職人派遣の解禁が提言された!日建連の考えとCCUS連携の課題

日本建設業連合会(日建連)が、職人派遣の解禁について提言しました。
さまざまな職種で派遣労働者がいるものの、大工やとび職などの職人は派遣が禁止されています。
しかし建設業界は人手不足。
そこで大手ゼネコン団体である日建連が、職人派遣の解禁について述べています。
本記事では、職人派遣解禁の理由や課題を解説します。
日建連はCCUSとの連動を挙げていますが、資格でレベル分けするため、技術力が関係しません。
もしも職人派遣を解禁するなら、CCUSの評価を適正にするなら、深掘りしてみました。
日建連が職人派遣の解禁を提言

日本建設業連合会(以下、日建連)は、建設業の長期ビジョン2.0を発表しました。
このビジョンでは、建設業の使命や、人材の見通しなどについて書かれています。
その中のコラムでは、労働者派遣事業の解禁について触れています。
コラムのため方針ではありませんが、派遣解禁について意見したことは大きな動きです。
ちなみに職人の派遣が禁止されている理由は、以下の記事で解説しています。
なぜ職人だけが派遣禁止? と不思議に思う人は、あわせて読んでみてください。
日建連が職人派遣の解禁を提言する理由

日建連の長期ビジョン2.0のコラム内では、以下内容が書かれていました。
しかし以下状況の中、今後も派遣を禁止するのは妥当でしょうか。
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地域や時期による需要の変動が激しい(派遣のニーズが高い)
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企業に所属せず柔軟な働き方を望む人もいる(多様な働き方)
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施工管理は派遣が一般的
職人の処遇も改善が進んでおり、今後はCCUSとの連動による賃金の支払いが徹底されていきます。
このような内容から、職人の派遣一律禁止は見直してもいいのではないでしょうか?
詳しくは、建設業の長期ビジョン2.0詳細版の39ページに記載されています。
コラム内では職人派遣禁止の理由として、中間搾取を挙げています。
昔は賃金の不当な中抜きも横行していたため、職人派遣は禁止のままです。
さらにコラム内では職人の処遇についても触れています。
「労務費の基準」が策定されれば、CCUSの技能レベルに応じた賃金の支払いが徹底されていくこととなるであろう。
引用:建設業の長期ビジョン2.0詳細版|日本建設業連合会<https://www.nikkenren.com/sougou/vision2025/assets/pdf/Long-term_vision_2_Detailed_version.pdf>
標準労務費は、CCUSで職種別に決まっており、ランクも4つに分けられています。
この基準が定められているならば、不当な中抜きもできなくなります。
労務費の基準があれば派遣を解禁できるのではないか、と日建連は提言しています。
職人派遣の解禁の課題

日建連と同様に、職人派遣の解禁には前向きな意見も多くあります。
しかし、CCUSとの連動には課題が残ります。
建設業で働く人が全員登録し、大多数が納得する評価基準であれば問題がありません。
しかし実際はこのランク付けに、疑問の声が多く上がっています。
CCUSは資格でしか判定をしておらず、経験を含めたランクの判断は未導入。
建設業界には、腕はいいけど資格がない人も多く、実力主義の考え方にはCCUSが合っていません。
例えば資格ばかり持っている新人のほうが、資格なしの高技術な経験者よりも、ランクが上と判断される可能性があります。
職人派遣の解禁は、CCUSの評価が適正であることが大前提です。
さらにCCUSは登録にも費用がかかります。
そのため登録していない場合の職人派遣についても、考慮しなければなりません。
CCUSとの連動を実現するには?

職人派遣を解禁するには、CCUSとの連動が必要不可欠です。
そのため、CCUSの評価方法の適正化が重要になります。
例えば作業内容をスピードや品質で判定できる仕組みがあればどうでしょうか?
資格だけでなく、技術力も含めた評価ができます。
CCUSのランク付けに技術力が含まれ信頼性が上がると、職人派遣との連動も現実的になるでしょう。
まとめ:職人派遣の解禁にはCCUSの評価適正化が課題
職人派遣の解禁について、CCUSの技能レベルに応じた賃金支払いだけでは、課題が残ります。
現在のCCUSは資格のみで評価されているからです。
技術レベルに応じた評価も導入し、より適正なレベル分けが必要とされています。
職人派遣が解禁されるのか、今後の動きにも注目です。
職人を取り巻く環境は、課題も多く残っています。
建設業退職金共済が打ち出した職人の退職金新制度については、以下の記事をお読みください。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。