上下水道DXの新技術が52件追加!国交省が公開した最新技術カタログとは?

国土交通省は2026年9月30日、上下水道施設の維持管理に役立つデジタル技術をまとめた「上下水道DX技術カタログ」に、新たに52件の技術を追加したと発表しました。
今回の更新により、カタログの掲載技術は合計222件に拡充されました。新たに追加された技術には、AIやドローン、非破壊で空洞を探査するセンサー技術などが含まれています。
上下水道施設の老朽化が進む一方で、維持管理を担う技術者の不足も深刻化しています。こうした状況のなか、デジタル技術を活用した点検・調査の効率化に注目が集まっています。
では、今回拡充された上下水道DX技術カタログには、どのような情報が掲載されているのでしょうか。
本記事では、カタログの概要や注目すべき技術、具体的な活用方法、施工管理者への影響について解説します。
国交省が「上下水道DX技術カタログ」を拡充!52件の技術を追加
2026年9月30日に最新情報を公開
国土交通省が公表した「上下水道DX技術カタログ」は、上下水道施設の維持管理を高度化・効率化するためのデジタル技術をまとめた資料です。
2025年3月に初めて公開され、その後も新たな技術情報の追加や検索機能の改善が進められてきました。
2026年9月30日の更新では、AI、ドローン、センサーなどを活用した52件の技術が新たに掲載され、掲載技術の総数は222件となりました。
国土交通省は、上下水道事業者や地方公共団体が技術の導入を検討する際に、このカタログを活用することを想定しています。
また、民間企業にとっても、自社技術の紹介や新たな技術の比較検討に役立つ情報源となっています。
カタログが拡充された背景
上下水道施設は、人々の生活に欠かせない重要なインフラです。
しかし、全国各地で水道管や下水道管などの老朽化が進んでおり、適切な点検や更新が重要な課題となっています。
さらに、人口減少に伴う職員数の減少や、施設の管理に精通した熟練技術者の不足も問題となっています。
こうした課題に対応するためには、従来の人手に依存した維持管理方法を見直し、デジタル技術によって作業の効率化を進める必要があります。
今回のカタログ拡充も、全国の上下水道事業におけるDXの導入を後押しする取組の一つです。
上下水道DX技術カタログとは?目的と主な内容を解説

