大型の開発計画が中止や見直しに【原因2つ】資材価格高騰と人手不足

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タイトル:工事費が2倍!3倍!大型開発計画の中止

相次いで、大型の開発計画が中止・見直しになっているのをご存知ですか。
2024年度内に、中野サンプラザビルや順天堂大学新病院の建て替えや建設が中止になりました。
この原因は2つあり、資材価格高騰と人手不足です。

本記事では、なぜ資材価格高騰と人手不足により開発計画が中止になってしまったのかを解説しています。
ステンレス鋼板は、4年前に比べて70%も価格が高騰しています。

建設業界の今や裏話を解説する、施工管理チャンネル。
動画とあわせて記事を確認いただくことで、より理解が深まりますよ。

中止になった開発計画①:中野サンプラザビルの建て替え

中野サンプラザ建て替え中止

2025年2月に読売新聞で取り上げられたニュースです。
老朽化の進む中野サンプラザビルの建て替え計画が、中止になりました。
参考:資材高・人手不足で大型工事ストップ相次ぐ…「中野サンプラザ」跡地は工費900億円不足で迷走|読売新聞

開発計画の詳細と中止の決定

2029年度に高さ262m、7,000人収容の複合施設として立て替え計画があった中野サンプラザビル跡地。
野村不動産が再開発事業者の主体として、2024年7月に申請を出していました。

しかし工事予算が3,500億円を超える見込みになり、申請を取り下げる事態に。
つまり中野サンプラザビルは、建て替え計画が中止になりました。

工事費はいくらだったの?
工事費は当初2,639億円でした。
予定より900億円ほど上回る工事費が見込まれ、申請は取り下げられました。

工事費が増えた原因

申請時から工事費が増えた原因は2つあります。
資材価格の高騰や時間外労働規制による労務費上昇が原因です。

設備工事費は想定の3倍、エレベーター工事費は2倍に増加しました。
さらに2024年4月から始まった時間外労働規制も影響しています。
残業できる時間が短くなったため、工期が延びてコストが増加してしまいました。

2024年4月からの時間外労働規制(残業規制)については、以下の記事を参考にしてください。

建設業の2024年残業規制で起きる3つのことは?労働時間に影響あり!

2024.06.13

中止になった開発計画②:順天堂大学新病院建設

順天堂大学新病院建設中止

中止になったのは、中野サンプラザビルだけではありません。
さいたま市に予定されていた、順天堂大学の新病院も建設計画が中止になりました。

事業費が2,186億円となったためです。
これは当初予定の2.6倍の金額でした。

病床や医師の確保策の目玉とされていましたが、今後は決まっていません。

見直しになった開発計画:福島駅再開発

福島駅再開発計画見直し

さらに福島駅東口の再開発事業も当初の計画を中止し、見直ししました。
12階建ての複合ビルには、アパレル店舗やホテルの誘致を計画していました。

しかし事業費は492億円から615億円に増大
そのため事業を縮小させ、見直しています。

ビルの高さを下げて棟を2つに分け、アパレルとホテルの誘致は断念しました。
事業費は550~580億円に圧縮されましたが、それでも当初より高くなりました。

相次ぐ大型開発計画中止の原因2選

このように大型計画が中止となっている原因として、資材価格高騰と人手不足の2点が挙げられます。

原因①:資材価格高騰

1つ目の原因である資材価格高騰。

  • コロナ禍からの需要回復
  • ロシアのウクライナ侵攻
  • 円安

これらの影響が重なり、アルミやステンレスなどの資材価格は大幅に上昇しています。

建築工事の資材価格はどのくらい高騰しているの?
日本建設業連合会によると、以下のとおりです。
ステンレス鋼板:70%上昇
アルミ地金:76%上昇
これは2021年1月と2025年1月を比較した価格です。
参考:建設資材高騰・労務費の上昇等の現状|日本建設業連合会

建設にかかるコストは全体で16~20%上昇しています。

資材価格は一時的なものも重なっています。
今後の価格高騰は鈍化し、落ち着く可能性もあるでしょう。

原因②:人手不足

人手不足も、大型計画中止の原因となっています。
建設関連企業の約7割で正社員が不足しているデータもあり、人手は引っ張りだこ状態です。
より賃金を出してくれるところへ人が流れるため、さらなる引き上げが必要となります。

さらに労働時間の規制により、現場稼働率は低下。
工期が延びるためコスト上昇しています。

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以前のように現場の人件費を切り詰めて予算内に収めるようなことはできないので、発注者は契約変更に応じたり、価格高騰に対応できる余裕を持った計画を立てたりするしかない

引用:資材高・人手不足で大型工事ストップ相次ぐ…「中野サンプラザ」跡地は工費900億円不足で迷走|読売新聞

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人件費を削って対応していたのは、そもそも良くない方法でした。
今後はさらに余裕を持った計画でなければ、価格高騰に対応できないでしょう。

まとめ:開発計画だけでなく工事に対する人件費高騰は今後も続く

建設業界では、資材価格の高騰と人手不足により、工事費が上がっています。
資材価格は今後鈍化すると考えられますが、人件費は下がらないでしょう。
人手不足は解決できる状態ではないからです。

今後は人件費の上がり方が、工事費全体の高騰に影響します。
大きな自治体は余裕を持った計画が可能ですが、小さな自治体には難しいといえます。

今後の建設業工事費高騰の動向についても、施工管理チャンネル by 株式会社ライズで発信予定です。
ぜひチャンネル登録してお待ちください。

人手不足の中、ホワイト化を目指している建設会社もあります。
ICTを活用して完全週休2日施工を実現する沼田土建についての記事はこちらです。

ゼネコンが完全週休2日で施工する方法|地場ゼネコン沼田土建のICT活用術

2025.02.03

20・30代がいなくても、他の力に頼って人手不足を解消している建設会社もあります。
地場ゼネコンの人手不足解消方法2選についてはこちらの記事で紹介しています。

地場ゼネコンの人手不足解消方法2選|4週8休で残業が少ない理由は?

2025.02.03

この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。

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