【2026年7月施行】経審改正の全体像|W点の変更点と対策チェックリスト
「経審(経営事項審査)の点数が変わる」と聞くと、まず不安になるのは 入札・格付・受注への影響ですよね。結論から言うと、2026年7月1日施行の改正は、P点の「土台」の一部である「W点(その他社会性等)」の見直しが中心です。
今回の改正は、ざっくり言えば
- 担い手(技能者)を大切にする会社を評価する
- 災害対応力(機械)を評価する
- データで「やっている証拠」(就業履歴=CCUS等)を評価する
に点数が寄っていきます。
この記事では、施工管理が「現場に落とす」ときに迷いがちないつから/何が変わる/何を揃えるを、実務目線で整理します。
そもそも経審とは?施工管理が押さえるべき「点数の意味」

経審は、公共工事を中心に入札参加資格(格付)や受注機会に影響する指標です。現場の体感としても、点が動くと「指名されやすさ」「ランク感」が変わり、結果として仕事の取り方・取りやすさに跳ねます。
経審(P点)で何が決まる?(格付・入札・受注にどう効くか)
経審の総合評定値(P点)は、会社の規模・財務・技術力・社会性などを点数化したものです。発注者側はこの点数を参考に、参加できる工事規模のレンジや格付を設定します。
施工管理として重要なのは、経審は「経営部門だけの話」ではなく、現場運用(CCUS、就業履歴、週休2日・処遇の実態、書類の整合)が点に直結する、という点です。
今回の改正はどの項目?(W点=その他社会性)
今回の改正対象は、主に 「その他審査項目(社会性等)(W)」です。
財務や技術職員数といった「会社の基礎体力」というより、人・現場・制度対応を評価する色が強いのが特徴です。
経審に関してはこちらで詳しく解説しています!
いつから適用?改正スケジュールと「対象になる申請」の考え方

結論はシンプルで、施行日は2026年7月1日(令和8年7月1日)です。
ただし実務では「その日以降に何が対象になるのか?」で混乱します。
施行日は2026年7月1日(令和8年7月1日)
通達上も、改正の施行日として令和8年7月1日が明記されています。
つまり、7/1を境に「新しいW点の算定ルール」で審査される申請が出てきます。
「いつの申請から反映?」で迷わないための判断軸(審査基準日との関係)
ここで重要なのが 「審査基準日(=直前事業年度の終了日=決算日)」という考え方です。特に自主宣言(後述)は、審査基準日以前に宣言していることが加点要件に絡みます。
現場の結論(迷わない軸)
- 施行日前後で「申請タイミング」がズレると、同じ取り組みでも評価され方が変わる
- だからこそ、施工管理は「うちの決算日」と「いつ宣言・いつ運用開始・いつ証憑が揃うか」を、早めに逆算する
このあと出すチェックリストは、「いつまでに何を揃えるか」の逆算に使える形にしています。
改正ポイント1|社会保険(雇用・健保・厚年)評価の削除で何が起きる?

今回の改正で、W点のうち社会保険(雇用保険・健康保険・厚生年金保険)の加入有無に関する審査項目が削除されます。
削除される項目(W点のうち社会保険未加入の評価)
通達では、社会保険関連の審査項目の削除に伴い、各項目に係る減点を削除すると整理されています。
現場・会社への実務影響(「減点が消える」のか?)
ポイントは「社会保険が不要になる」ではありません。
社会保険加入はすでに建設業許可の要件として位置づけられており、経審で重ねて見る必要性が薄い、という整理です。
【POINT】誤解しやすい注意点
- 減点項目が消える=「未加入でもOK」ではありません
- 許可要件である以上、未加入は別のところで詰みます
- 実務的には「この項目のためだけの説明・確認が減る」方向の理解が安全です
改正ポイント2|新設「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」で加点(5点)