上下水道施設の維持管理を支援する技術情報集
上下水道DX技術カタログは、上下水道施設の点検・調査、劣化予測、施設情報の管理などに活用できるデジタル技術を紹介するものです。
従来、上下水道施設の点検には、現場での目視確認や専用機器による調査など、多くの人員と時間が必要でした。
一方、AIやドローン、センサーなどを活用することで、作業の効率化や調査範囲の拡大が期待できます。
カタログでは、こうした技術の特徴や適用条件などを確認できるため、導入を検討する際の参考資料として活用できます。
カタログに掲載されている技術の種類
国土交通省のカタログでは、技術をさまざまな条件で検索できます。
主な分類は以下のとおりです。
| 分類 | 主な内容 |
|---|---|
| 点検・調査 | 管路や設備の異常、損傷などを確認する技術 |
| 劣化予測 | 管路や施設の状態を分析し、劣化リスクを予測する技術 |
| 施設情報の管理・活用 | 設備情報や点検結果などをデジタルで管理する技術 |
| その他 | 上記以外の維持管理効率化などに関する技術 |
また、AI、人工衛星、ドローン、IoT、センサー、ロボットなどの要素技術からも検索できます。
水道と下水道それぞれの対象施設を絞り込めるため、目的に合った技術を探しやすい仕組みとなっています。
今回追加された52件の技術で注目したい3つの分野
1. AIによる異常検知・劣化予測
AIを活用した技術では、管路の画像や点検データなどを分析し、異常の発見や劣化状況の把握を支援することが期待されています。
例えば、管路内を撮影した画像から損傷が疑われる箇所を抽出したり、蓄積されたデータをもとに更新の優先順位を検討したりする活用方法が考えられます。
従来は熟練技術者の経験に頼る部分が大きかった判断作業についても、データ分析による支援が可能になります。
ただし、AIの判定には誤検知や見落としの可能性もあるため、最終的な状態確認や対応判断には人による確認が重要です。
2. ドローンを活用した点検・調査
ドローンは、作業員が直接立ち入りにくい場所の点検に活用できる技術として注目されています。
上下水道分野では、管路内部や設備周辺などの状況を撮影し、点検に必要な情報を収集する用途が考えられます。
ドローンの活用によって、次のような効果が期待されます。
- 作業員が立ち入りにくい場所の状況把握
- 点検時に必要な人員や作業時間の削減
- 撮影データを活用した点検記録の保存
- 危険を伴う点検作業の負担軽減
ただし、狭い空間や障害物の多い場所では、機体の大きさや飛行性能、通信環境などによって使用できる範囲が異なります。
導入時には、対象施設に適した機器を選定することが重要です。
3. センサーによる非破壊の空洞探査
今回の更新では、非破壊で空洞を探査する技術を含むセンサー技術も追加されています。
地下に埋設された管路の周辺に空洞が形成されると、地盤の安定性に影響する可能性があります。
こうした異常を早期に把握するため、地盤や構造物の状態を調べる技術が重要になっています。
非破壊の空洞探査技術は、地面を大きく掘削せずに調査できることが特徴です。
調査方法や適用条件によって異なりますが、掘削を伴う調査と比べて、交通や周辺環境への影響を抑えられる可能性があります。
一方、探査可能な深さや地盤条件によって検出精度が変わるため、必要に応じて追加調査を組み合わせることも重要です。
カタログには「実用段階」と「実証段階」の技術を掲載
実用段階の技術とは?
国土交通省のカタログでは、掲載技術を「実用段階」と「実証段階」に分けています。
実用段階とは、国内の水道事業または下水道事業で、すでに導入実績がある技術を指します。
実際の業務への導入を検討する際には、導入実績やコスト、適用条件などを確認することが重要です。
ただし、導入実績がある技術でも、すべての施設にそのまま適用できるとは限りません。
施設の構造や規模、作業環境などを確認したうえで、導入の適否を判断する必要があります。
実証段階の技術とは?
実証段階とは、国内の地方公共団体などの公的機関のフィールドで実証が行われているものの、まだ実用化には至っていない技術です。
実証段階の技術は、今後の維持管理業務を大きく変える可能性がある一方、実際の導入に向けて検証が必要な場合があります。
新技術を検討する際には、実用段階と実証段階の違いを理解し、導入目的に合った技術を選ぶことが大切です。
上下水道DX技術カタログの使い方は?

目的や対象施設から技術を検索できる
上下水道DX技術カタログは、国土交通省の公式サイトで公開されています。
カタログには検索システムが用意されており、例えば以下の条件で技術を絞り込めます。
- 技術段階:実用段階・実証段階
- 対象施設:水道・下水道の各施設
- 利用目的:点検調査・劣化予測・施設情報の管理など
- 要素技術:AI・ドローン・センサー・ロボットなど
- フリーワード:技術名や関連するキーワード
例えば、下水道管路の点検に使用できるドローン技術を探したい場合は、対象施設を「管路施設」、要素技術を「ドローン」に設定することで、関連する技術を探せます。
複数の技術を比較する機能もある
カタログには「技術比較表作成機能」も用意されています。
比較したい技術を選択することで、技術の概要や適用条件などを一覧で確認できます。
実用段階の技術については、コストや導入実績なども比較項目として用意されています。
そのため、複数の技術を比較しながら、導入候補を絞り込む際に活用できます。
ただし、カタログに掲載されている情報だけで導入の適否を決定するのではなく、実際の使用条件や費用について技術保有者に確認することが重要です。
施工管理者への影響は?上下水道工事で変わる3つのポイント

