エージェントの紹介や人材派遣は認められません

職人の紹介・派遣が禁止される理由

  • 紹介が禁止されている理由
    • 人材紹介会社が工事現場の危険周知を適切にできるか分からないため
    • 指揮命令がはっきりしない勤務先への紹介となるため
  • 職人の派遣が禁止されている理由
    • 閑散期に派遣切りが懸念されるため
    • 多数の下請混在で指揮命令がはっきりしないため

建設業の中でも、職人だけが紹介や派遣を法律で禁止されています。
これも職人が減った理由の1つといえるでしょう。

職人の紹介・派遣解禁は人手不足解消の鍵

人材不足解消への道

減ってしまった職人を増やすには、紹介・派遣を解禁するのも1つです。
職人の人材紹介・派遣禁止制度は、興味ある人材の挑戦機会を失っているともいえるからです。

昔は近所の人から紹介され、職人の道へ進む人もいました。
ところが今では、そのような機会は減っています。

紹介・派遣解禁は、職人の人手不足解消の鍵です。
しかし課題も多いため、実現は難しい部分もあるといえるでしょう。

まとめ:職人が減って監督が増えたのはエージェントの影響もある

職人が減少し監督が増えている背景には、エージェントの影響が大きく関係しています。
監督は紹介が可能な職種であり他業種からの人材流入が進んでいます。
しかし、法律により職人は人材紹介・派遣が禁止されているため、人材が集まりにくい現状。
この制度もまた、人手不足に拍車をかけているといえるでしょう。

将来的な解決策として、職人への人材紹介・派遣の解禁は検討されるべきです。
ただし課題も多く、環境を整えるにも時間がかかってしまうでしょう。

職人の人手不足については、以下の記事でも解説しています。
大工やとび職などそれぞれの人手不足について、ぜひ知ってください。

建設業の人手不足!技能者・職人編|とび・大工・左官・鉄筋・配管の10年後

2024.07.18

この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。

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