今回の目玉が、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」の宣言状況を評価し、5点加点という新設項目です。
自主宣言とは何か(どんな取組が想定される?)
この制度は、技能者の処遇改善や働きやすさに関する取組を「会社として宣言」し、サプライチェーンの中で評価されることを狙う枠組みです。宣言ポータル側でも、申請条件や取消要件などが明記されています。
加点の要件(いつ宣言して、何が確認される?)
実務で一番重要なのは「宣言した事実」だけでなく、審査基準日以前に宣言していること/ポータルに掲載されていることといった「確認される状態」です。
さらに通達側でも、自主宣言制度について加点要件を満たす場合に5点加点と整理されています。
施工管理が現場で用意すべき「実態」(週休2日/処遇/CCUS環境整備など)
自主宣言は、宣言した取組を「1年以内に実施する」など、実態が問われる設計です(ポータルの注意事項に明記)。
施工管理が巻き込まれるのは、主にここです。たとえば、
- CCUSの現場運用(カードタッチ、登録率、協力会社の運用)
- 週休2日・適切工期に向けた工程の組み方
- 処遇改善が「現場で回っている」証拠の整備
といった、机上ではなく「現場で実装できているか」が効いてきます。
改正ポイント3|建設機械の加点対象が拡大(災害対応力の評価)

建設機械の保有状況は、災害復旧対応の観点から評価されてきましたが、改正で加点対象機械が拡大します。
評価対象の考え方(災害復旧での活用実績等)
国交省資料では、能登半島地震の応急復旧工事で活用された機械の実績などを踏まえ、見直しを図る趣旨が示されています。
追加される機種(不整地運搬車/アスファルトフィニッシャー等)
新たに不整地運搬車とアスファルトフィニッシャーが加点対象に追加される整理です。
証憑・確認で詰まりやすい点(保有の定義、台数、検査・書類)
ここは申請で詰まりやすいので先に要点だけ押さえます。
通達では、審査基準日において
- 自ら所有している、または
- 審査基準日から1年7か月以上の使用期間が定められたリース契約を締結している
こと等を前提に評価するとされ、申請時に 売買契約書(写し)/リース契約書(写し)/検査記録や車検証(写し)の提出が求められる旨が整理されています。
【POINT】施工管理が先に確認したいこと
- その機械、「保有扱い」の条件を満たす契約になっているか
- 検査・車検など、提出できる形で書類が揃っているか
- 現場側で「あるはず」になっていても、会社側の台帳・契約が追いついていないケースが多い
改正ポイント4|就業履歴(CCUS等)の配点見直しで「点が下がる会社」が出る

今回の改正は、加点が増える話だけではありません。就業履歴の評価(CCUS等)に関する配点が見直しされ、取りこぼすと「体感で点が下がった」状態になります。
就業履歴の評価項目が何を見ているか(「やってます」の証拠が必要)
ここで見られるのは「導入しているか」より、就業履歴が蓄積される状態をつくる措置を実施しているかです。要するに、現場で回る仕組み(運用)と、データとして残る結果がセットで必要です。
配点の見直しの方向性(満点条件がどう変わる?)
通達では、就業履歴の措置について
- 「全ての建設工事で実施」=10点
- 「全ての公共工事で実施」=5点
という整理が示されています。
また、現行の加点で審査を受けたい場合は 2026年7月1日より前に申請するよう留意、という注意も記載されています。
施工管理の運用に落とす(カードタッチ、データ整備、協力会社巻き込み)
誤解が多いので、役割を分けます。
- 現場がやること(施工管理の守備範囲)
- カードタッチや日々の登録が「抜けない導線」になっているか
- 協力会社の職人さんが「やれる状態」か(端末・ルール・周知)
- 会社が整備すること(総務・経営の守備範囲)
- 現場ID、登録ルール、未登録のフォロー体制
- 元請⇄協力会社の運用責任の切り分け
施工管理としては、「現場で1回崩れると、以後ずっと崩れる」のがCCUS運用です。
最初の1現場を「成功型」で作るのが一番効きます。
結局、点数はどう動く?パターン別の影響シミュレーション(概算)