1. 調査データを活用した施工計画の立案
管路や地盤の状態を事前に把握できれば、補修・更新工事の施工計画を検討する際に役立ちます。
例えば、調査によって劣化の進んだ箇所や空洞が疑われる範囲を把握できれば、現地確認や追加調査の必要性を判断しやすくなります。
施工管理者にとっては、調査結果を設計図書や現場状況と照合し、施工方法や工程を検討する際の参考情報が増えることになります。
ただし、デジタル技術による調査結果だけで施工上の安全性が保証されるわけではありません。
現地の状況や調査精度を確認し、必要に応じて従来の調査方法も組み合わせることが重要です。
2. 点検・調査作業の安全管理
上下水道施設では、狭い場所や地下空間など、作業環境に注意が必要な現場もあります。
ドローンやロボットなどによって一部の点検作業を遠隔化できれば、作業員が危険な場所に立ち入る機会を減らせる可能性があります。
一方で、新しい機器を導入する際には、機器の操作方法や通信環境、作業区域の管理など、新たな安全管理上の確認事項も生じます。
施工管理者は、従来の作業方法との違いを把握し、使用する機器に適した作業計画を立てることが重要です。
3. デジタルデータを活用した情報共有
上下水道工事では、既設管路の位置や設備情報、過去の点検結果など、多くの情報を扱います。
こうした情報をデジタルで管理できれば、発注者や設計者、施工会社の間で情報を共有しやすくなることが期待されます。
例えば、点検画像や調査結果を位置情報と関連付けて管理することで、補修箇所の確認や工事履歴の把握に役立つ可能性があります。
今後は、デジタルデータを正確に読み取り、施工計画や品質管理に活用する能力も、施工管理者にとって重要になると考えられます。
新技術を導入する際に確認すべき注意点
DX技術にはさまざまなメリットが期待されますが、導入にあたっては注意すべき点もあります。
特に確認しておきたいのは、以下の4項目です。
① 技術の適用条件
施設の規模や構造、地盤条件、通信環境などによって、技術を使用できる範囲は異なります。
② 調査・分析の精度
AIやセンサーの検出結果には誤差が生じる可能性があります。結果の確認方法や追加調査の必要性を事前に検討することが重要です。
③ 導入費用と運用体制
機器の購入費用だけでなく、操作研修や保守管理、データ管理などに必要な費用も考慮する必要があります。
④ 既存の業務との連携
新技術を導入しても、点検結果が施工計画や施設管理に活用されなければ、十分な効果は得られません。
導入前に、誰がデータを確認し、どのように判断や対応につなげるのかを整理しておくことが重要です。
なお、国土交通省のカタログへの掲載は、すべての使用環境で性能や効果が保証されることを意味するものではありません。
技術の特徴と制約を理解し、現場の課題に合った方法を選択することが求められます。
AI・ドローンで建設現場はどう変わる?最新DXニュースをもっとチェック

上下水道DXをはじめ、建設業界ではAIやドローン、ロボットなどの新技術が次々と登場しています。
こうした技術の進展は、施工管理の仕事にも少しずつ変化をもたらしています。
「施工管理チャンネルMAGAZINE」では、建設DXの最新動向に加え、現場の安全管理や施工技術、法改正、資格制度など、施工管理者が知っておきたい情報を幅広く解説しています。
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まとめ
国土交通省は2026年9月30日、「上下水道DX技術カタログ」に52件の技術を追加し、掲載件数を合計222件に拡充しました。
今回の更新では、AIやドローン、非破壊の空洞探査を含むセンサー技術など、上下水道施設の維持管理に役立つ技術が新たに掲載されています。
記事のポイントは以下のとおりです。
- 上下水道DX技術カタログは、維持管理の高度化・効率化に役立つ技術情報をまとめたもの
- 2026年9月の更新で52件の技術が追加され、掲載件数は222件となった
- AI、ドローン、センサーなどによる点検・調査の効率化が期待されている
- カタログでは技術の検索や比較ができ、実用段階と実証段階の技術を確認できる
- 施工管理でも、調査データの活用や安全管理、情報共有などへの影響が考えられる
上下水道施設の老朽化や技術者不足が進むなか、デジタル技術を活用した維持管理の効率化は、今後ますます重要になるでしょう。
施工管理者も新しい技術の特徴を理解し、現場の安全性や施工品質の向上にどのように活用できるかを考えていくことが大切です。











