2023年より建設業界の社保チェックが厳重化!退職金制度は簡易化?

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この記事は以下の記事の続きです。

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2023年から完全実施!建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

2022.11.11

 

国土交通省の声明によれば、建設業界では2023年より次の4つの新制度が始まるとされています。

  1. BIM/CIM
  2. 建設キャリアアップシステム(CCUS)
  3. 建設業退職金共済制度(建退共)
  4. 社会保険の加入確認

すでに他記事で『1. BIM/CIM』『2. 建設キャリアアップシステム(CCUS)』については解説しました。

今回は『3. 建設業退職金共済制度(建退共)』『4. 社会保険の加入確認』に焦点を当て、その実態をお話します。

建設業退職金共済制度(建退共)とは

建設業退職金共済制度(建退共)とは、平たく言うと職人の退職金制度のことです。

建退共はこれまで、事業主が職人が働いた日数分の共済証紙という切手のようなものを交付し、各職人が共済手帳に貼り付けるという至極アナログな方法を取っていました。

しかし平成5年度からの建設キャリアアップシステム(CCUS)活用への完全移行に伴い、建退共もCCUSに組み込む運びとなったのです。

つまり、職人が入退場のときにカードリーダーにタッチすると、自動的に退職金が蓄積されていくような仕組みとなり、「退職金が溜まっている」と実感できるようになります。

建退共は発注者側にもメリットあり

公共工事の場合はそもそも、建退共への加入が義務づけられており、これはつまり、役所の予算の中に建退共にかかる費用も含まれているということです。

しかし、建退共に充てている予算が実際にきちんと職人のもとに届いてるかどうかを確認するには、1人1人の共済手帳をチェックするしかなく、確認作業が困難とされていました。

これが建設キャリアアップシステム(CCUS)に全面移行されると、発注者側の建退共に関する確認作業が非常に容易となるのです。

建退共のCCUS全面移行が実現する可能性

ここまでで、建退共の建設キャリアアップシステム(CCUS)全面移行は非常にメリットが多いことがわかりました。

しかしCCUSも建退共も、いずれも任意の制度です。

したがって、建退共に加入していない職人もいれば、加入者であってもCCUSを登録していない現場では記録ができないという事態が発生します。

それどころか、CCUSも建退共も普及されていない民間工事の現場が出てくることもありえるでしょう。

このようにCCUSの導入が大前提と考えると、実質的に建退共が全面移行が実現されるのは、土木の現場のみになってくるかもしれません。

社会保険の加入確認にかかる背景

社会保険の加入確認について、国土交通省は次のように述べています。

「国土交通省では”社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン”を定め、適切な社会保険の加入を確認できない技能者は、特段の理由がない限り現場入場を認めない」

かなり厳しい一文となっていますが、これは”偽装1人親方”が問題視されているためです。

偽装1人親方とは

実際はサラリーマンのように雇用契約のもとで働いているにも関わらず、請負の個人事業主として契約偽装されている1人親方のことです。

企業側が職人の社会保険料や厚生年金などの福利厚生費の支払いを免れたいがために行われます。

現在、日本は社会保障費の問題を抱えていることもあり、国としてはできるだけ多くの人に社会保険に加入してほしいと考えています。

建設業界は就業者数500万人のうち約300万人が職人と言われているため、その職人の社会保険加入状況をシビアにチェックしたいのは当然のことと言えるでしょう。

さらに建設業界の担い手不足を解消するために、職人にも社会保険等を含めた待遇改善を図りたいとの思いもあり、建設キャリアアップシステム(CCUS)による社会保険確認がスタートする運びとなりました。

作業員名簿との紐づけ

社会保険の加入確認については次のような一文も記載されています。

「改正建設業法の施行により、作業員名簿の作成が義務化されることを契機に、建設キャリアアップシステムに登録された真正性(しんせいせい)の高い情報を活用し、社会保険加入の確認・指導を行う」

こちらのポイントは”真正性”で、つまり情報の正確さということです。

従来は、保険証のコピーや加入証明等の書類確認をもって社会保険加入確認を行っていましたが、ここには偽装等のリスクがありました。

一方で、建設キャリアアップシステム(CCUS)による社会保険加入確認はかなり厳格な審査体制となっています。

「真正性(しんせいせい)の高い情報を活用する」とはつまり、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録された情報を活用しようということなのです。

さらに、建設業法の改正によって作成が義務付けられた”作業員名簿”とCCUSを紐づけることで、加入状況の確認も容易に行えるようになります。

CCUSによる社会保険加入確認の今後

社会保険加入確認も建退共と同様、そもそも現場へのCCUS導入が大前提となります。

そうなると、CCUSの導入が義務となる公共工事に携わる職人の皆さんは、令和5年度より社保確認が厳しくなると思っておいた方が良いでしょう。

まとめ

今回は、国土交通省が明らかにしている2023年スタートの新制度の中から、建設業退職金共済制度(建退共)
と、社会保険の加入確認について解説しました。

ポイントは次の通りです。

  • 建設業退職金共済制度(建退共)とは、職人の退職金制度
  • 建退共がCCUSに全面移行されることで、記録・管理作業のいずれもが簡易化される
  • 社会保険未加入の1人親方を洗い出すため、CCUSにより社会保険加入確認もスタート
  • 従来の社保確認方法より厳重な審査体制となる
  • 建退共も社保確認もCCUSの導入が大前提

公共工事の現場においては、建退共および社保確認のCCUS全面移行は令和5年度(2023年4月1日)より確実にスタートします。

民間工事の場合は現場によりけりとなりますが、業界内で始まるこの大改革のことはぜひ押さえておきましょう。


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