【大工さんからのコメント紹介】昔との違いや今を取り巻く状況は?

住宅メーカーの台頭やプレカットが主流になったことなどにより、現代の日本では大工が年々減少しています。
大工が激減した理由について紹介したYouTube動画は反響が大きく、多くのコメントを頂きました。
現役や退職した大工さんにも見ていただいています。
本記事では、大工さんから頂いたコメントを紹介しています。
昔の大工はどんな仕事をしていたか、今を取り巻く厳しい状況はどうなっているか、たくさんコメント頂きました。
建設業界の変化として、大工の昔と今を比較しましょう。
大工不足について説明している以下の記事も、あわせてお読みください。
※長いコメントや主題と離れた部分は省略や要約しています。ご了承ください。
昔の大工は一式管理していた
昔の大工との違いについて、コメントをいただきました。
昔、住宅の注文は、近所の大工に依頼していました。
建築基礎も大工が指揮を取っていました。
生コンのならし役として左官を呼び、やり方からスタート。
※やり方とは、基礎工事の前に作成する仮設物です。水平や高さなどの基準位置になります。
大工仕事は、カンナで削ったりノコギリで切ったりのイメージがありますよね。
それだけではなく、基礎工事やならし作業など、一式すべてを大工が仕切っていました。
昔はローンが無い時代でした。
棟上げ、屋根・壁じまい、台所、トイレ、寝室を優先に仕上げます。
ここまでに、現金で一括または二回払いされます。
残りの部屋は、お金が支払われたら1部屋ずつ仕上げていた、と親方に聞きました。
大工が指揮を取っていたのは施工だけではありません。
「入金したら○○をやろう」のように、金銭面の管理・マネジメントも大工が実施していました。
元請けとなり、工事一式の指揮や資金管理までしていました。
プレカットハウスメーカーの影響で、工期に縛られ後継者は育ちません。
儲けもなく、見習いを教える時間や余裕もありません。
木を見切ったり刻んだりする大工は、15年でいなくなると思います。
すばらしい日本の伝統技術が減っていきます。
材料がほとんどできた状態であるプレカット。
分かりやすく表現すると、今の大工は、このプレカットした材料を組み立てていくのが主な仕事です。
木の見切りや刻みができる大工は、この先いなくなる恐れがあります。
今の大工は低単価で若手育成の余裕がない
今の大工の状況についても、コメントをいただきました。
若い子たちが独立して、ハウスメーカーの下請けをこぞってしている状況です。
建設業許可を取らずに請負業をしています。
県に訴えても対策を取らないため、単価も安くなっています。
独立して許可もなしなので、一人親方だと推測できます。
1人なので社会保険に加入していない可能性があります。
コストも抑えられるため、施工単価が安くなっているのでしょう。
自社で育てたり社員にしたりするには、経費がかかります。
請負単価では不可能なため、言われるがまま請け負っている状態です。
国が本腰を入れて対策を取らないと、大工はいなくなると思います。
単価が安ければ、それに合わせて仕事をする人もいます。
市況に合わせ、低単価でも受注する人はどの業界でも存在します。
しかしその単価では儲からないため、人を育てるお金は作れません。
大工それぞれで技術に違いがあるのは、しょうがない世の中でしょうか。
昔は手間をかけた仕事に対して、喜んでもらえました。
残念です。
プレカットが主流となり、定型化でコストを抑える時代。
手間は排除される時代になってしまいました。
いかに効率よくコストを下げて施工するか、これが現代の流れです。
今の大工は施工単価が下がっているため、若手育成の余裕がありません。
大工の今後は対応範囲を広げるのも1つ
大工が年収1,000万円を超えるために、仕事の広げ方についてのコメントもありました。
いつの時代も状況を見据えて努力が必要です。
今でも一人親方で手取り年収1,500万円ほどいけます。
新築にこだわらずに、修繕専門や店舗作りをしてもいいでしょう。
ペンキ工事や左官工事、タイル工事、クロス工事、便器や風呂釜の取り替えなどできるようになれば、休む暇もありません。
すべての仕事はやりようです。
大工は大変だが仕事の工夫次第だ、というコメントです。
大工周辺職種の作業を巻き取り、多能工的に働く方法です。
プレカットやハウスメーカーの台頭は、外部環境の変化といえます。
外部環境の変化に文句を言っても、仕方がありません。
自分の頭で考え乗り切る、工夫すれば道がある、というアドバイスでしょう。
私の若い頃にはオイルショックがありました。
仕事がなく、他の職に転向して苦労している仲間がたくさんいました。
オイルショックを乗り切り、苦労している仲間を見てきたからこそのアドバイスです。
大工を取り巻く環境は厳しいといえますが、対応範囲を広げて活路を探すのも手段でしょう。
まとめ:昔と今の作業・単価の違いから大工は激減している
昔は工事一式を元請けとしてマネジメントしていた大工。
今では下請けとなり、低単価で請け負っています。
儲けもない状態なため、大工を育成する余裕はないといえるでしょう。
木の見切りや刻みなどの伝統技術、このまま消えていいのでしょうか。
大工を含む職人は、低単価で退職金も少ないといわれています。
建設業退職金共済が打ち出した新制度については、以下の記事をお読みください。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。