職人の派遣解禁で人手不足は何割解消する?|みずほ銀行の試算を現場目線で検証

建設業の人手不足を解消する打ち手として、みずほ銀行のレポートが「職人の派遣解禁」を提案しています。
以前の記事では、職人の派遣が禁止されている2つの理由に対して、みずほ銀行が示す解決策を紹介しました。
解禁に向けた条件が整いつつある一方、安全管理は現場感覚とのズレが残っています。
では、実際に職人の派遣が解禁されると、人手不足はどれくらい解消するのでしょうか?
そこで本記事では、施工管理チャンネルの動画をもとに、以下の3テーマを解説します。
- 職人の派遣解禁で人手不足は2割解消する?
- 人手不足が深刻な職種から優先して導入
- 「ゼネコンが直雇用」への違和感
試算の数字には現場から疑問の声がある一方、人手不足が続く限り職人の派遣解禁は避けられない流れと考えられます。
職人の派遣解禁で現場や雇用がどう変わるのか気になる人は、ぜひ参考にしてください。
職人の派遣解禁で人手不足が2割解消する?

みずほ銀行は、どのような根拠で効果を見積もっているのでしょうか?
レポートでは、6,600人の不足が解消されると発表。
6,600人は、業界でどの程度の数値であるかも整理されています。
建設技能労働者不足率については、東日本大震災以降を平均すると 1.1%の不足状態が継続しており、2024 年の技能労働者数 300 万人に対する不足数としては 33,000 人となっている。制度改正による 6,600 人分の不足解消効果は、現状の不足数の約 2 割に相当するということであり、一定程度有効な打ち手であると評価できるだろう。
引用:建設業界における人手不足の解消に向けた打ち手|みずほ銀行 産業調査部
つまり、職人は300万人いて、そのうち1.1%にあたる3万3,000人が足りていません。
派遣を解禁すれば、そのうち6,600人分、人手不足の約2割が解消する計算です。
職人の派遣解禁は人手不足が深刻な職種から優先

レポートは、いきなり全面解禁するのではなく、段階を踏んだ導入も提案しています。
長年続いてきた商慣行や雇用関係への影響が小さくないためです。
建築と土木を比べると、土木は大型機械の自動化などで省人化を進めやすいため、建築から導入するのが妥当とされています。
例えば、以下の職種を対象にすると、CCUSの登録者数の約2割にあたるそうです。
- とび工
- 鉄筋工
- 型枠工
人手不足を解消するための解禁なので、人が足りている職種から始めても意味がありません。
そこでレポートは、人手不足がずっと続いている職種から優先する考え方を示しています。
人が必要なのは建築だが、派遣を始めやすいのは土木ではないか。
建築は専門職が細かく分かれているため、レポートが示す「多能工」には向きません。
多能工のような職人の母数を増やすなら、土木の方がやりやすいという見方です。
職人の派遣解禁に「ゼネコンが直雇用」の違和感

レポートから読み取れる「ゼネコンが職人を直接雇用する」の流れにも、違和感の声が上がっています。
積水ハウスが大工を1,000人規模で正社員化した動きを踏まえた提案かもしれません。
ただしそんなに簡単にはいかないでしょう。
メガバンクの取引先は大手ゼネコンが中心で、ヒアリング先も大手だと推測されます。
一方、職人の会社は数人〜20人規模が多く、大手ゼネコンの実感とはズレがあるでしょう。
建設業界内にいると、「無理」と思ってしまいがちな今回のレポート。
しかし第三者の意見を知り、議論を重ねていけば正解に近づけるかもしれません。
派遣ビジネスが成り立つかどうかは、人を集められるかにかかっています。
経験者を集めるのはかなり難しいため、未経験者を派遣する形が整えば、参入する会社は多いでしょう。
職人の派遣は今の「常用(じょうよう)」に近い形態です。
ただし専門職として手配している常用を、多能工としてあちこちに振り分ける形がこの業界で成り立つかは、まだ課題が残ります。
まとめ:職人の派遣解禁は、人手不足が続く限り避けられない
みずほ銀行は、職人の派遣解禁で人手不足の約2割、6,600人分が解消すると試算しました。
しかし現場からは、数字の実効性や、大手ゼネコンを前提にした構図に違和感の声が上がっています。
職人の派遣禁止の前提そのものが、見直しの時期を迎えている可能性があります。
今回の試算には疑問が残るものの、このまま人手不足が続くなら、解禁は避けられないでしょう。
現場からは「無理だ」という声が先に出がちです。
しかしレポートのような第三者の意見をぶつけながら、現場に合った形を探っていく段階にあるのかもしれません。
この記事の内容は、以下の動画で解説しています。あわせてご覧ください。










