建設業の物価高倒産とは?資材高と人手不足でなぜ会社が潰れるのか

/

建設業で、物価高を背景にした倒産が増えています。

帝国データバンクの調査によると、2026年4月の「物価高倒産」は108件となり、2018年の集計開始以降で最多となりました。中でも建設業は33件で業種別最多となり、資材価格の高騰や人手不足、外注費の上昇が経営を圧迫していることがわかります。

建設業の倒産は、必ずしも「仕事がないから起きる」わけではありません。受注はあるのに、木材・鋼材・コンクリートなどの資材費、人件費、燃料費、運搬費が上がり、請負金額に価格転嫁できなければ、利益は一気に削られていきます。

つまり、建設業の物価高倒産は「売上がない倒産」ではなく、「仕事はあるのに利益と資金が残らない倒産」といえます。

この記事では、建設業の物価高倒産とは何か、なぜ資材高や人手不足が倒産につながるのか、価格転嫁できない下請構造や、生き残るために必要な原価管理までわかりやすく解説します。

物価高倒産とは何か

物価高倒産とは、原材料費、燃料費、人件費、物流費などの上昇により、収益を維持できなくなって倒産することです。

建設業では、次のようなコスト上昇が影響します。

・木材価格の上昇
・鋼材価格の上昇
・コンクリート価格の上昇
・住宅設備機器の値上がり
・燃料費、運搬費の上昇
・職人不足による外注費の上昇
・人件費の上昇

建設工事は、契約時に請負金額が決まることが多いです。

しかし、実際に工事が進むまでの間に、資材価格や外注費が上がることがあります。請負金額は変わらないのに、原価だけが上がれば、当初見込んでいた利益は削られていきます。

場合によっては、黒字のつもりで受注した工事が、完成時には赤字工事になっていることもあります。

物価高倒産は、売上が急に消える倒産ではありません。

売上はあるのに利益が残らない。
利益が残らないのに支払いは先に来る。
資金繰りが詰まって倒産する。

この構造が、建設業では起こりやすいのです。

なぜ建設業は物価高に弱いのか

建設業が物価高に弱い理由は、工事原価に占める材料費や外注費の割合が大きいからです。

建設工事では、木材、鉄骨、鉄筋、コンクリート、アスファルト、配管、電線、設備機器、内装材、外装材など、多くの資材を使います。

これらの価格が上がれば、工事原価に直接影響します。

さらに、建設業は多くの協力会社や職人に支えられています。大工、鉄筋工、型枠工、電気工、設備工、内装工、塗装工、防水工、足場業者など、さまざまな専門工事会社が関わります。

人手不足が進むと、職人の確保が難しくなります。

必要なタイミングで協力会社が見つからなければ、高い単価で発注せざるを得ません。工期を守るために追加人員を入れれば、外注費はさらに上がります。

つまり建設業では、資材高と人手不足が同時に原価を押し上げます。

しかも建設工事は、受注から完成まで時間がかかることも多いです。受注時点では採算が合っていても、施工中に材料費や外注費が上がれば、利益計画は簡単に崩れてしまいます。

