間接費の計算方法とは?工事費算出(積算)4つのポイント【後編】
この記事は以下の記事の続きです。
前の記事を読んでいない方は、こちらの記事もご覧ください。
前回に引き続き、工事費算出のキホンを初心者の方でもわかりやすいように解説していきます。
まずは工事費が主に次の4種類から構成されていることをおさらいしておきましょう。
- 直接工事費
- 共通仮設費
- 現場管理費
- 一般管理費
さらに『1. 直接工事費』は機労材(きろうざい)から構成されており、前記事では次のように各費用を求めました。
- 材料費…30万円
- 労務費…35万円
- 機械費…10万円
よって、機労材(直接工事費)のトータルは75万円です。
今回はここから残りの費用を求めていきましょう。
直接工事費以外の3つの費用
直接工事費が”直接費”と呼ばれるのに対し、残りの3つ(共通仮設費・現場管理費・一般管理費)は”間接費”と呼ばれる経費にあたります。
例をあげると、工事現場の休憩所や工具、釘、トンカチなどの細々としたものです。
ただこれら1つ1つを積み上げで算出していくのは大変ですよね。
よって、ここからの間接費はすべて率で計算していきます。
共通仮設費の算出方法
では早速、共通仮設費の算出からやってみましょう。
共通仮設費とは「工事中には必要だけれど、工事は終わると消えてしまうもの」です。
典型的なのはフェンスや安全看板、現場事務所、はたまたその事務所に引く光熱費関係などですね。
先述の通り、このような細かい費用は率で計算します。
一般的なのは”直接工事費の何%”として割り出す方法です。
今回であれば直接工事費は75万円。
仮に共通仮設費の率が20%だとしたら75万円×20%=15万円と求められます。
現場管理費の算出方法
続いて現場管理費です。
主に現場監督の人件費や社会保険料の負担分などで構成されており、工事で何かあったときのための工事保険や、近隣住民への補償もこちらに含まれます。
現場管理費の率が仮に30%だとすると、直接工事費と共通仮設費を足したものに掛け合わせて算出します。
よって、直接工事費75万円+共通仮設費15万円=90万円
90万円×30%=27万円です。
一般管理費の算出方法
一般管理費は、建設会社本社の家賃や、事務員・営業社員の給料、建設会社の利益などを計上する部分となります。
現場内で直接発生する費用・利益ではないので見落とされがちですが、こちらも重要な経費です。
一般管理費は、直接工事費+共通仮設費+現場管理費の3つを足したものに率を掛け合わせます。
仮に一般管理費の率を10%とすると、直接工事費75万円+共通仮設費15万円+現場管理費27万円=117万円。
117万円×10%=11.7万円です。
工事の総費用
ここまで割り出してきた共通仮設費・現場管理費・一般管理費をトータルすると、約128万円。
さらに消費税10%がつくと、おおよそ141万円ほどになります。
直接工事費は75万円でしたから、残り3種類の経費と消費税を合わせると倍近くになるということですね。
駆け足ではありましたが、これがおおよその工事費用の積算の流れです。
土木工事費用の平均内訳
国土交通省によると、一般的な土木工事の工事費比率は、直接工事費が全体の工事費の6割を占めるとされています。
そして残り4割の内訳は、共通仮設費が10~11%、現場管理費が22%、一般管理費が10%弱ほどです。
ちなみに直接工事費(機労材)の内訳は材料費が30%、機械関係費用が11%、労務費が18%といった比率になっています。
あくまで目安の比率ではありますが、工事費用がどのように構成されているのかなんとなくイメージできますよね。
まとめ
今回は2記事にわたり、積算の流れとポイントを紹介しました。
工事費用を算出するには、まず直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費の4種類を考えることです。
そして計算は”積み上げ”なのか、率で出すのか、それとも歩掛を使用するのかを見極めましょう。
実際の算出はより複雑になりますが、これらのポイントを基本のキとして覚えておくと、おおよその構成が掴みやすくなりますよ。