公共工事の入札制度で出てくる価格の違い【新人向け】分かりやすく解説!
土木事務所や土木工事関係で働く新人であれば、公共工事の入札制度について知る必要があります。
「見積書を作るなら、競合の会社より低い額で入札すれば大丈夫!」
これは間違った考え方です。
公共工事の場合、ある金額を下回ると失格になります。
失格になる見積書を作ってしまわないよう、公共工事の入札制度について知りましょう。
入札制度には、下記の2種類が挙げられます。
———-
———-
- 最低制限価格制度
- 低入札価格調査制度
他にもありますがおおよそこの2つの制度なので、これらの制度について本記事では解説します。
これらの入札制度をよく知り、正しい金額の見積書を作成できるようになりましょう。
公共工事に入札する前に知っておきたい「予定価格」
最低制限価格制度と低入札価格調査制度の、どちらの制度にも関係する「予定価格」。
これは官公庁が業務を発注する際に見積もった基準価格です。
例えば役所が「道路工事をする」と決めて積算し「1億円で可能」と見積もった場合、1億円が予定価格です。
つまり予定価格は、国土交通省・都道府県・市町村などの役所側の予算と言えます。
公共工事の入札における予定価格とは、役所が見積もった価格や予算のことです。
公共工事の入札制度①:最低制限価格制度
最低制限価格は入札価格の最低限度を設定し、工事の品質を確保する価格です。
もしも入札額が最低制限価格を下回った場合、失格となります。
予定価格:1億円
最低制限価格:7,000万円
の工事を例に挙げて説明します。
最低制限価格制度①:予定価格を上回った場合
予定価格である1億円を上回る金額で入札はNGです。
どんなに提案をしても「1億1,000万円でやります!」であれば、予算が無いので役所も落札できません。
最低制限価格制度②:最低制限価格~予定価格の間の場合
最低制限価格である7,000万円~予定価格である1億円。
この範囲内の金額であれば、入札が可能です。
予算である予定価格にも近い金額かつ、最低制限価格を上回っているので、品質を確保できる金額と言えるからです。
最低制限価格制度③:最低制限価格を下回った場合
6,000万円のように、最低制限価格を下回って入札すると失格となります。
価格が低すぎると、品質が怪しいからです。
- コンクリートがスカスカ
- 手抜き工事
- 職人を違法に低単価・低賃金で働かせる
品質を担保するために、最低制限価格を設定しているのが、最低制限価格制度です。
公共工事の入札制度②:低入札価格調査制度
低入札価格調査制度は、「調査基準価格」が設定されているのが特徴です。
- 予定価格
- 調査基準価格
- 失格基準
計3種類の価格が設定されています。
予定価格:1億円
調査基準価格:7,000万円
失格基準:6,000万円
の工事を例に挙げて説明します。
低入札価格調査制度①:予定価格を上回った場合
予定価格である1億円を上回った入札はできません。
最低制限価格制度と同じく、予算を上回った工事は発注できないためです。
低入札価格調査制度②:調査基準価格~予定価格の間の場合
調査基準価格の7,000万円を超えて、1億円を超えない範囲の金額であれば、入札可能です。
最低制限価格制度と同じく、予算も確保でき、品質も保証される金額の範囲であるためです。
低入札価格調査制度③:失格基準~調査基準価格の間の場合
失格基準の6,000万円を超えて、調査基準価格の7,000万円に満たない金額の場合はどうでしょうか。
例えば6,500万円の場合、「本当にその金額で工事ができるのか」という調査が入ります。
「新規購入すべき工事用品をすでに持っています」
「ノウハウがあるので設計費用が抑えられます」
低入札価格調査制度では、調査基準価格をある程度下回っても入札可能。
役所の設定した調査基準価格には満たないけれど、施工業者側が不正をせずに受注できるケースがあるからです。
調査した結果、役所が問題なしと判断すれば、施工業者は受注できます。
つまり調査基準価格とは、低い価格で入札した施工業者に対して、価格の根拠と工事が適正に履行されるかを調査するための基準と言えます。
低入札価格調査制度④:失格基準を下回った場合
失格基準の6,000万円を下回った入札は、失格となります。
最低制限価格のように、工事や品質が疑わしくなるためです。
まとめ:公共工事の入札制度・価格の違いを知って建設業で働こう!
公共工事の入札制度・価格の違いを知ることは、見積書作成する上で大事です。
- 予定価格:官公庁が業務を発注する際に見積もった基準価格
- 最低制限価格:最低制限価格制度で設定する、品質を担保するための価格
- 調査基準価格:調査を行った結果適正と分かれば入札できる価格
———-
———-
最低入札額が下記の場合の対応をまとめます。
- 最低入札額がAまたはE:予定価格に達していないため入札打ち切り
- 最低入札額がBまたはF:落札
- 最低入札額がC:適正な施工の可否を調査し落札者を決定
- 最低入札額がDまたはG:失格
公共工事は土木工事がメインです。
地方・田舎で働くなら、土木の施工管理をおすすめします。
詳しくは下記記事にて解説しているので、あわせてご覧ください。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。