建設資材の価格高騰、どれくらい上がってる?最新ランキングで徹底解説

2026.04.20

仕事があるのに倒産する理由

建設業の物価高倒産で最もわかりにくいのは、「仕事があるのになぜ倒産するのか」という点です。

理由は、売上と資金繰りが別物だからです。

建設会社は、工事を受注すると、材料を仕入れ、協力会社に発注し、現場を動かします。しかし、工事代金がすぐに全額入金されるわけではありません。

一方で、材料費、外注費、人件費、燃料費、機械リース代などの支払いは先に発生します。

つまり、建設会社は先にお金を出して、あとから工事代金を回収する構造になりやすいのです。

ここで原価が予定より上がると、資金繰りは一気に厳しくなります。

黒字予定だった工事が赤字になる。
赤字工事が複数重なる。
仕入先や協力会社への支払いが遅れる。
金融機関への返済も苦しくなる。

この流れで倒産に至ることがあります。

建設業では「忙しいのに資金が足りない」という状態が起こり得ます。

仕事があることと、利益が出ていることは違います。売上があることと、手元資金が残っていることも違うのです。

価格転嫁できない下請構造

建設業で物価高倒産が起きやすい背景には、価格転嫁の難しさがあります。

本来、材料費や人件費が上がれば、その分を請負金額に反映する必要があります。しかし、建設業では簡単ではありません。

特に下請会社は、元請との関係上、値上げを言い出しにくいことがあります。

「次の仕事がもらえなくなるのではないか」
「高いと言われて他社に回されるのではないか」
「契約後の値上げは認めてもらえないのではないか」

こうした不安から、原価上昇分を自社で吸収してしまう会社もあります。

しかし、それを続けると利益は残りません。

短期的には仕事を確保できても、長期的には資金繰りが悪化します。多重下請構造の中で、価格上昇のしわ寄せが下位の会社に行きやすいことも問題です。

価格転嫁は、単なる値上げ交渉ではありません。

建設業の供給体制を守るための重要な課題です。

建設業界が多重下請け構造になっている理由は?2つの逃れたいルールと価格競争の結果

2025.05.12

生き残る建設会社に必要な原価管理

物価高の時代に建設会社が生き残るには、原価管理が欠かせません。

売上だけを見ていると危険です。売上が大きくても、利益が残っていなければ意味がありません。

特に注意すべきなのは、次のような会社です。

・見積がどんぶり勘定になっている
・過去の単価のまま見積を出している
・工事ごとの粗利を把握していない
・外注費の上昇を反映できていない
・追加変更を請求できていない
・赤字工事の原因を分析していない

物価が安定している時代であれば、多少のどんぶり勘定でも何とかなったかもしれません。

しかし、資材価格や人件費が大きく動く時代では、原価管理の甘さが命取りになります。

見積時点の利益と、完成時の利益が大きくズレるからです。

これからの建設会社には、材料費、外注費、労務費、燃料費、運搬費、処分費、現場管理費を工事ごとに把握する力が求められます

また、追加工事や仕様変更が発生した場合は、記録を残し、適切に請求することも重要です。

「サービスでやっておく」が積み重なると、利益は確実に削られます。

まとめ:建設業は仕事があるだけでは生き残れない

建設業の物価高倒産は、仕事がないから起きる倒産とは限りません。

受注があっても、資材高、人件費上昇、外注費高騰、燃料費や運搬費の負担によって利益が削られ、資金繰りが悪化すれば倒産につながります。

建設業が物価高に弱い理由は、請負金額が先に決まり、原価が後から変動しやすい構造にあります。

さらに、価格転嫁できない下請構造や、追加変更を請求しづらい商習慣が重なると、下請会社や中小建設会社ほど苦しくなります。

これからの建設会社に必要なのは、売上を追うことだけではありません。

利益が残る工事を受けること。
原価を正確に把握すること。
価格上昇分を見積に反映すること。
追加変更を曖昧にしないこと。
協力会社と適正な関係を築くこと。

物価高の時代、建設業は「仕事があるから大丈夫」とは言えなくなっています。

生き残るためには、工事ごとの採算を見える化し、適正な価格で請け負う経営へ変えていく必要があります。

 

施工管理 専門の転職エージェントに登録すれば有利な転職ができます。

  • 業界30年以上の歴史と信頼
  • 役員クラスのコネクション
    で有利な転職
  • 給与交渉も無料で代行

株式会社ライズは施工管理専門の転職エージェントサービスを提供しています。転職エージェントサービスにご登録いただくと、施工管理の転職に精通した専属エージェントが、ご希望に沿った求人をリサーチし、あなたのご経験やスキルを求める企業をご紹介します。ご希望があれば、職務経歴書の添削や面接対策・給与交渉まで代行するなど、あらゆる転職サポートを無料で受けることができます。

ライズの強みは、業界30年の実績により、多くの取引先企業の役員クラスと幅広いコネクションを持っている点です。役員クラスから直接お預かりしている非公開求人を多数取り扱っているため、普通では出会えない好条件の求人をご紹介することが可能です。さらに、専属のエージェントを経由して、あなたの魅力を企業側へプッシュしてもらえるため、お一人で選考を受けるよりも内定の可能性を一気に高めることができます。

まずはお気軽に以下のボタンより転職エージェントサービスにご登録ください(無料)

\転職エージェントに/