廃コンクリートが建物の基礎に生まれ変わる!CO₂排出量を約6割削減する新技術とは?

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建物の解体工事で発生する大量のコンクリート廃材。その多くは道路の路盤材などに再利用されていますが、近年、廃コンクリートを再び建築物の構造体として活用する技術が注目されています。

2026年10月23日、竹中工務店は、解体工事で発生したコンクリート廃材と省CO₂型セメントを組み合わせた「サーキュラーコンクリート」の開発を発表しました。

この新技術は、コンクリートに由来するCO₂排出量を約6割削減し、再利用材を質量比で約8割使用することが特徴です。

さらに、2027年国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」の展示施設において、建物を支える独立基礎への適用も実現しました。

これまで用途が限られがちだった再生骨材コンクリートが、建築物の構造体にも活用される取り組みとして注目されています。

本記事では、サーキュラーコンクリートの仕組みや導入事例、施工管理の現場に与える影響について解説します。

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廃コンクリートから生まれた「サーキュラーコンクリート」とは?

竹中工務店が開発した新たな環境配慮型コンクリート

サーキュラーコンクリートとは、建物の解体時に発生するコンクリート廃材から再生骨材を取り出し、省CO₂型セメントと組み合わせて製造するコンクリートです。

従来のコンクリートでは、砂利や砂などの天然骨材を使用することが一般的です。

一方、今回開発された技術では、使用済みコンクリートから回収した骨材を新たなコンクリートの原料として活用します。

これにより、天然資源の使用を抑えながら、廃棄物の再資源化を進めることが可能になります。

今回の技術には、大きく3つの特徴があります。

  • CO₂排出量を約6割削減:省CO₂型セメントなどの活用によって環境負荷を低減
  • 再利用材を約8割使用:コンクリートの質量に占める再利用材の割合を高め、天然資源の使用を抑制
  • 建物の独立基礎に適用:強度と耐久性を確保し、建築物の構造体として活用

単に廃材を再利用するだけでなく、コンクリートの用途そのものを広げている点が注目されています。

なぜコンクリートの再資源化が重要なのか?

コンクリートは、水・セメント・骨材などから構成されており、その質量の約8割を骨材が占めています。

竹中工務店の発表によると、日本では建物などの解体に伴い、年間約4,000万トンのコンクリート廃材が発生しています。

現在、その大部分は道路工事で使用する路盤材などとして再利用されています。

しかし、道路の路盤材として活用することと、再び建築物のコンクリートとして利用することでは、資源循環の考え方が異なります。

従来は用途が変わることで材料としての価値が下がる「ダウンサイクル」が中心でした。

今回の取り組みは、廃コンクリートを再び建築材料として活用し、より付加価値の高い用途へ循環させることを目指しています。

CO₂排出量を約6割削減!新技術の仕組みを解説

① 廃コンクリートから再生骨材を取り出す

まず、建物の解体によって発生したコンクリート廃材を再資源化施設に運び、砂利や砂などの再生骨材を回収します。

回収された骨材は、新たなコンクリートを製造する際の原材料として使用されます。

この仕組みにより、天然の砂利や砂を新たに採取する必要性を抑えられます。

ただし、再生骨材は元のコンクリートの状態や再資源化の方法によって品質が変わるため、適切な品質管理が欠かせません。

② 省CO₂型セメントと組み合わせる

今回の技術では、再生骨材に加えて、省CO₂型セメントを使用しています。

一般的なセメントの製造工程では、原料の焼成などに伴って多くのCO₂が排出されます。

そのため、セメント由来の排出量を減らすことは、コンクリートの脱炭素化において重要です。

今回のサーキュラーコンクリートでは、再生骨材と省CO₂型セメントを組み合わせることで、資源循環とCO₂排出削減の両立を図っています。

③ CO₂削減と資源循環を同時に実現する

竹中工務店が発表したサーキュラーコンクリートの主な性能は、以下のとおりです。

項目発表された内容
CO₂排出削減率約60%
再利用材の使用割合約80%(質量比)
主な原材料コンクリート廃材由来の再生骨材、省CO₂型セメント
強度・耐久性従来のコンクリートと同等の基準を確保
今回の適用箇所建築物の独立基礎

