標準労務費のよくある5つの疑問|CCUSレベル別年収は残業込み?

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タイトル:標準労務費Q&A

2024年の改正建設業法で標準労務費(労務費に関する基準)が導入され、2025年12月から全面施行されました。
職人の賃金をめぐるルールが変わりつつあります。

しかし、現場からはこんな疑問の声も。
「CCUSのレベル別年収って、残業込みの額なの?」
「ベテランと見習いで、労務費は変わるはずでは?」

そこで本記事では、国土交通省のQ&Aをもとに、標準労務費についてよくある5つの疑問を解説します。

  • CCUSレベル別年収の考え方
  • 技能レベルによる労務費の違い
  • 材工共(材料費と労務費の一括請負)の内訳明示
  • 標準労務費の補正
  • 発注者に支払い能力がない場合の対応

結論、標準労務費はあくまで「目安」です。
最終的な金額は、注文者と受注者の協議に委ねられる部分がほとんど。
労務費のルールを正しく押さえたい方は、ぜひ参考にしてください。

参考:よくあるご質問|労務費に関する基準ポータルサイト

Q1:CCUSレベル別年収は残業なしの金額?標準労務費との違い

標準労務費(業者間取引で目安となる労務費)と、CCUSレベル別年収は別物です。
CCUSレベル別年収は、職人へ最終的に支払う賃金の目安を、技能レベル(1〜4)ごとに示したものです。

では、このCCUSレベル別年収は、残業や休日出勤を含んだ額なのでしょうか。
国交省はこう答えています。

CCUSレベル別年収は、週休2日を確保したうえで、夏季休暇や年末年始休暇を取得した場合の年間労働日数(234日)分、1日(8時間)当たりの単価である公共工事設計労務単価が賃金として支払われた場合に想定される額としてお示ししています。

引用:よくあるご質問|労務費に関する基準ポータルサイト

つまり、残業なし・きちんと休んだ状態での年収です。
残業すれば当然この額より増えます。
逆に、毎日残業して土曜も出て、夏休みも取らずに働いた場合、この額を下回るのはルール違反です。

CCUSレベル別年収については、以下の記事で解説しています。
どこまで意識すべきか判断に迷う人は、ぜひこちらもお読みください。

職人の適正な賃金はこれで決まる?CCUSレベル別年収の標準値

2026.03.06

Q2:技能レベルで標準労務費は変わる?レベル4とレベル1の違い

ベテラン(レベル4)が多い現場と、見習い(レベル1)が多い現場では、必要な労務費は違うのではないか?
さらに誰が出てくるのかを受注者が把握するのは難しいのでは、という質問も挙げられています。
例えば曲線を含む型枠の作成のように、高い技能が必要な工事もありますよね。

この点について、国交省は次のように述べています。

○CCUSレベルの高い技能者など高い技能を有する技能者が従事する必要がある工事については、受注者において、必要額を見積もって価格交渉する必要があります。
○単に受注者の都合によりレベルが高い技能者が作業するという状況において、注文者が当然に高い労務費を支払う必要があるものではありません。

引用:よくあるご質問|労務費に関する基準ポータルサイト

難しい型枠工事など、ベテランでなければできない作業は、その単価で見積もらなければなりません
一方で、見習いでもできる簡単な作業を、たまたま超ベテランがこなしたとしても、レベル4の単価を請求できるわけではないのです。

Q3:材工共の見積もりで労務費を内訳明示するには

建築工事では、材料費と労務費を一括で請け負う「材工共」が多い状況です。
つまり、労務費を内訳として明らかにする習慣がない工種が多くあります。

この現状について、国交省はこう述べています。

○ご指摘の通り、現在労務費を内訳明示した見積り・契約がなされていない職種が多くあることは承知しております。
○一方、例え公に何らかの目安が示されていない状況下においても、自社として必要な労務費はいくらか、各現場での歩掛(施工に当たっての必要人工数の見込み)がどの程度になるかを把握することは各企業の経営において重要なことであると考えられます。
○労務費内訳明示は、受注者が適正な労務費を確保できるようにするための取り組みであり、国としても見積書の様式例・記載様式をお示しすること等により、中長期的にそうした見積りが一般的になるよう務めてまります。
○各建設業者においても、改正建設業法において新たに位置づけられた努力義務の内容等を踏まえ、労務費等を内訳明示した見積書のやりとりにより契約価額を決定する等の新たな商習慣の確立に向けた対応をお願いします。

引用:よくあるご質問|労務費に関する基準ポータルサイト

要は「材工共の商習慣は承知しているが、法律が変わった以上、まずは自社の労務費を把握してほしい」のです。
努力義務として位置づけられた今、自社の必要労務費を数字で把握するよう求められています。

Q4:標準労務費の補正は誰が数値を出すのか?

標準労務費は、あくまで「基準=目安」です。
建設業は屋外・現地生産・一品生産で、条件が現場ごとに違うため、一律の金額にはなりません。
例えば狭い場所など、条件の悪い現場での補正について、必要な数値は国が示すのでしょうか。

○個別の請負契約に基準値を当てはめる際の補正については、基準値の適用条件や留意点等を参考に、受発注者間における誠実な協議の上行っていただくようお願い致します。
○補正の内容及び個社の施工能力は一律ではなく、国として補正計数等を示すことは予定しておりません。

引用:よくあるご質問|労務費に関する基準ポータルサイト

補正係数は国からは出ません。
条件が現場ごとに違う以上、最終的には注文者と受注者の協議で決めてほしい、と読み取れます。

ちなみに標準労務費の計算方法や歩掛については、以下の記事で解説しています。
積算や見積もりを実施する場合は、ぜひ参考にしてみてください。

標準労務費の計算方法は?労務単価と歩掛の基準値はどこから?

2025.11.19

Q5:発注者に支払い能力がない場合の労務費の考え方は?

発注者が個人など、支払い能力に限りがあり、見積もりが予算に合わないケースもあります。
この場合の対応を、国交省はこう示しています。

○注文者側において、受注者側が提出した見積書が予算に合わないと判断した場合には、設計・仕様を安価なものに見直して再度見積りを取る、(適正な労務費は確保した上で)より生産性高く施工できる受注者に対して見積りを依頼する、発注時期を見直す等の対応が考えられます。

引用:よくあるご質問|労務費に関する基準ポータルサイト

ポイントは、「労務費そのものは下げない」点です。
例えば、曲線を多用した凝った設計をやめて標準的な作りにする、のような仕様変更が挙げられます。
さらに依頼先や発注時期を調整して予算に合わせる、などの方法もあるでしょう。

まとめ:標準労務費は「目安」、最終判断は当事者間の協議に委ねられる

標準労務費もCCUSレベル別年収も、職人の適正な賃金を確保するための「目安」です。
一方で、レベルによる労務費の違い、現場条件の補正、発注者の支払い能力などの問題は、最終的に注文者と受注者の協議に委ねられているのが実情。
国が細かい数値まで示すわけではありません。

各企業に求められるのは、自社に必要な労務費の把握
それが、今後の契約交渉の土台になります。

この記事の内容は、以下の動画で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

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