公共工事のICT施工の実態は?全建アンケートと現場の声から見る省人化とコストの壁

人手不足が続く土木業界では、ICT施工による生産性の向上が求められています。
国土交通省の大規模な工事だけでなく、自治体の工事でもICT施工を目にする機会が増えてきました。
しかし中小の建設会社にとって、ICT施工は本当に割に合うのでしょうか?
そこで本記事では全国建設業協会のアンケート結果と、公共工事を手がける土木工事会社・測量会社の経営者の声をもとに、次の3テーマを解説します。
- ICT施工に取り組む会社の割合
- ICT施工による省人化の効果
- ICT施工のコストの課題
ICT施工は6割の会社が取り組み、省人化の効果も出ている一方、小規模な工事ではコストの回収が壁になっています。
自社に取り入れるべきか迷っている経営者や現場の人は、ぜひ参考にしてください。
ICT施工の取り組みは6割の壁を突破

ICT施工に取り組む会社は、どのくらいあるのでしょうか?
全国建設業協会が2026年7月にまとめたアンケートでは、ICT施工に取り組んでいる会社は60.6%。
前年度の57.0%から3.6ポイント上がり、6割を超えました。
しかも、取り組んでいる会社のうち85.2%は、ICT活用工事の受注実績があります。
回答した2,750社全体で見ると、約半数、2社に1社がICT施工を経験済みです。
出典:令和8年度 生産性向上の取組に関するアンケート 報告書|一般社団法人全国建設業協会
国土交通省の大きな工事に限らず、自治体の小さな工事でも「まずはやってみよう」という会社は増えています。
発注者から「3次元で何かできないか?」と相談されるケースもあるそうです。
ICT建機の調達にも変化があります。
ICT施工に取り組む会社のうち、調達方法に「自社所有」を挙げた会社は44.3%で、前年度の38.9%から5.4ポイント上がりました。
以前は数日しか使わなくても、レンタルは月単位で100万円ほどかかっていたそうです。
ところが、日割りで貸し出す会社が出てきました。
小さな工事でも、ICT建機を使いやすくなっています。
ICT施工を導入した6割以上の会社が省人化を実感

ICT施工でどのくらい人手を減らせたのか、省人化についても結果が出ています。
アンケートでは、「3割以上の省人化効果があった」が14.8%、「1〜3割程度」が49.0%。
ICT施工に取り組む企業のうち、合わせて63.8%の会社が、1割以上の省人化を実感しています。
省人化の例として、丁張りの手間の削減が挙げられます。
ICT建機を使わない現場では、「杭ナビ」という測量機器に設計データを入れれば、その場で位置や高さを確かめられるのです。
そのため、カーブ区間などで丁張りを細かくかける必要がなくなります。
測量会社が施工会社から、「杭ナビでできるデータを作ってくれ」と頼まれるケースもあるそうです。
ICT施工の導入事例については、以下の記事でも紹介しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
ICT施工のコストの課題

省人化の効果が見える一方で、ICT施工にはコストの課題があります。
「取り組みたいが課題があって取り組めない」「取り組む予定はない」と答えた会社のうち、66.4%が「内製化のコストに見合う利益を回収できるか疑問」と回答しました。
つまり、ICT施工に踏み出せない会社の3社に2社が、コストの回収を不安視しています。
例えば、レーザースキャナーを自社で買う場合の見積もりは1,500万円ほど。
外注すると1日30万円ほどかかるため、補助金(3分の2補助)を使って自己負担500万円で購入した会社もあります。
収支がプラスに転じたと感じたのは、3年目ごろだったそうです。
国土交通省の工事のような大きな現場では、ICT施工の効果が出やすいでしょう。
しかし、市町村の小さな工事では、3次元データによる管理が求められないケースもあります。
二次製品の据え付けのような、効果が見込める工種に絞って部分的に取り入れる方法が現実的です。
まとめ:ICT施工は、効果が出る工種に絞った導入が現実的
ICT施工に取り組む会社は6割を超え、その6割以上が省人化を実感しています。
丁張りの手間が減るなど、人手不足に悩む現場にとってのメリットは明らかです。
一方で、初期費用の回収は大きな課題。
特に小規模な工事では、すべてをICT化しても割に合わないかもしれません。
まずは効果が見込める工種から、部分的に取り入れるのが効果的でしょう。
次の動画では、ICT施工のもう1つの課題である、3次元データを扱える人材の不足について話します。
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この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。









