施工管理の事務作業|内容・タイミング・求められるスキルを徹底解説

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施工管理といえば「現場での指揮・監督」というイメージが強いですが、実際にはデスクワークである事務作業も大きな役割を占めています。
施工計画書や原価計算、行政への書類提出まで、現場を円滑に回すためには欠かせない仕事です。

本記事では以下をわかりやすく解説します。
・施工管理が日常的に行う事務作業の内容
・作業を進める最適なタイミング
・効率化に役立つスキルとポイント

これから施工管理を目指す方や、実務をイメージしたい方はぜひ参考にしてください。

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施工管理における事務作業の役割

なぜ事務作業が重要なのか

施工管理の仕事は「現場での指示出し」だけでは完結しません。工事を安全に、かつスケジュール通りに進めるためには、事前準備・記録・調整といった事務作業が大きな比重を占めています。

事務作業が重要な理由は大きく3つあります。

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つまり、事務作業は「裏方」ではなく、現場の土台を固める中核業務なのです。たとえ現場で優れた指揮がとれても、計画や記録が不十分であれば工事全体はスムーズに進みません。

現場業務との違い

施工管理には大きく分けて「現場業務」と「事務業務」の2つの側面があります。

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この2つは対照的ですが、どちらか一方だけでは施工管理は成立しません。現場の即応力と事務の計画力が揃って初めて「安全・品質・工程・コスト」が守られるのです。

例えば、現場で「この作業を急がなければならない」と判断したとしても、事務側で工程表や資材発注が更新されていなければ、資材不足や人員配置の混乱を招きます。逆に、どれだけ綿密な計画を立てても、現場の状況を即時に反映できなければ計画倒れになります。

つまり施工管理者は、現場の指揮官でありながら、事務作業を通じて全体を統制するマネージャーでもあるのです。

日常的に行う事務作業一覧

施工管理の事務作業は、工事開始前から完了後まで一貫して発生します。どれも「裏方の作業」に見えますが、工事を計画通り、安全かつ効率的に進めるための必須業務です。ここでは代表的な業務を時系列で整理して解説します。

工事開始前に行う事務作業

朝礼準備:安全確認と連絡事項の整理

工事開始前日の段階で、翌日の作業内容や危険箇所を整理し、朝礼用資料を作成します。
天候・搬入ルート・周辺住民への配慮点などを盛り込むことで、当日の混乱を防ぎます。複数業者が出入りする現場では特に作業の重複や干渉防止に役立ちます。

施工計画書の作成:工程・品質・安全の指針

工事全体の流れを決定づける施工計画書を作成します。

工程表(着工から竣工までの流れ)

  • 工程表(着工から竣工までの流れ)
  • 施工要領書(手順や使用機材)
  • 安全衛生管理計画書(リスク対策)
    これらは発注者や行政、協力会社との共通認識の基盤となり、後のトラブル防止に直結します。

原価計算・見積書・発注書の作成

材料費や人件費、機械使用料などを積算し、見積書を作成。顧客との交渉に使うだけでなく、協力会社への発注内容を明確に示す役割も担います。金額や納期を誤ると後の信頼問題に直結するため、正確性と透明性が最も重視される作業です。

図面の作成・修正(プロット図・施工図)

設計図をもとに、実際の現場で施工可能な詳細図に落とし込みます。CADソフトを使い、配筋や寸法、納まりを調整。正確な施工図があることで、職人が迷わず作業でき、品質トラブルの防止につながります。

申請や調達手配

道路使用許可や建築確認申請などの行政手続きも重要な事務作業です。不備があると着工自体が遅れるため、事前準備が不可欠です。また、資材・機材の調達も同時に進め、納期と工程を調和させる段取り力が求められます。

工事進行中の事務作業

朝礼資料の準備

現場での朝礼に使用する資料を日々作成します。作業予定、必要人数、安全対策などをまとめ、全員が同じ情報で動ける環境を整えます。

職人・関係者との会議運営

定例会議や緊急ミーティングの資料作成や議事録の記録を担当します。情報の正確さとスピードが求められ、議事録は「誰が・いつ・何を決めたか」を明確に残す重要な記録となります。

日報・報告書の作成

毎日の作業内容・人数・使用資材・発生トラブルを記録した日報を作成します。週報・月報としてまとめられ、発注者や社内管理者への報告にも活用されます。

工事写真の管理

施工状況や検査時の証拠として撮影した写真を整理します。工程別・日付別にフォルダ分けし、報告書や申請書類に添付できるよう整備します。適切な写真管理は品質保証や行政検査の通過にも欠かせません。

作業手順書の作成

高所作業や重機作業などリスクの高い工程では、具体的な作業手順書を作成します。使用機材や安全対策、担当者の分担を明記することで、事故防止と効率化を実現します。

工事終了時の事務作業

竣工報告書の作成

工事完了後は、概要・使用資材・写真などをまとめた「竣工報告書」を提出します。契約通りに工事が完了したことを証明する資料であり、次の工事への参考にもなります。

完了検査申請書の作成

監督官庁や第三者機関による検査を受けるため、申請書を作成します。必要な図面や書類、写真を揃え、規定に沿った形で提出することが求められます。不備や遅延は引き渡しスケジュール全体に影響するため要注意です。