ここで注意したいのは、約6割という削減率は、建物全体のCO₂排出量が6割減少するという意味ではないことです。

今回公表された数値は、開発されたコンクリートに関するCO₂削減効果を示すものです。

実際の建築工事では、鉄筋や鉄骨、仕上げ材、資材輸送、施工機械の稼働などからもCO₂が発生します。

そのため、建物全体の環境負荷を評価する際には、コンクリートの削減効果と建築工事全体の削減効果を区別する必要があります。

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GREEN×EXPO 2027の展示施設で建物の基礎に初適用

横浜市内の解体現場から回収したコンクリートを再利用

今回開発されたサーキュラーコンクリートは、2027年国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」に出展する竹中グループの展示施設「竹中グループ くるくるく」に初めて適用されました。

原材料には、神奈川県横浜市旭区にある横浜商科大学高等学校の食堂・学生寮の解体工事で発生したコンクリート廃材が使用されています。

特徴的なのは、原材料を回収する場所から、新たな建築物に使用するまでの流通経路です。

  • 横浜市内の建物を解体
  • 発生したコンクリート廃材から再生骨材を製造
  • 近接地域のコンクリート製造工場で材料を製造
  • GREEN×EXPO 2027の展示施設で使用

廃材の発生地、再資源化施設、製造工場、使用先を近接地域にまとめることで、運搬に伴うCO₂排出量の削減にもつなげています。

このような地域内での資源循環は、今後の建設業界において重要な取り組みになると考えられます。

従来より高い強度を確保し、独立基礎に使用

今回の取り組みで特に注目したいのが、再生骨材コンクリートを建物の独立基礎に使用した点です。

竹中工務店によると、再生骨材コンクリートは従来、設計基準強度18N/mm²以下の土間コンクリートなど、構造体ではない用途に使用されることが多くありました。

しかし、今回の展示施設では、コンクリート強度を24N/mm²に高め、建物の独立基礎に適用しています。

独立基礎とは、柱などから伝わる荷重を地盤に伝えるための基礎構造の一つです。

建築物を支える重要な構造部材であるため、必要な強度や耐久性を確保しなければなりません。

今回の適用は、再生骨材を利用したコンクリートの用途拡大に向けた実例といえます。

ただし、すべての再生骨材コンクリートが同様に構造体へ使用できるわけではありません。実際の採用に当たっては、材料の品質や設計条件、適用される法令・認定等を確認する必要があります。

建物の解体後も資材を再利用!注目される「循環型建築」

展示施設では資材再利用率99%を目標に

「竹中グループ くるくるく」は、建築資材の循環利用を重視した展示施設として計画されています。

施設では、設計・施工から解体までを通じて、資材の再利用率99%を目標としています。

この数値は、先ほど紹介したサーキュラーコンクリートの再利用材使用割合約8割とは異なり、展示施設全体に関する目標です。

また、今回使用したサーキュラーコンクリートについても、博覧会の閉幕後に再利用することを目指しています。

建物を建設して終わりにするのではなく、解体後の資材利用までを考慮する点が特徴です。

「建設して壊す」から「建設して循環させる」へ

これまでの建築では、新しい資材を調達し、建物を建設し、解体時に廃材を処理するという流れが一般的でした。

一方、循環型建築では、建物を構成する材料を将来再利用することまで考慮します。

例えば、次のような取り組みが考えられます。

  • 解体時に資材を分別・回収しやすい設計を採用する
  • 再利用可能な建材や再生材料を積極的に使用する
  • 資材の種類や使用場所などの情報を記録する
  • 解体後の再利用方法を計画段階から検討する

このような考え方が広がれば、施工管理者にも、施工時の品質確保だけでなく、資材の将来的な循環利用を意識した対応が求められる可能性があります。

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施工管理者が知っておきたい4つのポイント

サーキュラーコンクリートのような新技術が普及すると、現場での品質管理や工程管理にも変化が生まれる可能性があります。

特に押さえておきたいのは、以下の4点です。

① 再生骨材の品質確認が重要になる

廃コンクリートから製造する再生骨材は、原材料や処理方法によって品質に違いが生じる場合があります。

そのため、施工管理者は使用する材料について、設計図書で指定された品質や規格を満たしているか確認することが重要です。

具体的には、次のような項目が考えられます。

  • 再生骨材の種類・品質区分
  • 異物や不純物の混入状況
  • 骨材の吸水率や粒度
  • コンクリートの配合計画
  • 使用部位に応じた必要強度・耐久性

