職人の退職金を1,000万円に!?建設業退職金共済が打ち出した新制度と課題

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タイトル:職人の退職金を1,000万円に!

職人の退職金が、ついに1,000万円の大台に乗るかもしれません。
職人の退職金制度である建退共(建設業退職金共済)は、国の作った制度です。
この本部で2025年3月に行われた運営委員会・評議員会では、退職金に関する方針が決められました。

本記事では、職人の退職金1,000万円に関する、以下の点を説明します。

  • 1,000万円に引き上げる理由
  • 建退共の財政状況
  • 1,000万円払うための複数掛金制度の課題

ブラックなイメージの強かった建設業界ですが、現在では少しずつ変化・改革が進みホワイト化しています。
職人の退職金制度の改革も、建設業界で働く一員として知っておくといいでしょう。

職人の退職金である建設業退職金共済制度

建退共の退職金制度

職人の退職金は、建退共と呼ばれる建設業退職金共済制度で支払われます。
職人が1日働くと会社によって320円が積み立てられます。
37年間働くと、388万円の退職金が支払われる計算です。

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建退共制度は、建設業の事業主が当機構と退職金共済契約を結んで共済契約者となり、その事業主が雇用している建設現場で働く労働者が被共済者となります。共済契約者となった事業主が被共済者である労働者の働いた日数に応じて掛金を納付することにより、その労働者が建設業界の中で働くことをやめたときに、当機構が直接労働者に退職金を支払うというものです。

引用:制度について|建設業退職金共済機構

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2025年3月の運営委員会・評議員会にて、他との退職金を比較。
東京都産業労働局の中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)では、全産業で842万円でした。
そのため約400万円、建退共と差があります。

職人の退職金は現時点で、東京都中小企業の半分以下
いかに職人の退職金が少ないかが分かります。

職人の退職金を1,000万円に引き上げる理由

比較対象の選定理由と1,000万円の理由

なぜ職人の退職金に、1,000万円の数字が掲げられたのでしょうか。

東京都の中小企業が比較対象

職人に給料を払う会社は、ほとんどが中小零細企業であると推測されます。
そのため大手とは比較できず、中小企業を比較対象と選んだのでしょう。

さらに東京都は高い賃金水準です。
日本全国どこの職人の会社と比べても高くなるように、東京都が選ばれた可能性があります。

会社の規模感と高い賃金水準、これが理由で、東京都の中小企業を比較対象として選んだと考えられます。

1,000万円はインパクトがある

東京都中小企業退職金の約840万円に対して、目標を1,000万円にしたのはなぜでしょうか。
1,000万円はインパクトのある数字です。

例えば「退職金890万円」ではインパクトに欠けます。
「職人になれば退職金1,000万円!」のほうが、大台でキリもいい数字ですよね。

退職金1,000万円は、強いインパクトが与えられます。

建退共が検討する複数掛金制度とは?

複数掛金制度とは?

職人の退職金1,000万円はどのように達成できるでしょうか。
建退共では、複数掛金制度の導入を検討しています。

複数掛金制度とは?
1日320円の掛金を、3段階で徐々に上げていく制度です。
具体的な金額はまだ発表されていませんが、320円から350円、380円と上がるイメージです。

退職金1,000万円の積立額は、現在の320円のように一律ではありません。
複数掛金制度で、段階的にアップさせる仕組みです。

建退共は職人に退職金を払えるのか?財政状況は?

建退共の財政状況

「退職金1,000万円なんて払えるの?」と疑う人もいるでしょう。
建退共の財政状況には、問題ありません。

建退共の累積余剰金

  • 2019年度は約630億円
  • 2023年度は約871億円
  • 4年間で約240億円増加

さらに運用利回りも、1.3%から1.5%に引き上げるとされています。
建退共の財政状況は極めて順調であり、退職金増加の基盤は問題ないといえるでしょう。

職人の退職金を1,000万円にする複数掛金制度の課題

複数掛金制度の課題

複数掛金制度で段階的に積立額を上げるには、問題もあります。

退職金を増やすには?
長く積み立てる、つまり長期間在籍は重要です。
またキャリアアップも1つの要素です。

入社後ずっと役職がない人と、入社後に主任・係長と出世した人の退職金は違います。
このキャリアアップ、つまり段階的な積立額の値上げにはCCUSを活用する方針ではないかといわれています。

CCUSとは?

建設キャリアアップシステムを、CCUSといいます。

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CCUSとは
引用:CCUSについて|建設キャリアアップシステム

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レベル1では見習い、レベル4ではハイスキル・マネジメントができる人、のように4段階に分けられています。
このCCUSに合わせて、複数掛金制度を運用する考えです。

CCUSを使うには課題がある

CCUSを使うには、課題があります。
CCUSのレベル分けは、不評・苦情も多くある点です。

制度自体が途中段階であり、この状態で連動させると問題があります。
CCUSのレベル認定が正常に機能してから連動するよう、願うばかりです。

まとめ:職人の退職金が1,000万円になるのは良い改革!

職人の退職金は、1日320円の積立額では400万円を下回っています。
職人の人手不足も問題になっているので、退職金が1,000万円になるのは良い傾向であるといえます。

ただしCCUSを連動させて複数掛金制度にするには、課題があるでしょう。
CCUSが正常に機能するまでは、段階的な積立額の値上げは不評・苦情が多く寄せられるかもしれません。

職人の人手不足については、以下の記事をぜひお読みください。

建設業の人手不足!技能者・職人編|とび・大工・左官・鉄筋・配管の10年後

2024.07.18

この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。

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