インボイス始まったけど1人親方はどうしている?登録状況や知識の有無

2023年10月に始まった、インボイス制度。
企業に勤める人には関係ありませんが、フリーランスである1人親方には悩みの種です。
「なんか面倒だから登録しない」「分かりづらいな」と避けたい気持ちもあるでしょう。
そこで本記事では、1人親方にインボイスについてアンケートした結果を紹介しています。
インボイス制度はたしかに複雑で面倒な仕組みです。
しかし事前試算や2割特例で、見通しを立てることも必要でしょう。
建設業で働く仲間はどのように対応しているのか、ぜひ最後までお読みください。
1人親方にインボイスについてアンケートを実施

建設業界では、1人親方がインボイスの対象になっています。
1人親方はフリーランス・自由業であり、適格請求書発行事業者になるかを悩む人も多くいます。
全国建設労働組合総連合(全建総連)は、建設業で働く職人たちのための組合です。
この全建総連と建設経済研究所では、職人向けにインボイス制度がスタートしてからについてアンケートを実施しました。
有効回答数:2,708件
インボイスについて1人親方にアンケートした結果
インボイスについて1人親方にアンケートした結果を、以下の項目別に紹介します。
- 主な現場と年齢
- 働いている階層
- インボイス登録番号取得状況
- 税負担額の事前試算
- 2割特例の認識
すべて年代別で整理されていて、年齢に関係する結果が出ている項目もあります。
働いている主な現場と年齢構成は?

1人親方として働いている人の、現場と年齢についての結果です。
引用:Theme 7『インボイス制度導入が一人親方に与える影響』|NO.76 建設経済レポート<https://www.rice.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/76-2-7.pdf>
どの世代でも、町場や工務店で働いている人が圧倒的に多くいます。
つまり、小さな現場で働く1人親方がほとんどです。
さらに20代は非常に少ない数。
1人親方になるには経験が必要なため、若い世代は少なくなるのが一般的です。
1人親方は、小さな現場で働く、40~60代が多い割合です。
働くことが最も多い階層は?

請負階層についてもアンケート結果が出ています。
引用:Theme 7『インボイス制度導入が一人親方に与える影響』|NO.76 建設経済レポート<https://www.rice.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/76-2-7.pdf>
元請として働く1人親方もいますが、圧倒的に一次下請・二次下請が高い割合です。
その割合は、6~7割。
さらに年齢を重ねるごとに、元請けの比率は高くなっています。
一般的に年齢とともにスキルは向上します。
そのため、スキルが上がることにより元請側に回っていると考えられるでしょう。
それでも全世代で見ると、1人親方は一次下請・二次下請が圧倒的に多い状況です。
ちなみに建設業では一次下請に留まらず、二次、三次、四次と多重構造になっています。
建設業が多重下請構造になっている理由については、以下の記事を参考にしてみてください。
インボイス登録番号取得状況は?

気になるインボイス登録番号については、全体的に半数以上が取得している状況です。
引用:Theme 7『インボイス制度導入が一人親方に与える影響』|NO.76 建設経済レポート<https://www.rice.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/76-2-7.pdf>
年齢を重ねるごとに、インボイスの取得率は低下。
おそらく60~70代の人からすれば、「そこまで面倒なことするなら……」の気持ちもあるかもしれません。
2023年10月にスタートしてからすぐのアンケートですが、半数以上の1人親方がインボイス登録番号を取得していました。
税負担額の事前試算の有無は?

さらにアンケートでは、インボイスの事前試算についても調査しています。
インボイスに登録して仕事をした場合、消費税を納めなければなりません。
いくら納めるのか、それによって収益はどれくらい減るのか、などを計算したかを問うています。
引用:Theme 7『インボイス制度導入が一人親方に与える影響』|NO.76 建設経済レポート<https://www.rice.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/76-2-7.pdf>
インボイス制度は複雑なため、税理士に相談する人も多くいます。
試算した人の半数近くは、税理士のような第三者に相談しています。
しかし半数近くの人は、事前試算をしていません。
これには制度の複雑さや面倒さが、理由として挙げられるでしょう。
2割特例の認識状況は?

消費税から売上税額の8割を差し引いて納税額を計算する、2割特例についてもアンケート結果が出ています。
引用:Theme 7『インボイス制度導入が一人親方に与える影響』|NO.76 建設経済レポート<https://www.rice.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/76-2-7.pdf>
この2割特例を知っていれば、以下の行動につながります。
- インボイスに登録するきっかけになる
- 企業へ交渉するための材料になる
- キャッシュフローの見通しがつく
2割特例を知らなければ「取引先を含めて大変そう」なイメージを抱くでしょう。
そして実際に半数近くの人が、2割特例を知らないと回答しています。
この知識の差が、インボイス登録有無を分けている可能性もあります。
まとめ:1人親方の半数がインボイス登録番号取得済み!
インボイス制度がスタートしてすぐの時点で、1人親方の半数ほどがインボイス登録番号取得済みでした。
若い人のほうが高い割合で登録しており、60~70代になると取得していない人が増えます。
事前試算によりキャッシュフローの見通しもつくので、税理士に相談すると具体的な数値が分かりますよ。
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