新しい環境配慮型コンクリートであっても、構造物の安全性を確保するための品質管理は欠かせません。

② 構造体への適用条件を設計者と確認する

再生材料を使用したコンクリートを建築物の構造体に適用する場合、通常のコンクリートとは異なる確認事項が生じることがあります。

施工管理者は、材料の採用段階で設計者や工事監理者、材料供給者と連携し、次の点を確認しておくことが大切です。

  • 使用する部位に材料が適しているか
  • 必要な法令上の取扱いや認定等を確認しているか
  • 設計で求める強度・耐久性を満たしているか
  • 品質試験や受入検査の方法が明確になっているか

特に基礎部分は建築物の安全性に直結するため、環境性能だけを理由に材料を選定することはできません。

③ 資材調達と運搬計画の重要性が高まる

今回の事例では、コンクリート廃材の発生地から再資源化施設、製造工場、使用先までの距離を抑えています。

これはCO₂削減だけでなく、建設現場の工程管理にも関係する要素です。

再生骨材を使用する場合、原材料の確保や再資源化施設の処理能力、製造工場の対応状況によって、供給条件が変わる可能性があります。

そのため、施工管理の現場では、通常の生コンクリートと同様に、材料供給体制や納入スケジュールを十分に確認する必要があります。

④ CO₂削減効果を正確に把握する

今後、建設工事におけるCO₂排出量の見える化が進めば、施工管理者が材料ごとの環境負荷を確認する機会も増えると考えられます。

その際に重要なのは、削減率だけで判断しないことです。

例えば、CO₂排出量を約6割削減すると説明されている材料でも、比較対象や算定範囲によって数値の意味は異なります。

次のような情報を確認することが望まれます。

  • 何と比較した削減率なのか
  • 材料製造時の排出量を対象としているのか
  • 資材輸送時の排出量を含んでいるのか
  • 施工時の排出量はどのように扱われているのか

環境性能を正しく把握することは、発注者への説明や環境配慮型工事の提案にも役立ちます。

再生コンクリートは今後の建設現場に普及するのか?

環境配慮型コンクリートの開発は、すでに複数の建設会社によって進められています。

今回の竹中工務店による取り組みも、こうした技術開発の一つです。

今後、普及が進むためには、CO₂削減効果だけでなく、安定した材料供給や品質確保、コスト、施工性などの課題を解決する必要があります。

特に再生骨材を利用する場合、地域ごとに廃材の発生量や再資源化施設の整備状況が異なります。

そのため、全国の建設現場ですぐに同じ方法を採用できるとは限りません。

一方で、今回のように廃材の発生地と新たな建設現場を結び付ける仕組みは、地域内での資源循環を進めるうえで有効なモデルとなる可能性があります。

今後は、環境性能と施工品質を両立できる材料として、どの程度活用範囲が広がるのかが注目されます。

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廃コンクリートを建物の基礎に再利用する技術は、建設業界で進む脱炭素化と資源循環の一例です。

施工管理の仕事でも、新しい建設材料や環境技術、施工方法に関する知識が、今後ますます重要になると考えられます。

施工管理チャンネルMAGAZINEでは、今回のような環境配慮型コンクリートの開発に加え、建設DX、施工技術、法改正、資格制度など、建設業界で働く方に役立つ最新情報を発信しています。

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まとめ

竹中工務店が開発したサーキュラーコンクリートは、建物の解体で発生したコンクリート廃材を再利用し、省CO₂型セメントと組み合わせることで、CO₂排出量を約6割削減する技術です。

さらに、質量比で約8割の再利用材を使用しながら、必要な強度や耐久性を確保し、GREEN×EXPO 2027の展示施設では独立基礎への適用を実現しました。

今回の取り組みからは、次の3つのポイントが読み取れます。

  1. 廃コンクリートを再び建築物の構造体に活用できる可能性が広がっている
  2. CO₂排出量の削減と天然資源の使用抑制を同時に進められる
  3. 施工管理においても、再生材料の品質管理や環境性能の把握が重要になる

建設業界では、環境負荷を抑えながら必要な性能を確保する技術の開発が進んでいます。

今後、サーキュラーコンクリートのような材料が普及すれば、建設現場で使用する資材の選び方や施工管理の考え方にも変化が生まれるかもしれません。

施工管理者にとっても、こうした新技術の動向を把握し、現場への適用可能性を理解しておくことが重要になるでしょう。

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