【職人採用が地獄化】工事会社751社アンケートが示す実態|生き残る方法は?
建設現場を支える職人。
その担い手を雇う工事会社の多くが今、深刻な採用難に直面しています。
「求人広告を出しても応募が来ない」
「内定を出してたくても、大手に取られてしまう」
そんな声が、全国の工事会社から聞こえてきます。
建設産業専門団体連合会(建専連)が会員企業に行ったアンケートには、751社もの回答が寄せられました。
そこから見えてきたのは、想像以上に厳しい採用の現実です。
そこで本記事では、次の3つを解説します。
- 工事会社にアンケートした結果
- スーパーゼネコン・大手が進出している現状
- 工事会社は今後どうすべきか?
人を集めるには、「良い情報を見せる」のではなく、「どれだけ現場を体験させられるか」にあるのかもしれません。
採用に悩む工事会社の方は、ぜひ参考にしてください。
工事会社にアンケートした結果、職人採用の実態は?

建設産業専門団体連合会が令和7年11〜12月に会員企業へ実施したアンケートには、751社が回答しました。
直近 1年に採用した、技能労働者の属性採用の内訳を見てみましょう。
| 中途採用 | 72.1% |
| 新卒採用 | 39.7% |
| その他 | 2.4% |
中途が中心で、その中では経験者採用が47.4%、未経験者採用が40.5%。
意外にも大きな差はありませんでした。
では属性のうち、新卒入社の最終学歴はどうでしょうか。
| 高卒 | 31.2% |
| 短大・大卒以上 | 8.9% |
| 中卒 | 2.8% |
| 高専卒 | 2.0% |
高卒が圧倒的に多い回答でした。
さらに工事会社の求人方法は、知り合いの紹介・縁故が最多で53.0%。
次いで、ハローワークが30.8%です。
この2つの方法だけで、8割を超えます。
出典:働き方改革における週休二日制、専門工事業の適正な評価に関する調査結果|一般社団法人建設産業専門団体連合会
ちなみに他の求人方法には、以下も挙げられます。
- 職業訓練校
- 求人広告
- 人材紹介サービス
求人広告は掲載料だけでなく作り込みも必要なため、なかなか浸透しない実情があります。
スーパーゼネコン・大手の採用が地方の高校にも進出

2024年の調査では1人も採用できなかった事業所は、41.1%の割合でした。
しかし今回の調査では、54.2%まで上がっています。
なぜ、これほど採用が難しくなっているのでしょうか。
人手不足や若者の母数減少に加え、もう一つ大きな要因があります。
スーパーゼネコンのような、大手企業の進出です。
アンケートの個別ヒアリングでは、こんな声が寄せられました。
愛知や岐阜の約12校の高校を訪問し、実際に型枠を組む作業を見せています。
そこで出会った高校生2名から入社希望があったものの、親の反対で実現しませんでした。
2名は、ハウスメーカーやゼネコンへ進んだそうです。
東京の大手サブコンが求人範囲を広げ、人材確保が困難になりました。
インターンシップにかかる費用も、大手と比べて負担が大きく感じます。
工業高校の学生はスーパーゼネコン・大手に取られてしまうため、普通高校にもターゲットを広げる動きも出ています。
工業高校に殺到している求人については、以下の記事で解説しています。
さらに愛知県の工事会社からは、「近年は保護者が大手の地元メーカーへの就職を勧める傾向が強く、採用が一段と厳しくなった」との声も。
愛知であれば、トヨタ系企業がその代表格でしょう。
建設業界だけでなく、他業界との奪い合いも発生しています。
かつては、地方の工業高校にスーパーゼネコンからの求人はほとんど来ていませんでした。
大手は全国転勤が前提だったからです。
しかし今は「地域限定社員」の働き方があり、地元で働きながら大手に入れるようになりました。
工事会社の採用業務の今後

では、工事会社はこの採用難をどう乗り越えればよいのでしょうか。
現状にとどまらずに、「改革するしかない」のかもしれません。
その具体策として、現場を体験させる機会が挙げられます。
まずは触れて、建設業をどんなものか知ってもらう取り組みです。
「体験させたら、大変さがわかって逃げてしまうのでは?」
そんな疑問もあります。
しかし現場の大変さを先に経験してもらった方が、入社後に辞める人は減っていくでしょう。
かつては「親父に手伝えと言われて始めた」人が、そのまま職人として続けているケースが多くありました。
まずは、仕事に触れる機会そのものを増やす。
良いことばかりを伝えて集めるのではなく、リアルを見せる。
それが、これからの職人採用に必要な発想なのかもしれません。
まとめ:職人の採用難は「現場を体験させる改革」で乗り越えられるか
751社のアンケートが示したのは、半数以上の工事会社が1年間で1人も採用できないという、厳しい現実でした。
その背景には、大手の進出と、紹介・ハローワークに依存した採用構造があります。
打開のヒントは、「良い情報で集める」のではなく、「どれだけ現場を体験してもらえるか」にあるのかもしれません。
建設業の仕事は、やってみないと分からない部分が多い特徴があるからです。
まずは触れる機会を増やすことが、遠回りに見えて確実な一歩になるでしょう。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。
