下請けが増える意外な理由!仲介的な役割を担う”統合型下請”とは?

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下請け重層化問題はなぜ起こる?国土交通省が考える4つの理由とは

2023.05.20

 

昨今、建設業界で深刻化している下請けの重層化問題。

国土交通省は、その根本的な原因が次の4パターンに分けられると分析しています。

  1. 専属型
  2. 繁忙期型
  3. 代理店型
  4. その他

前記事では『3. 代理店型』まで説明しましたので、今回は『4. その他』について見ていきましょう。

下請け重層化問題の原因 ④その他 ─ 1. 子会社・関連会社型

『その他』の原因は、主に2つのパターンに分けられ、その1つがこの”子会社・関連会社型”です。

早速、具体的な例を見てみましょう。

「A社はゼネコンの子会社・関連会社で、一次下請けとして専門工事を請け負っているが、現在はゼネコンとの調整のみを行い、工事はB社等に下請け発注している」

そもそも、元請けとして工事を受注するほどの大企業であれば、専門の工事会社を子会社として抱えているのが一般的です。

その子会社が、ここでいうA社ですね。

すると、どうせ下請けを利用するのであれば、自社の関連会社や子会社を使ったほうがいいということになってきます。

外部の工事会社を使えばただの外注ですが、子会社を使えば少なからずグループに利益を還元できるからです。

よって、”子会社・関連会社型”は実はよくあるパターンなのですが、例にあげられている通り、実際の労務は請け負っていないとなると問題になります。

また、子会社・関連会社が対応できない工種は外注することになりますから、やはり子会社ありきで施工体制を組んでしまうことは重層化の一因になりやすいと言えるのです。

下請け重層化問題の原因 ④その他 ─ 2. 統合型

“統合型”の具体的な例は次の通りです。

「A社は作業が専門分科している複数の関連工事をまとめて一式請負いし、元請けとの調整および材料手配等を行い、工事はB社等に下請け発注している」

この場合、A社は元請けから複数の関連工事を受注しています。

しかし、工事はB社等へ外注しており、実質A社が行っていることは元請けとの調整や材料手配のみということです。

なぜこんなことが起きるのでしょうか?

原因の1つとして、建築の工種の多さがあげられるでしょう。

たとえば設備工事と一口に言っても、電気や空調などさまざまな工種が含まれますし、”電気”の中でも弱電・強電では内容が変わってきます。

さらに、それだけボリュームのある工事を、なるべく下請けの層を増やさずに行おうと思えば、水平型に広く依頼していく必要があります。

そこで重宝するのが、A社のように調整役を担ってくれる会社なのです。

たとえば元請けとして建築・設備・電気・機械工事・内装などを一式で受注したとしましょう。

当然下請けに外注することにはなるものの、すべての業者とやり取りするのは非常に大変ですよね。

そこでA社が「全部任せてください!」と現れたら、とても楽になるはずです。

したがって、実際に施工をするわけではないものの、仲介役・調整役のような会社が元請けとの間に入ることで、重層化の一因になっているのがこの”統合型”です。

イメージとしては、材料手配を行うだけなのに施工体制に入っている『③ 代理店型』に似たパターンです。

まとめ

国土交通省が考える下請け重層化の原因、4パターンを2記事にわたって紹介しました。

それぞれの内容は次の通りです。

①専属型 直接雇用していた職人達が独立し、法人を設立。その法人に外注することで下請けが増えるパターン
②繁忙期型 繁忙期になると人手が足りなくなり、下請け発注せざるを得ない。繁忙期のみ下請けが増えるパターン
③代理店型 材料の納入を行う建設資材メーカーの代理店や商社がなぜか一次下請けとして施工体制に入っており、下請けが増えているパターン
④その他 1. 子会社・関連会社型 ゼネコンの子会社・関連会社が施工体制に組み込まれている。ただし対応できない工種は結局外注することになるため、下請けが増えてしまうパターン
2. 統合型 工事一式の下請け発注を行う調整役・仲介役が施工体制に入ることで下請けが増えるパターン

下請け重層化が問題視されているとは言え、具体的な内容を見てみると人手不足など致し方ない部分も多くありましたね。

国土交通省がこのように下請け重層化の原因を突き止めたところで、今後どのように改善を図っていくのか、ぜひ見守っていきましょう。


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