管理(タケカン)と監理(サラカン)の違いを解説!設計施工や土木の場合はどうなる?
工事現場で聞く「カンリ」。
管理と監理の漢字で表され、2種類のカンリがあります。
竹冠が使われる管理はタケカンと呼ばれ、施工管理が行う管理を指します。
部首が皿である監を使った監理はサラカンと呼ばれ、図面通りに施行されているかを検査・確認する仕事です。
本記事では管理と監理の違いを、ビル工事に例えて分かりやすく解説しています。
さらに、土木の場合は監理ではなく発注者支援業務という仕事に変わる理由も説明しますよ。
「管理と監理の違いをうまく説明できない」
「施工管理の管理しか知らない」
という人は、記事を読んで理解しましょう。
工事現場の役割に対する理解を深めることができますよ。
工事現場には管理(タケカン)と監理(サラカン)の2種類のカンリがある
工事現場で使われる「カンリ」には、2種類あります。
それはタケカン(クダカン)と呼ばれる管理と、サラカンと呼ばれる監理の2つです。
同じ読み方で紛らわしいので、タケカン(クダカン)とサラカンと言います。
管理・・・建築施工管理技士、土木施工管理技士
監理・・・監理技術者
のようにタケカン・サラカンはそれぞれ使われています。
現場のカンリと聞くと、管理を想像する人が多いでしょう。
しかし工事現場には、監理の仕事もあるのです。
管理と監理の違い:管理(タケカン)はゼネコンが行う施工管理
タケカンである管理は、工事現場で施工管理をする仕事を指します。
- 発注者:三井不動産のような不動産会社
- 設計担当:日建設計のような建築設計会社
- 施工担当:鹿島建設のようなゼネコン
三井不動産が作るビルを日建設計が設計します。
その設計した図面で施工するのが鹿島建設です。
ここで鹿島建設やその下請け・派遣社員が行う施工管理、この仕事がタケカンである管理です。
つまり工事現場の管理はゼネコンが行うのです。
管理と監理の違い:監理(サラカン)は検査や確認の作業
サラカンである監理は、工事現場で検査・確認をする仕事を指します。
設計した図面通りに施行されているかを、検査・確認するのです。
- 発注者:三井不動産のような不動産会社
- 設計担当:日建設計のような建築設計会社
- 施工担当:鹿島建設のようなゼネコン
- 監理担当:日建設計のように設計を担当した会社
鹿島建設が図面通りに施行しているかを、日建設計が監理(サラカン)するのが一般的です。
自分たちが設計した図面通りにやれているか?を現場へ行き監理します。
発注者の代理で「鉄筋が設計通りに入っているか」「寸法が設計と合っているか」と確認を行います。
建築設計の会社の仕事は設計監理であることが多いです。
とくに大手の建築設計会社はほとんどが設計監理として、設計をしつつ、検査や確認の作業である監理(サラカン)を行います。
管理と監理の違い:現場に常駐か非常駐か
タケカンである管理とサラカンである監理は、現場に常駐しているか・非常駐かの違いがあります。
管理(タケカン)は職人の調整や工程の管理など、現場に常駐する必要があるからです。
一方、監理(サラカン)は、検査を行うので必要な時だけ現場に行けばいいのです。
施工管理の具体的な業務については、施工管理で重要度の高い仕事内容ベスト3!の記事で理解が深まりますよ。
管理と監理、仕事はそれだけではありませんが、現場の仕事を切り取ると常駐・非常駐の違いと言えます。
常日頃から現場で管理するのか、検査のときだけ現場に行くのか、は管理(タケカン)と監理(サラカン)の大きな違いです。
管理と監理に関する知識①:設計施工の監理は設計施工の会社がする
工事のやり方は、発注者・設計担当・施工担当に分けられていますが、設計施工という工事のやり方もあります。
そして設計施工の監理は、設計施工の会社がするのです。
- 発注者:三井不動産
- 設計担当:鹿島建設
- 施工担当:鹿島建設
- 監理担当:鹿島建設
三井不動産が作るビルを鹿島建設が設計します。
その設計図をもとに、鹿島建設が施工し、鹿島建設が監理(検査・チェック)するのです。
設計施工の場合でも、監理(サラカン)は設計担当が行います。
よって、設計・施工・監理はすべて同じ会社が担当です。
管理と監理に関する知識②:土木の監理は発注者支援業務
設計を担当した会社が監理(サラカン)するのは、建築の話です。
土木では、設計した会社が監理を行うことはありません。
土木では監理(サラカン)とは言わず、発注者支援業務と言います。
なぜならば土木工事の場合は、税金を使うことがほとんどだからです。
国のお金を使うから、慎重になる必要がありますよね。
- 発注者:国土交通省
- 設計担当:パシフィックコンサルタンツ
- 施工担当:鹿島建設
- 監理担当:他社の建設コンサル
ビルのような建築工事とは違い、設計でも施工でもない、他社の建設コンサルが監理担当として発注者支援業務を行います。
他者の建設コンサルが監理担当として発注者業務を行うと、設計図通りに施行されているかだけでなく、設計図が間違っていないかも検査・確認できます。
国のお金を使っているからこそ、それぞれのポジションが独立して監視できる仕組みになっているのです。
土木は費用が税金なので、より厳格にチェックしなくてはなりません。
そのため監理(サラカン)とは言わず、発注者支援業務として専任で検査をする体制です。
発注者支援業務については、株式会社ライズが運営するYoutube発注者支援業務チャンネルが非常に分かりやすいです。
これを機に、ぜひチャンネル登録してくださいね。
まとめ:「管理」は現場で施工管理をし「監理」は検査・確認をする
工事現場にはタケカンである管理とサラカンである監理の2種類があります。
- 管理はゼネコンが行う施工管理
- 監理は設計担当者が行う検査や確認作業
- 土木工事は設計・施工ではない他社が発注者支援業務として検査
管理は現場に常駐し、職人の調整や工程管理を行います。
監理は必要なタイミングで現場へ出向き、検査や確認を行うのです。
管理と監理の違いを知ることで、工事現場での役割に対する理解が深まったことでしょう。
とくに現場では文字を読むのではなく、「タケカン」「サラカン」と耳で聞くことがほとんどですので、漢字とセットで覚えてくださいね。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。