大工は正社員か一人親方か?積水ハウス1000人採用から見える住宅業界の現実

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タイトル:積水の社員大工に息子を入社させますか?

建設業の「働き方」が変わりはじめています。
でも現場によっては、「うちの業界には全然届いてない」なんて声もあるのが現状です。

そのギャップのど真ん中に、ひとつのニュースが飛び込んできました。
積水ハウスが、大工を1000人規模で正社員採用する——。

そこで本記事では、山本技建の山本社長の対談をもとに、以下の3テーマを掘り下げます。

  • 住宅建築業界が直面している法律が届かない現状
  • 正社員の大工と一人親方(個人事業主)の大工、どちらが得か
  • 積水ハウス採用の何が問題か、そして大工技術の未来

「子供が大工になりたいと言ったらどうするか」という問いに、山本社長は言葉を詰まらせました。
そのリアルを、ぜひ最後まで読んでみてください。

住宅建築業界を取り巻く現状

建設業界に様々な法整備が進む中、住宅・民間の現場ではなかなかその恩恵が届いていません。
山本社長はこう言い切ります。

「国が言っていることは、民間である住宅業界には届かない

公共工事や土木の現場では、発注者が国なので、ルールが浸透しやすい傾向にあります。
しかし住宅の発注は、個人や中小ハウスメーカーが相手で、まるで違う状況です。

山本社長は、職人が単価の面で住宅を断るようになればハウスメーカーも変わるのでは、と考えます。
ルールを守らない人たちは淘汰されていく流れです。

家が売れなくなるのでは?
売る方であるハウスメーカーが努力するしかないと、山本社長は考えます。
付加価値を付けて、見合った単価で購入する人に売るしかないでしょう。
購入者が価格重視の場合は、質よりも速さが売りのメーカーを探すしかないでしょう。

もし自分の子供が「積水ハウスの大工になりたい」と言ったら

対談でひときわ場の空気を変えた問いがあります。
「自分の子供が積水ハウスの大工になりたいと言ったら、どうする?」

山本社長はこの瞬間だけ、言葉に詰まりました。
「父親として考えると、やっぱり違う。正直、やめとけと言うかもしれない
それでも、こう続けます。
「建設業界に詳しくない親であれば、大手の積水ハウスに就職できる安心感はあるでしょうね」

こんな意見も!
「正社員になれば安泰、なんて時代はもう終わっているのでは?」
「技術が廃れてきた時代に1,000人雇うタイミングが疑問。」
建設業とくに職人の働き方のいいところは、ある程度自由に仕事ができる点です。
それなのに正社員として働くのは、良さを潰しているのではないかという視点もあります。

正社員大工と個人事業主大工の違い

「正社員か一人親方か」は、この対談で最も白熱したテーマでした。
山本社長の会社、山本技建での実態は以下です。

社員の平均年齢:36歳
外注(一人親方等)の平均年齢:56歳

年配の職人は「今さら社員化されても」の意識が強く、一人親方のまま現場に関わり続けるケースがほとんどです。
一方で若い職人については、できるだけ社員に引き上げていく、の方針を取っています。

さらに技術について、山本社長は次のように考えます。
技術を教える体制が整っている会社なら、正社員の方が吸収しやすいし、給料の担保もある」

親方のもとで修行する一人親方ルートは、良い師匠に当たれば成長が早いでしょう。
ただし問題は、師匠の質にバラツキがあります。

積水ハウスの大工と技術志向の大工は「刻み」のスキルに違いがある

山本技建では、新入社員に意図的に刻みを経験させています。
ボードを張るばかりでは、大工になりたい人のモチベーションが上がらないからです。

大工なので手刻みします!良い労働環境と高い技術力を持った山本技建の秘密

2025.05.12
刻みとは?
木材を手で加工する伝統的な大工技術。
現代はプレカット(工場で機械加工)が主流で、刻みができる大工は減っている。

積水ハウスに入社する人は、モチベーションが上がらないのではないでしょうか?
その問いに対して山本社長は、「大工になりたい」より「安定した大企業に入りたい」の動機が強い可能性を挙げます。
大工の求人票が並んだときに、仕事内容の違いを感じられ、山本技建を選んでもらえるのではと考えているそうです。

ただし山本社長は、ボード張りも大事なスキルだと話します。
若くて力があれば重いボードを素早く張れるので、会社としてもより給料を出しやすくなりますよね。
「自分の特技になる作業をどんどん覚えてほしい」と、山本社長は新入社員に伝えているそうです。

今の時代の大工技術との関わり方

プレキャストや3Dプリンターなど、建設業界でも着々と機械化・効率化が進んでいます。
根本の技術を知らないままでは、技術が廃れてしまうのではないでしょうか?

山本社長は、できることでもやらなくて済むならば省力化すればいいと話します。
しかし、「そもそも自分にできないことは論ずることもできない」の考えです。

例えとして、リフォームが挙げられました。
リフォームの場合は、手順どおりに組み立てるのではなく、既存建物の構造を読む力と大工技術が必要です。
普段は使わなくても、刻みのような大工技術について知っておく必要があるでしょう。

これを次の世代に伝えられるかどうか?
業界全体の問題として問われているのかもしれません。

まとめ:正社員大工・一人親方は今後の動きに注目

積水ハウスの1,000人採用に賛否はあります。
しかし業界の外から「大工」に注目が集まっていること自体は、変化の兆しかもしれません。

山本社長は、積水ハウスの大工正社員化について、業界全体にとってはプラスだと肯定。
しかし「じゃあ自分の子供が積水ハウスに行くと言ったら?」と問われた瞬間だけ、珍しく言葉が止まりました。

「大工になりたい」で就職先を選ぶならば、ちゃんと技術を教えてくれる場所かどうかが大事です。
正しく技術を知った上で効率化を図れるのか、そういう場所を増やすのが、今後の課題ともいえるでしょう。

この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。

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