総当たりの点数計算を断定すると危険なので、ここでは 「動き方の型」だけ示します(会社の状況で変動します)。
プラスに働く会社(自主宣言+機械+就業履歴が揃う)
- 自主宣言を早めに出し、掲載・書類が揃う
- 加点対象の機械を「保有要件を満たす形」で管理している
- 就業履歴(CCUS等)が現場で回り、抜けが少ない
この3点が揃うと、改正の意図(担い手・災害対応・データ化)に沿って評価されやすいです。
マイナスが出やすい会社(就業履歴で取りこぼし/実態が伴わない)
- 自主宣言をしたが、現場の実態が追いつかず「危うい」
- CCUSが「導入しただけ」で、就業履歴が蓄積されない
- 機械はあるが、契約・検査書類が揃わない
特に就業履歴は、現場の手間が増える割に、仕組み化できないと点にならないので、早期にテコ入れが必要です。
元請・専門工事で影響の出方が違うポイント
- 元請は、協力会社を巻き込めるかで 就業履歴の「実績」が変わりやすい
- 専門工事は、現場が複数元請にまたがりやすく、運用ルールが現場ごとにブレるのがリスク
2026年7月までにやることチェックリスト(担当別)
ここからが、すぐ使えるToDoです。
経営・総務(制度対応の意思決定、宣言、証憑整備、申請段取り)
- 自主宣言:誰の立場(元請/下請等)で宣言するか決める
- 宣言:審査基準日との関係から逆算し、宣言・掲載まで終える
- 機械:保有台帳を更新し、契約(売買・リース)+検査/車検証を揃える
- 申請:施行日前後で、申請方針(前倒し含む)を整理する
施工管理(現場運用:CCUS/就業履歴、協力会社への依頼、記録)
- CCUS等:現場の「抜けポイント」(タッチ漏れ、入場導線、端末不足)を潰す
- 協力会社:「お願い」ではなく、段取り(朝礼・入場・ゲート)に組み込む
- 記録:現場でやっていることが、会社側の申請資料に紐づくよう共有する
協力会社(巻き込みのコツ:契約・工期・支払いとセットで動かす)
協力会社を巻き込むコツは、精神論ではなく「セット化」です。
- 契約・工程会議で運用ルールを確定
- 現場入場の手順に組み込む
- できない理由が出たら、「人」ではなく「導線」を変える
よくある質問
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いつの申請から新基準?(施行日と審査基準日の考え方)
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施行日は2026年7月1日で、以降の申請は新しいW点の扱いになります。加点(自主宣言等)は審査基準日(決算日)以前の状態が要件に絡むため、決算日から逆算して準備するのが安全です。
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自主宣言は元請だけ?下請も対象?
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元請・下請いずれの立場も対象になる整理です。
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自主宣言は「宣言しただけ」でOK?(実態と誓約の注意)
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宣言は入口で、ポータル側でも「疑義があれば取消」等の注意が明記されています。実態が伴う前提で、無理のない宣言内容にするのが重要です。
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機械の加点はレンタルでもいける?
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通達上は、評価対象として「所有」または「審査基準日から1年7か月以上の使用期間が定められたリース契約」等が前提です。短期レンタルは考え方が異なるため、契約形態を確認してください。
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CCUS未導入だと不利?最低限どこまで必要?
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就業履歴は「やっている証拠」を見られる領域なので、未導入・未運用だと評価を取りにくくなります。まずは 「1現場で回る型」を作り、そこから水平展開するのが現実的です。
まとめ|今回の経審改正は「担い手・災害対応・データ化」に点を付ける改正
2026年7月1日施行の経審改正は、W点(社会性等)を中心に、
- 自主宣言(技能者を大切にする取組)を評価(5点)
- 災害復旧に資する建設機械の評価拡大
- 就業履歴(CCUS等)の「回っている状態」を評価(配点見直し)
へと軸足が移ります。
つまり、「制度を知っている会社」よりも、現場で実装できている会社が強くなる改正です。