積水ハウスが大工1,000人を正社員化!その背景とSNSでの賛否を解説
大工といえば、一人親方や下請け業者として働くイメージがあるでしょう。
たしかに現場で経験を積み、自ら業務を請け負う一人親方になる流れは一般的です。
しかし積水ハウスグループは、大工を正社員として直接雇用する取り組みを進めています。
その目標はなんと、2033年に1,000人体制を目指すというものです。
そこで本記事では、積水ハウスが大工を正社員化する背景と、SNS上で巻き起こった賛否の意見について解説します。
肯定的な意見もあった一方で、技術に関する疑問も出ています。
今後の建設業は大工を雇用する流れになるのか、まずは積水ハウスの事例からその実態を知りましょう。
「積水ハウスで大工1,000人正社員雇用」の詳細

2月13日号の日経ビジネスに掲載された記事が、建設業界で話題になりました。
大工の確保が難しくなる中、下請け依存を脱却する戦略。
積水ハウス建設ホールディングス(積水ハウスグループの子会社)が、大工正社員化という異例の選択をしています。
参考:積水ハウス、大工1000人正社員化の賭け 「家建たぬ」危機へ先手|日経ビジネス
直接雇用を積極化したのは2023年から。
現在の在籍者はすでに600人に迫っており、2026年4月には100人の入社を見込んでいます。
採用の中心は高卒で、これまでの年間30〜40人から年間130〜140人へと大幅に増やす方針です。
なんと入社後は、半年間の全寮制訓練校で技術をしっかり学ぶ仕組み。
ただ大工を雇用するだけではありません。
「クラフター制度」と呼ばれる、独自の評価制度・成果給も導入。
ホープ→チーフ→マスターと3段階で昇格できます。
すでにこの制度で働く33歳の大工は、年収800万円超えを実現しているケースもあるそうです。
この年収は、一般的に標準より高いとされています。
「施工部隊として自立し、他社の工事を受けるなど新たな事業機会も狙える」と、担当者は話しています。
積水ハウスが大工を正社員化する背景

ハウスメーカーはこれまで、景気の波に合わせてコストを調整しやすいよう、外注・下請け依存の構造をとってきました。
一人親方と呼ばれる個人事業主に仕事を発注し、雇用や社会保険の負担を曖昧にしたまま現場を回す体制が長年続いてきたわけです。
しかしその結果、今や繁忙期に大工を確保できない事態が各所で起きています。
大工の数は年々減り続けています。
大工就業者数の推移|国土交通省
大工不足やそのトラブルについては、以下の記事でも解説しました。
パワービルダーのように単価を抑えて、一人親方と呼ばれる個人事業主を安く使う。
これは短期回転で利益を得る型のビジネスであり、長く続かないのではないかといわれています。
住宅需要には波があります。
好景気なら家は売れますが、不況になれば一気に受注が落ちます。
固定費である正社員を多く抱えることは、需要が見通せない中では経営上のリスクが大きく、各社が踏み切れなかったのが実情でした。
直接雇用の場合は、大工の給与が固定費になってしまいます。
しかし積水ハウスが固定費リスクを取ってでも直接雇用に踏み切った背景には、人員不足の危機感もあるでしょう。
積水ハウスの大工正社員化についてのSNS上での意見

この報道はX(旧Twitter)などのSNSでも大きな話題になりました。
業界内外から集まっていた、さまざまな意見を紹介します。
大工正社員化に対する否定的な意見
業界をよく知る人からは、厳しい意見が集まりました。
- 正社員で職人になれるなんて、そんな甘い世界じゃないと思う
- 一人親方でバリバリしている人は、圧倒的な仕事量をこなしてきた一流だ
- 積水ハウス以外では使い物にならないのでは?
こうした意見が出るのは、積水ハウスの大工がプレカット工法中心だからです。
木材を工場で加工してから現場に運ぶプレカット工法では、ビスを打つだけの作業になるケースもあります。
また「大工の技術を失わせてきたのはこういう大手メーカーではないか」という声も。
ハウスメーカーがプレカット化を進めたため、昔ながらの刻みや加工といった大工技術が継承されなくなってきたからです。
プレカット工法のような大工を取り巻く環境の変化については、以下の記事で解説しています。
今と昔の環境の変化も知っておくと、さらに理解が深まりますよ。
大工正社員化に対する肯定的な意見
一方、ポジティブに受け取る声もあります。
例えば、「大手が本気で雇用に乗り出すのは評価できる」「若手が長く働ける道を示している点はいい」などの意見です。
業界の内側を知る人ほどネガティブな受け取り方が増えますが、外からの目線ではポジティブな評価が目立つ傾向がありました。
まとめ:積水ハウスの大工正社員化は「先手」か「苦肉の策」か
積水ハウスグループは、大工1,000人正社員化を目指しています。
2033年に1,000人体制を目標にしており、全寮制やクラフター制度など、環境も整備している状況です。
この背景には外注依存モデルの限界と、深刻な大工不足が挙げられます。
しかし業界内では、プレカット化による技術継承の問題を指摘する声もあり、否定的な意見も集まっているのが現状です。
今後、他のハウスメーカーはこの動きに続くでしょうか?
大工・職人の処遇をめぐる動きは、建設業界全体で続いています。
新しい情報があれば、施工管理チャンネル by 株式会社ライズでお伝えするので、チャンネル登録しておいてくださいね。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。