請求書の作成と手配

発注者に対する最終請求書や、協力会社への支払い手配も施工管理の事務仕事です。金額の誤記や処理漏れは信用問題に直結するため、正確さが不可欠です。

関係者との打ち合わせ:調整と交渉の場

工事の各フェーズで、発注者・資材業者・行政との打ち合わせが行われます。資料の準備や進行管理、議事録の作成は事務作業の一環であり、調整力と交渉力が求められます。

事務作業を進めるベストなタイミング

施工管理の仕事は現場業務と事務業務の両立が求められます。しかし、闇雲に事務作業を進めても効率は上がりません。ポイントは、最適なタイミングを見極めて集中して行うことです。ここでは代表的な3つの場面を紹介します。

現場巡回後にまとめて処理

現場巡回が終わった直後は、作業内容や指示事項が記憶に新しいタイミングです。写真やメモをもとに、日報や報告書を作成すると情報の抜け漏れが防げます。

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現場情報を「その日のうちに可視化」する習慣を持つことで、後工程の効率が大きく変わります。

悪天候の日を活用

雨や強風などで屋外作業が制限される日は、事務作業を進める絶好の機会です。普段後回しにしていた書類作成や資料整理を一気に進めることで、業務の遅延を防げます。

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天候に左右される建設現場だからこそ、悪天候を「事務日」に切り替える柔軟さが施工管理者には求められます

定例会議前の集中時間

施主や協力会社、行政との定例会議では、資料の正確性と説得力が求められます。会議の直前に慌てて準備すると、情報の誤りや抜け漏れが発生しやすくなります。

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計画的に準備しておくことで、会議をスムーズに進められ、関係者との信頼関係も強化されます。

効率化につながる工夫

施工管理の事務作業は、量が多く正確さも求められるため、工夫なしでは負担が大きくなります。ここでは、実務で効果が高い効率化のポイントを紹介します。

テンプレートの活用

報告書・発注書・議事録などの文書は、フォーマットをあらかじめ統一しておくことが重要です。

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たとえば、日報で「作業内容」「人数」「使用資材」「不具合・是正内容」の欄を固定化しておけば、記入者が変わっても内容がそろい、集計もしやすくなります。

写真の命名ルール統一

施工管理で扱う工事写真は膨大な数になります。命名規則を統一することで、検索や整理の効率が格段に向上します。

推奨フォーマット例
「工区_工程_日付_連番」
(例:A1_Rebar_20250522_001)

こうしたルールを現場全体で共有しておくことで、検査時や行政提出時に「必要な写真がすぐに見つからない」といったトラブルを防げます。写真整理は後回しにせず、撮影したその日に分類するのが理想です。

クラウド共有の利用

図面・工程表・報告書などは、クラウドで共有する仕組みを整えると業務が一気にスムーズになります。

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特に複数の協力会社や行政と関わる場合、メール添付よりもクラウドのほうが最新データを共有しやすく、「データの行き違い」や「古い資料の使用」を防げます。

施工管理の仕事に活かせるスキル習得法

施工管理の事務作業を効率よく進めるためには、日々の業務経験だけでなく、計画的なスキル習得が欠かせません。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。

資格取得でスキルアップ

施工管理に関連する資格は、専門知識の証明となるだけでなく、事務作業の正確性を高める武器になります。

  • 施工管理技士補
    2021年の制度改正で新設された資格で、若手や未経験者でも比較的早い段階で挑戦可能。図面理解や原価計算といった事務スキルの基礎を身につけられます。
  • 1級・2級施工管理技士
    より上位の資格で、工事全体を統括する立場を担うことができます。資格取得を目指す過程で学ぶ法律・規格・計算方法は、日常の事務作業に直結します。

資格取得は昇進や給与アップにもつながり、キャリア形成の近道としても有効です。

OJTでの学び

最も実践的なスキル習得法は、やはり現場でのOJT(On the Job Training)です。

  • 先輩や上司の指示のもとで書類作成を経験する
  • 会議や朝礼資料の作成を実際に任される
  • 写真整理や原価計算を自分で行い、フィードバックを受ける

座学や参考書だけでは得られない「現場ならではの工夫」や「社内独自のルール」を学べる点が大きな魅力です。小さなタスクから任され、徐々に全体の流れを理解していくことで、自然と事務スキルも磨かれていきます。

ITツール活用

近年の施工管理では、ITツールの活用が効率化のカギになっています。

  • Excelマクロ・関数
    日報の集計や原価計算を自動化し、手作業ミスを減らす。
  • クラウドCAD
    施工図の修正や共有をオンラインで行い、現場と事務所の連携をスムーズにする。
  • クラウドストレージ・プロジェクト管理ツール
    写真や資料を一元管理し、関係者全員が最新データにアクセスできる環境を構築。

これらを使いこなせれば、従来数時間かかっていた作業を数十分に短縮できるケースも少なくありません。ITリテラシーは今後ますます重要視されるスキルです。

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施工管理の仕事は、日々の現場管理や事務作業に加え、法改正や新しいツールの導入など常に変化が求められる分野です。
最新の業界動向や効率化のヒントをキャッチしておくことは、キャリア形成にも大きな差を生みます。

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施工管理の仕事をもっと深く理解したい方は、ぜひご覧ください。

まとめ

施工管理の事務作業は、現場の安全や効率を支える縁の下の力持ちです。
朝礼の準備や施工計画書の作成、原価計算、施工図の修正、行政提出書類の作成など、業務は多岐にわたり、いずれも工事全体の品質や信頼性を左右する重要な仕事といえます。

事務作業を効率的に進めるためには、

  • タイミングの見極め(巡回後・悪天候の日・会議前)
  • 仕組み化による効率化(テンプレート・命名ルール・クラウド共有)
  • スキル習得(資格取得・OJT・ITツール活用)

が欠かせません。

現場での指揮と事務作業の両方をバランスよくこなすことが、施工管理者として成長するための近道になります。

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